青森山田と静岡学園が決勝進出を決める 第98回全国高等学校サッカー選手権大会

チーム・協会

第98回全国高等学校サッカー選手権大会は1日11月(土)に、埼玉スタジアム2〇〇2で準決勝を実施しました。

準決勝第1試合

青森山田高校(青森) 2-1(前半1-0、後半1-1) 帝京長岡高校(新潟)

厳しいトーナメントを勝ち上がり準決勝まで辿り着いた青森山田高校(青森)の前に立ちはだかったのは、2回戦からの3試合を9得点無失点で勝ち上がってきた帝京長岡高校(新潟)でした。「準決勝も何が起こるか分からないと危機感を持たせながら挑ませた」(黒田剛監督)ものの、序盤は帝京長岡が好機を演出。10分には、矢尾板岳斗選手が奪ったボールが無人のゴールに転がりながらも、わずかに左外に外れました。

青森山田にとって苦しい時間が続きましたが、16分には古宿理久選手のスルーパスから右サイドを上がった内田陽介選手がダイレクトでクロス。ゴール前に上がったボールを田中翔太選手が頭で合わせて、青森山田が均衡を崩しました。

「内容的に言えば、0-2くらいで負けていてもおかしくないゲームを1-0で折り返せたのは我々にとって幸運」と黒田監督が振り返る展開で前半を終えた青森山田は、後半開始と共に帝京長岡エリアに攻め込みます。47分には武田英寿選手のタメから、右サイドを攻め上がった古宿選手が中央にパス。DFに当たり、ゴール前にこぼれたボールを松木玖生選手が押し込み、リードを2点差に広げました。

再三チャンスをつくりながら、1点が遠かった帝京長岡も77分に田中克幸選手がドリブルから技ありゴールを決めましたが、反撃は及ばず。2-1で熱戦を物にした青森山田が連覇に王手をかけました。

準決勝第2試合

静岡学園高校(静岡) 1-0(前半0-0、後半1-0) 矢板中央高校(栃木)

4試合15得点を奪う攻撃力で準決勝へと進んだ静岡学園高校(静岡)ですが、この日は「相手は攻撃に勢いがあるチームだと分かっていたので、自分たちはしっかり守備から入ろうと試合に挑んだ」と主将の長江皓亮選手が振り返る矢板中央高校(栃木)の守りに苦しみました。

フィールドプレイヤー全員でブロックを敷いた矢板中央に対し、静岡学園は「細かいパスワークや距離感を近くしたワンツーで崩そうと思っていた」(浅倉廉選手)とテクニカルな崩しで対抗します。21分には、浅倉選手がドリブルで3人をかわしてゴールを狙いましたが、藤井陽登選手が鋭い反応でブロック。こぼれ球に反応した小山尚紀選手のシュートも藤井選手が弾き、CKとなりました。

後半も静岡学園のペースは変わりません。33分には途中出場の加納大選手が右サイドで2人をかわして中にパスを入れると、松村優太選手を経由し、小山選手に。冷静な切り返しでマークを外し決定機的なシュートを放ちましたが、カバーに入った長江選手の頭に阻まれました。

集中力を保った矢板中央の守備を崩し切れずPK戦突入が濃厚となる中、試合が動いたのは90+4分。小山選手のポストプレーから、ペナルティーエリア内に侵入した松村選手が倒され、PKを獲得すると自らが落ち着いて決めて勝負あり。苦しみながらも、白星を引き寄せた静岡学園が24年ぶりの決勝進出を決めました。

監督・選手コメント

黒田剛 監督(青森山田高校)
立ち上がりから緊張が見られました。もう少し平常心でアグレッシブに戦うよう指示したのですが、ボールを持たれる時間が多く、危ない場面も幾つかありました。最後の最後でゴールを許さなかったところだけが評価できますし、後半の早い時間帯に追加点が奪えたところまではすごく良かったです。一方で失点する気配がありながらも首の皮一枚という状態で2-0を保てていたのですが、ボールに対するアプローチの距離が空いてしまい、失点を許しました。ゲーム全般では帝京長岡さんらしいテクニカルな崩しや走力に押されてボールを持たれる機会が多かったので、次のゲームはもう少しコンパクトかつ前で守備できるように修正したいです。

晴山岬 選手(帝京長岡高校)
点を決められなかったのはFWとしての仕事ができなかったからなので、一番最悪な結果だと思っています。プロになる上で小さなチャンスを決定機に変えていけないので、今日の経験を生かしていきたいです。この仲間とプレーできるのは今日で最後なので勝って終わりたかったのですが、自分たちのサッカーをこの環境でもできたのは大きく成長できたからだと思います。試合後はみんな泣いていたのを見て、自分たちの色はそんな色じゃないって思いました。僕もめちゃくちゃ泣いたけど、少し笑かすようなことをして、最後は笑顔で終われました。サッカーも最後の終わり方も自分たちの良さを出せたと思います。

阿部健人 選手(静岡学園高校)
これまで前半のうちに取れていた先制点が取れず焦りが見えていたので、落ち着こうと声を掛けました。監督からも「守備で我慢して、得意なドリブルを出そう。仲間を信じて戦おう」と指示があったので、最後まで徹底できて良かったです。自分たちは攻撃が売りですが、攻撃を活性化するためには守備の堅さが必要です。夏以降は徹底してやってきた攻守の切り替えの速さが、試合に上手く結びついているのかなと思います。決勝は今の自分たちのサッカーよりももう一個上に上げて挑みたいです。

高橋健二 監督(矢板中央高校)
初戦から準決勝までの4試合をやってきて、1試合ずつ選手が成長していく姿に感動し、誇らしく思いました。彼らが埼玉スタジアムまで来られたのは指導者としてびっくりしましたが、特に今日のゲームは静岡学園という優勝候補と対戦し、私も選手も劣勢になると予想していました。最後まで諦めずに身体を張って、ひたむきに全員サッカーをしようと話して試合を迎えました。押される場面がほとんどでしたが、最後まで諦めずに身体を張って戦う気持ちが出たゲームだと思います。本当に選手たちがよく頑張ってくれました。

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著者プロフィール

日本サッカー協会(JFA)は、日本サッカー界を統括し代表する団体として、サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の発達と社会の発展に貢献することを目的に活動しています。 JFA公式Webサイトでは、日本代表からグラスルーツまで幅広いサッカーの現場の話題をお届けします。

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