フクヒロ、英国の地でつかんだ手ごたえ “シルバーコレクター”脱却し五輪金へ

平野貴也

手にした美しく輝くシャーレ

全英オープン初優勝を果たした福島(右)と廣田 【写真:ロイター/アフロ】

 ついに頂点に立った。110回の歴史を刻んだバドミントン全英オープンで、女子ダブルスの福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)が初優勝を飾った。

 全英オープンは、BWF(国際バドミントン連盟)ワールドツアーのスーパー1000という年間3大会しかない格付けの高い大会。中でも歴史が古く、かつては事実上の世界一決定戦として行われていたため、最も権威がある。福島/廣田にとって、全英のようなビッグタイトルの獲得は悲願だった。

 2度目のマッチポイント。福島が放ったスマッシュが相手のラケットを弾いて優勝が決まった瞬間、福島はその場にひざを付いて、叫びながらガッツポーズ。引き起こそうとした廣田は冷静に見えたが、2人はベンチにいた朴柱奉ヘッドコーチや、中島慶コーチの下へ走り出したところで「先に相手にあいさつをして来なさい」と促され、慌ててUターン。喜びと興奮に溢(あふ)れていた。廣田は「ずっと、大きい大会では2位が続いていたので、やっと超えられたなという思い」と美しく輝くシャーレを手に喜んだ。

五輪金メダルへ得た大きな経験

優勝した瞬間、座り込んで喜ぶ福島(右) 【写真:ロイター/アフロ】

 福島/廣田は、リオデジャネイロ五輪の翌2017年から日本A代表入り。国際大会で安定して好成績を収めてきた。しかし、ビッグタイトルには、いつも一歩届かなかった。

 17年、年間成績上位者のみが出場するBWFスーパーシリーズファイナルズ(現・ワールドツアーファイナルズ)で準優勝。18年は全英オープンで準優勝。世界選手権は17年から昨年まで3年連続の準優勝。“シルバーコレクター”というありがたくない印象がついた。

 成績の安定感は抜群で、東京五輪の出場権争いでは、トップを走っている。すでに五輪出場は確定的で、焦点は金メダルを取れるかどうかだ。その点、これまで手が届かなかったビッグタイトルを手にした経験は、大きい。福島は「一つ壁を超えられたと思うので、自信にしたい。(五輪が)どうなるか分からない状況ですが、しっかり準備して臨みたいと思います」と五輪金メダルへの確かな手ごたえを示した。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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