【UFC】大病から復活のドス・サントス、テイクダウンマシンのブレイズを迎え撃つ

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【Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images】

日本時間1月26日(日)に開催されるUFCファイトナイト・ノースカロライナのメインイベントでは、ヘビー級トップ5ファイターであるランキング4位のジュニオール・ドス・サントス(ブラジル)と同3位のカーティス・ブレイズ(アメリカ)による、タイトル戦線の生き残りを賭けた一戦が行われる。

ドス・サントス、死に至る感染症で入院していた!

前回、2019年6月大会でフランシス・ガヌーにノックアウト負けを喫し、連勝記録を3で止められたドス・サントスは、それでも大会後記者会見では持ち前のポジティブさで捲土重来(けんどちょうらい)を期していた。


「俺は2008年からずっと、UFCのトップで戦ってきた。1回負けたからといって、自分がトップファイターの1人であることに変わりはないと思っている。ガヌーにはおめでとうと言いたい。俺ももっと練習して、彼とまた戦えるように頑張りたい」


ブラジルに帰国するや直ちにトレーニングを再開したドス・サントスは、その傍らで芸能人ダンス勝ち抜き戦のようなテレビ番組にも出演して華麗にサルサを踊るハッスルぶりを見せた。昨年には子どもも生まれ、公私ともに絶好調だったはずだった。


ところがある日、ジムで何げなく通りすがりにサンドバッグを1発蹴ったところ、翌日にむこうずねが腫れてきた。その日は消炎剤とアイシングで処置をしたドス・サントスだったが、さらにその翌日には腫れがひどくなったため、病院に行くことにしたのだという。


抗生物質でも処方してもらえばすぐに治るだろう。予定されていたアレクサンダー・ボルコフ戦(2019年11月のUFCファイトナイト・モスクワ)には出場できるだろう。そう軽く考えていたドス・サントスだったが、そこから緊急入院を余儀なくされる。


「細菌に感染してしまったんだ。入院1週目に、3度の全身麻酔を受けた。足に穴を開けて感染箇所を洗浄したということだった。翌週には別の箇所で感染が見つかり、また足に穴を開けて洗浄した。その後には開けた穴を閉じる手術もあった。何しろ突然のことで、いったい何がどうなったのか、自分でもよく分からない。とにかく、これほど重い病気になるのは初めての経験だった」


「医者からは、本当に重篤な状況だったと聞かされた。病院に来るのがあと1、2日遅れていたら、あなたは死んでいたかもしれないし、最低でも足を切断することになっただろうと言われたんだ」とドス・サントスは思わぬ闘病生活を振り返る。「衝撃の出来事だった。人って、そんなにもろいのか、と驚いたんだ。だって、ほんの少し前まで体調は絶好調で、ガンガン練習もしていたんだ。それが突然、死ぬかもしれなかっただなんて」


「俺たちファイターは、身体なら丈夫だと思いがちだ。実際に俺ももう長年、風邪一つ引いていない。食事にも気をつけているし、酒もタバコもやらないし、ビタミンのサプリメントもとっている。めったに病気にならない俺が突然こうなってしまうんだから、人生はこうして通り過ぎていくんだなと痛感した」


「試合に勝つこと、家族の面倒を見ること、ダンス番組で活躍すること。以前の俺は目標をたくさん抱えてとても忙しくしていた。それが一気に崩壊したような気分だった。おかげで仕事ができるということを、ありがたいと思うようになったよ」

「再びチャンピオンになるつもりだ」

退院してわずか20日後、ドス・サントスは今回のブレイズ戦のオファーを受諾した。


ブレイズはヘビー級戦線で静かに浮上し続けるトップコンテンダーの1人だ。前回はシャミル・アブドゥラヒモフにノックアウト勝ちを、その前にはジャスティン・ウィルスに完封勝ちを収めている。強みはレスリングで、テイクダウン成功回数45回はケイン・ベラスケスの34回を大きく抜いてヘビー級歴代1位だ。ボクシングを得意とするドス・サントスにとっては、けして相性のよい相手とは言えない。


「手術の影響もあって、キックの練習は足りていない。ただ俺は、これまでに試合のオファーを断ったことがない。オファーはとにかく受ける。対戦相手の分析はその後でいいと思っている。自分の強さに自信を持っているからね。俺はまた、チャンピオンになるつもりだ」


「チャンピオンになるのが無理だと思った時点で、格闘技からは身を引こうと思っている。でも、今のところは無理だと思う理由がない。モチベーションも高いし、練習にもしっかりと打ち込めている」


2012年にベラスケスに敗れてベルトを失って以来、2度の再挑戦でも勝つことができなかったドス・サントス。ドーピング違反を疑われ、無実を証明するまでにたくさんの時間と費用を使ったこともあった。そこへきて今回の感染症と、決して平たんなキャリアではなかったドス・サントスだが、だからこそ逆に闘志をかき立てられるのだという。


「俺は自分が間違った道を歩んでいると思ったことはない。人生や格闘技キャリアで困難なことがあっても、それがこの道なのだと思っている。簡単な道なら、大した価値はないじゃないか。難しいからやりがいがあるんだ」

キエーザ、新天地ウェルター級で飛躍の時

UFCファイトナイト・ノースカロライナのセミメインイベントでは、マイケル・キエーザ(アメリカ)対ハファエル・ドス・アンジョス(ブラジル)のウェルター級戦が行われる。


アル・アイアキンタ、ジム・ミラーといった強敵を下すなど、長らくライト級で実績を積んできたキエーザだったが、UFC 226(2018年7月)のアンソニー・ペティス戦での計量失格(試合も一本負け)を経て階級をウェルター級に上げている。転向後は元暫定王者カルロス・コンジット、ベテランのディエゴ・サンチェスに連勝を収め、好調を維持してきた。


「近年では減量がつらくなっていて、もはやこれ以上、自分の身体と戦うのは無理だった。今は生まれ変わったような気分だ」と語るキエーザ。ウェルター級上位の門番的存在である元ライト級チャンピオンの実力者ドス・アンジョスを下して、現在ランク外から一気に上位進出を目指したいところだ。
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