史上5頭目の二刀流GI馬モズアスコット ルメールも驚く変身「新しい馬になった」
矢作調教師は史上2人目、GIレース3連勝
ルメール騎乗の1番人気モズアスコットがフェブラリーSを快勝、史上5頭目となる芝・ダート両方でのGI制覇を達成した 【写真:中原義史】
モズアスコットは今回の勝利で通算21戦7勝(うち海外1戦0勝)、重賞は2018年GI安田記念、20年GIII根岸ステークスに続く3勝目。中央・地方の統一ダートグレードが制定された1997年4月以降、芝・ダート両方でGIを勝利したのはクロフネ、アグネスデジタル、イーグルカフェ、アドマイヤドンに続き、史上5頭目の快挙となった。
また、騎乗したルメール、同馬を管理する矢作芳人調教師はともにフェブラリーS初勝利。矢作調教師は昨年12月の有馬記念、ホープフルステークスに続きGI実施機会3連勝となり、これは1984年のグレード制導入以降、2004年の松田国英調教師以来史上2人目の快挙となった。
矢作調教師(モズアスコットの向かって左隣)は史上2人目となるGI実施機会3連勝の快挙 【写真:中原義史】
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2トップ不在もダート界に超特大の新星出現
しかし、その2強に迫る――いや、もしかしたら凌駕するかもと思わずにはいられない超特大の新星がダートマイル王に駆け上がった。
不振だった芝マイル王がダートで見事に復活した 【写真:中原義史】
主戦・ルメールが言った。芝マイル王決定戦・GI安田記念を連闘で勝つという離れ業をやってのけ、とてつもないマイルチャンピオンが誕生したと競馬界が沸き立った2018年春。しかし、期待とは裏腹にその後、モズアスコットは連戦連敗。8戦を走って未勝利、2着もわずか2回という不振を極めた。
そこで陣営は矛先をダートへと転じたのだが、これが大成功だった。
「矢作先生はすごくいいチョイスをしました。グッドアイデアでした」
通常、いかに芝のGIホースと言えども、勝手が違うダートでいきなりから通用するものではない。人間だってそうだ。ウサイン・ボルトが砂の上を走っても世界一になるとは限らない(いや、ボルトなら砂でも世界で一番速いかもしれないけど……)
そのうえ、モズアスコットはダート初戦の根岸Sでスタートを出遅れており、誰がどう見ても万事休す。ところが、レースを進めてみると、何事もなかったように、そして軽々とダートの強豪馬をなぎ倒した。モノが違うとはこのことだ。
さらに、その根岸Sは休み明けで体調ひと息だったというのだから、このフェブラリーSへ向けての陣営の自信は深まるばかりだったという。レース後、矢作調教師が自らの気持ちをこう明かした。
「前回が正直、いいとは思っていなかった中であの競馬。今回は全ての条件が好転していましたからね、かなり自信はありました。逆にそれでメチャクチャ緊張していました」