東京2020広告に“普通ではない”反響 パナソニック、一大プロモ計画の舞台裏

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“普通ではない”反響を生んだパナソニックの「ビューティフルジャパン」。その裏側をプロジェクトメンバーに聞いた 【パナソニック ビューティフルジャパン】

 2020年、東京オリンピック・パラリンピックの年を迎えた。新国立競技場など競技会場も次々に完成し、大会に向けたムードはいよいよ高まりを見せている。

 この熱気が生まれるよりもっと前の2014年、東京2020をテーマにいち早く動き始めたのが、東京2020大会のトップスポンサー「ワールドワイドパートナー」を務めるパナソニックだ。同社は1988年カルガリー冬季大会から30年以上にわたり、AV機器などの最先端技術で大会をサポート。2006年トリノ冬季大会からはパラリンピックでも公式パートナーとなった。

 同社が2014年に始めた「ビューティフルジャパン」は、女優の綾瀬はるかさんとともに全国47都道府県を巡り、それぞれの地域でスポーツを通じて夢を追う人たちの姿や、日本全国の美しい景色を同社の最新技術を使った鮮やかな映像で残していく、6年にわたる一大プロジェクトだ。この壮大な計画はいかに始まり、何を伝えようとしているのか。プロジェクトメンバーの皆さんに話を聞いた。(取材日:2019年12月3日)

47都道府県すべてが「1/47」の理由

47都道府県をすべて周り、夢を追う人たちの姿を追った 【パナソニック ビューティフルジャパン】

――まず、「ビューティフルジャパン」とはパナソニック内ではどんな位置づけにあるプロジェクトなのでしょうか?

新宮俊夫さん(プロジェクトリーダー) 「ビューティフルジャパン」は、基本的にはブランディング要素と、テレビ販売を通してお客さまに価値を届けるという2面があり、そこの部分が合わさったプロモーションです。

――立ち上げのきっかけは?

新宮 きっかけは2013年の夏ごろです。当時私はテレビ担当をすでに20年近くやっていましたが、テレビ販売のプロモーションは通常、年に2回、商品の発売に合わせ行います。それまでは商品機能で差別化する店頭プロモーションを都度リニューアルする形で行っていて、商業的にオリンピックを使用すると言っても、海外開催のオリンピックの場合は前年の年末・年明けくらい、早くても前年秋ぐらいからプロモーションを始めるのが大概でした。

 それが2013年の夏ごろに「来年度春のテレビの販売をどうさせていくか」というフェーズに来た時に、東京オリンピックに向けて動き出そうと思いついたんです。1964年のオリンピックを体験されたご年配の方々にヒアリングすると「東京オリンピックってすごいんですよ」「日本全体が活気づく」と、私たちが体験していない、いろいろな話をされたので「やはり自国のオリンピックでのプロモーションは早く始めるべきだな」と。

――商品を軸にしていた従来とは異なるプロモーションということになりますね。

新宮 そのころのテレビ売り場では、機能競争でみんな必死になっていました。パナソニックは黒でいくとか、向こうは画素数でいくとか。でも、弊社は東京2020オリンピック・パラリンピックへのスポンサードが決まっていますので、「大会公式テレビ」「大会公式レコーダー」と謳うことができますし、大会への技術提供もしています。その蓄積を一刻も早くやろうと。ですから、6年間一気通貫でオリンピック展示にしていくというのがまずベースにあって、何ができるかと考えた時に、「全県を回る」「映像を蓄積していく」という発想が生まれたんです。

――開催都市の東京だけでなく、47都道府県すべてを対象にするというアイデアはなぜ生まれたのですか?

新宮 自国開催のオリンピック・パラリンピックは年に1回でなく、50年に1度というようなイベントで、それだけ世の中も盛り上がります。ですから、東京一極にするのではなく、できれば“日本のオリンピック”という形にしたほうがいいなと思っています。なぜかというと、われわれのお客さまは全国にいるからです。そういう意味も込めて、全県を均等に47分の1にしようという話になりました。

鐵祐子さん(WEB制作、SNS担当) 「ビューティフルジャパン」では、北海道が「1/47」で青森が「2/47」というように順番に数えるのではなく、どの県を見てもすべて「1/47」になっています。CMをご覧になった方は、不思議に思われているかもしれません。

新宮 最初は1/47、2/47、3/47……と作ったのですが、何か違和感があって。でも、よくよく考えたら「1/47」が全てそろうと「1」になる。全県足して「47/47=1」というコンテンツなんです。

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