史上5頭目の二刀流GI馬モズアスコット ルメールも驚く変身「新しい馬になった」

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矢作調教師は史上2人目、GIレース3連勝

ルメール騎乗の1番人気モズアスコットがフェブラリーSを快勝、史上5頭目となる芝・ダート両方でのGI制覇を達成した 【写真:中原義史】

 2020年のJRA・GI開幕となる冬のダート王決定戦、第37回GIフェブラリーステークスは23日、東京競馬場1600メートルダートで行われ、クリストフ・ルメール騎乗の1番人気モズアスコット(牡6=栗東・矢作厩舎、父Frankel)が優勝。中団追走から直線鋭く突き抜け、ダートマイルの新チャンピオンに輝いた。良馬場の勝ちタイムは1分35秒2。

 モズアスコットは今回の勝利で通算21戦7勝(うち海外1戦0勝)、重賞は2018年GI安田記念、20年GIII根岸ステークスに続く3勝目。中央・地方の統一ダートグレードが制定された1997年4月以降、芝・ダート両方でGIを勝利したのはクロフネ、アグネスデジタル、イーグルカフェ、アドマイヤドンに続き、史上5頭目の快挙となった。

 また、騎乗したルメール、同馬を管理する矢作芳人調教師はともにフェブラリーS初勝利。矢作調教師は昨年12月の有馬記念、ホープフルステークスに続きGI実施機会3連勝となり、これは1984年のグレード制導入以降、2004年の松田国英調教師以来史上2人目の快挙となった。

矢作調教師(モズアスコットの向かって左隣)は史上2人目となるGI実施機会3連勝の快挙 【写真:中原義史】

 なお、モズアスコットから2馬身半差の2着には長岡禎仁騎乗の16番人気ケイティブレイブ(牡7=栗東・杉山厩舎)、さらに1馬身1/4差の3着には松山弘平騎乗の3番人気サンライズノヴァ(牡6=栗東・音無厩舎)が入線。連覇を狙った武豊騎乗の2番人気インティ(牡6=栗東・野中厩舎)は14着に敗れた。

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2トップ不在もダート界に超特大の新星出現

 昨年の最優秀ダート馬でGIチャンピオンズカップの覇者クリソベリル、チャンピオンズC2着でダートGI5勝のゴールドドリームが、2月29日の1着賞金11億円レース・サウジカップ(サウジアラビア)出走のため不在となった今年のフェブラリーS。現役2トップを欠いた中での戦いだったため、「ダート王者決定戦」という看板もあまり高くは掲げられないのではと、レース前は思っていた。

 しかし、その2強に迫る――いや、もしかしたら凌駕するかもと思わずにはいられない超特大の新星がダートマイル王に駆け上がった。

不振だった芝マイル王がダートで見事に復活した 【写真:中原義史】

「根岸ステークスからモズアスコットは新しい馬になりました」

 主戦・ルメールが言った。芝マイル王決定戦・GI安田記念を連闘で勝つという離れ業をやってのけ、とてつもないマイルチャンピオンが誕生したと競馬界が沸き立った2018年春。しかし、期待とは裏腹にその後、モズアスコットは連戦連敗。8戦を走って未勝利、2着もわずか2回という不振を極めた。

 そこで陣営は矛先をダートへと転じたのだが、これが大成功だった。

「矢作先生はすごくいいチョイスをしました。グッドアイデアでした」

 通常、いかに芝のGIホースと言えども、勝手が違うダートでいきなりから通用するものではない。人間だってそうだ。ウサイン・ボルトが砂の上を走っても世界一になるとは限らない(いや、ボルトなら砂でも世界で一番速いかもしれないけど……)

 そのうえ、モズアスコットはダート初戦の根岸Sでスタートを出遅れており、誰がどう見ても万事休す。ところが、レースを進めてみると、何事もなかったように、そして軽々とダートの強豪馬をなぎ倒した。モノが違うとはこのことだ。

 さらに、その根岸Sは休み明けで体調ひと息だったというのだから、このフェブラリーSへ向けての陣営の自信は深まるばかりだったという。レース後、矢作調教師が自らの気持ちをこう明かした。

「前回が正直、いいとは思っていなかった中であの競馬。今回は全ての条件が好転していましたからね、かなり自信はありました。逆にそれでメチャクチャ緊張していました」

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