柔道、早期の代表内定がもたらす意味 金メダル量産を実現するために

平野貴也

新たに柔道の東京五輪代表に内定した12人 【写真:平野貴也】

 柔道の東京五輪代表は、第2段階で布陣が固まった。全日本柔道連盟は27日、都内で行った強化委員会で、2016年リオデジャネイロ五輪男子73キロ級金メダリストの大野将平(旭化成)ら男女12人を新たに東京五輪日本代表に選出した。

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 五輪2連覇を目指す大野は「リオ五輪のときは秋本啓之選手、中矢力選手。今回は、海老沼匡選手、橋本壮市選手。4人の世界王者と代表を争えたことが、今の私の誇り。最高の準備をしたいです。思っている以上に2連覇は難しいものだと思いますが、自国開催で連覇を目指せることは、これ以上ないモチベーション」と、代表争いを繰り広げた国内のライバルに敬意を示し、再び頂点を目指す意気込みを語った。

代表内定選手それぞれの思い

女子52キロ級で日本人初の金メダルを目指す阿部詩。代表入りを目指している兄・一二三へエールを送った 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 内定選手発表後には記者会見が行われ、それぞれの立場から代表争いを振り返った。女子52キロ級の阿部詩(日本体育大)は、最年少タイの19歳。この日が父親の誕生日で「一番良いプレゼントができたかなと思います。両親の応援や支えがなければ、ここまで来られなかったので感謝の気持ちでいっぱいだけど、感謝は勝つことでしか返せない。五輪で優勝して最高の金メダルをお父さん、お母さんにかけることが、私にできる最大の恩返し」と、同階級初の日本人五輪金メダリストを目指す思いを語った。

 兄の一二三が男子66キロ級で代表に内定すれば、兄妹での五輪出場がかなう。「私は、信じて待つだけ。お兄ちゃんなら絶対に勝ってくれると信じている。2人で挑みたい」と、兄の代表入りを期待する。

田代はリオ五輪で準決勝敗退。東京五輪では、前回果たせなかった目標(メダル獲得)に再挑戦する 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 阿部のように新たに台頭した選手もいれば、前回のリオ五輪で果たせなかった目標に再挑戦する選手もいる。

 女子63キロ級の田代未来(コマツ)は、前回大会を「私の柔道人生の中で、一番悔しくて、後悔した1日」と表現。4年前は3位決定戦で敗れ、日本勢で2人だけメダルを取れず。帰国した空港では、メダリストとは別の出口から出るなど悔しさを味わった。その経験を糧に、プラス思考を身につけて再挑戦の場にこぎ着けた。

「4年前は、負けるイメージしかできず、とにかく不安でした。今は、本当に楽しみ。この舞台で、成長した姿を披露できるのは、幸せ。『できるかな、勝てるかな』ではなく、必ず取りに行く。ここまで準備してきたのだから、自分を信じ抜いて戦いたい」

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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