大器コントレイル来春二冠向け視界良好 福永2度目ダービーVへ「距離だけ」

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中山でも完勝「現状、言うことなし」

好位4番手から危なげなく先頭へ、「先頭に立つとまだ躊躇する感じ」と言いながらも他馬とはレベルが違うと思わせる強さだった 【写真:中原義史】

 持って生まれた身体能力だけではない。競馬センスもこの時期の2歳馬としては群を抜いているという。

「とてもいい瞬発力を持った馬ですが、今日のように好位から勝つことができる脚も持っている。センスがいいですね。折り合いに関しては牝馬っぽい繊細さもあるんですが、上手に折り合ってくれました。現状では言うことがないですね」

 レースは好スタートから難なく4番手の好位置をキープ。最初のスタンド前ではやや行きたがる素振りを見せていたものの、1、2コーナーを回るころにはジョッキーの言葉通り、すっかり手の内に入っていた。

「上手に立ち回ってくれましたね。スタートは出るだろうなと思っていましたが、やはり速かったです。ただ、2、3番手には行きたくないなと思っていた中で上手く1コーナーに入っていけました。いい形になりましたね」

 平均ペースで進む中、福永&コントレイルは包まれないように徐々に外に出していき、最後の直線に向くころには2番手に進出。あとは、スッと鞍上が追い出しただけで先頭に立ち、そのまま強く追うところなく後続を突き放した。それでもまだ「先頭に立つと遊んでいる」というのだから末恐ろしい限り。他馬とは1枚も2枚もレベルが違うと思わせる完勝だ。そして福永は、広い東京コースだけではなく、小回り中山コースでも同じような強さを発揮できたことを何より喜んだ。

「そこがすごいところだなと思います。前走(レコードで圧勝した東京スポーツ杯2歳S)の競馬が評価されて今回1番人気になりましたが、前走の東京はレコードが出るくらいの馬場だったのに対し、今回の中山は多少時計がかかっていましたし、コーナーが4つで、求められる要素が全然違う。ここを勝つならたいしたものだなと思っていましたが、こうして結果を出したことはすごく評価できると思います」

二冠ローテ、まずは「皐月賞に直行」

新日本プロレスの獣神サンダー・ライガー(左)と棚橋弘至(右)がゲストプレゼンターを務め、競馬場は大盛り上がり 【写真:中原義史】

 目前に迫った2020年、目指すはもちろん春のクラシックレース二冠だ。同条件の中山2000メートルを完ぺきな形で攻略したことで、皐月賞はすでにチェックメイト状態。陣営の視線はすでに、最大目標であるダービーに向いている。

「やはりダービーは2400メートルになりますからね、距離だけだと思います。皐月賞は問題ないと思いますが、スピードが勝っている馬ですから、このスピードを2400メートルでも生かせるかどうか。ポイントはそこかな」

 二冠への展望を冷静に分析する一方で、福永は「ここを勝った以上に、来年に向けて楽しみなパートナーとクラシックを迎えることができるのは、ジョッキーとしてすごくワクワクします。うれしいですね」と、2018年ワグネリアンに続くダービー2勝目へ手応え十分。また、2012年ダービーをディープブリランテで制した矢作調教師も、2度目のダービー制覇へコントレイルには底知れない可能性を感じ取っている様子だ。

「この馬は1年くらい前に球節を悪くして半年近く休んでいました。それを思うと、とてつもないポテンシャルですね。ディープインパクトに似ているタイプですが、クラシックを戦うためにはあと10キロから15キロほど馬体を増やして成長してほしい。過去の枠にとらわれないくらいの馬に育てていきたい」

来春は皐月賞へ直行、無敗の二冠馬を目指す 【写真:中原義史】

 宝塚&有馬の春秋グランプリに加えて豪州の国際GIも制覇という、すでに過去の枠に収まりきらない名牝リスグラシューを世に送り出した矢作厩舎。来年はそれをさらに超える、東京オリンピックもかすむような規格外ホースが誕生するのか。最後にトレーナーは2020年のローテーションに関して「皐月賞に直行しようと思っています」と明言。サートゥルナーリアと同じパータンで、まずは一冠目を奪取する構えだ。(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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