セブンズでの代表入りを目指す福岡堅樹 リオ五輪で感じた「メダリスト」との差

斉藤健仁
 2020年東京大会そして世界に向けて、それぞれの地元から羽ばたくアスリートを紹介する連載企画「未来に輝け! ニッポンのアスリートたち」。第52回は福岡県出身、ラグビーの福岡堅樹(ふくおか・けんき)を紹介する。

リオ五輪後、初めてセブンズの日本代表候補に選出

「セブンズ」での代表入りを目指す福岡堅樹 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 東京オリンピック開幕まであと5カ月。各競技、急ピッチで強化が進む中で、リオデジャネイロ五輪から正式種目となった「セブンズ」こと7人制ラグビーも例外ではない。特に男子はリオ五輪で初戦からニュージーランドを破る快進撃を見せて4位に入り、自国開催の東京五輪こそメダルを獲得すべく合宿や遠征を重ねている。

 ただ、リオ五輪後も相変わらず、15人制ラグビーと両立している選手が多いこともあり、思うように選手が集まらない、選手を固定できない時期が続いた。そのため、昨シーズン、世界各国をF1のように回るサーキット大会「ワールドシリーズ」において、優先的に全10大会に出場できるトップ15の「コアチーム」から降格。また2018年夏、サンフランシスコで行われたセブンズのワールドカップ(W杯)でも15位に終わっている。

 それでも下を向いているわけにはいない。昨年7月には東京オリンピックに向けた日本代表候補選手計25名を発表。オリンピックまで200日以上にわたる合宿や遠征でセブンズに専念できるメンバーを招集した。15人制ラグビーの日本代表やリオ五輪前と同様に、長期合宿を敢行することでチーム力を強化しようとしている。

 さらに昨年12月と今年1月、オリンピックスコッド19名、トレーニングスコッド15名の日本代表候補、計34名を発表。2月、来シーズンのワールドシリーズ昇格のため南米遠征に参加している16名が東京五輪に近い選手といえる。

 そんな中、特に期待がかかるのが、2019年に15人制ラグビーW杯で4トライを挙げて、ベスト8に進出に貢献した日本代表のエース・福岡堅樹(WTB)である。「フェラーリ」とジェイミー・ジョセフHCに称(たたえ)えられた男は、オリンピックイヤーとなった1月、トレーニングスコッドとして、リオ五輪後、初めてセブンズの日本代表候補に名を連ねた。

15人制のW杯では見事に有言実行を果たした

昨年の15人制ラグビーW杯では4トライを挙げ、ベスト8に進出に大きく貢献した 【写真:アフロスポーツ】

 福岡高、筑波大時代から快足ランナーとして知られた福岡といえば2015年15人制のW杯、そしてリオ五輪に出場した唯一の選手だった。だが、大学4年生で出場したW杯イングランド大会では敗戦したスコットランド戦1試合のみの出場に終わり、リオ五輪は本番1週間前にレギュラーポジションを奪われ、控えからの出場が主だった。

 福岡はラグビー選手としては最大、最高の舞台に2度も出場しながら不完全燃焼に終わってしまった。そこで福岡は、かねてから、2019年の15人制のW杯日本大会、そして2020年の東京五輪で活躍した後、来シーズンでラグビー選手としてのキャリアを終えて、医学部に編入し医師の道を志すことを公言。なお福岡は祖父が医師、父が歯科医師という医師一家育ちで、ラグビーと医学部を両立させるため筑波大医学群を志望したが合格することはかなわず、情報学群に進学している。

 昨年の15人制ラグビーW杯では見事に有言実行を果たし、福岡は「やり切ることができました。何ひとつ思い残すことはありません!」と胸を張り、15人制ラグビーの代表引退を示唆した。そして、W杯終了後、少しオフを取った後、すぐにセブンズ代表候補合宿に参加すると思われていた。

 しかし、福岡はパナソニック ワイルドナイツの一員として1月12日に開幕したトップリーグのピッチに立った。第1節、2節の試合出場を敢行してからセブンズに専念することを決めていた。福岡は「多くの人にトップリーグを見てもらえて幸せなことだと感じました。本当にラグビーの勢いが今、来ていることを感じています。ラグビー人気を冷めさせずに継続させるために、少しですが(トップリーグに)挑戦しました」とその理由を説明した。

 開幕戦からトライを挙げてパナソニックの勝利に貢献したが、2トライを挙げた2節のトヨタ自動車戦ヴェルブリッツ戦で右膝を負傷。そのため1月末のセブンズの代表候補合宿参加を取りやめて、2月も合宿には参加しなかった。しかし、現在、福岡はパナソニックの施設で、セブンズに向けたトレーニングを続けている。

1/2ページ

著者プロフィール

斉藤健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。 学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「世界最強のゴールキーパー論」(出版芸術社)、「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。最新刊は「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版/2017年11月刊)。

編集部ピックアップ

おすすめ記事(スポーツナビDo)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント