数分で職場の人間関係が良好に?マインドフルネスに関する3つの調査報告

ヨガジャーナルオンライン

【iStock/fizkes】

毎日職場で瞑想することの利点を強調した最新研究に関して、マインドフルネスは商業的だとか、行き過ぎていると感じている人が多く存在しています。

マインドフルネス・トレーニングは燃え尽き症候群の打開策となるか?

マインドフルネスに関する研究が数多く見られることからも、この利点に異議を唱えることは困難と言えるでしょう。最新研究の1つで9月上旬に科学雑誌「Organizational Behavior and Human Decision Processes」で発表された、マインドフルネスが職場の対人関係に与える影響に関する論文は、その良い例です。実際のところ、企業や組織は、過労やストレスレベルの高い従業員の改善策としてマインドフルネス・プログラムを取り入れているのでしょうか?

研究内容:米国・インドの企業でマインドフルネスを実践

この研究では、ビジネスを専門とする教授チームが、従業員が職場でマインドフルネスの練習に参加した場合、彼らの行動がどのように変化するかについて調査を行いました。

調査1:思いやりのある行動を自己評価

米国の大手保険会社では、従業員に1日当たり7〜10分間、5日間瞑想させ、朝と午後の2回、その日1日にできた思いやりのある行動に関して自己評価を行ってもらいました。

調査2:他社への協力性をヒアリング

一方、インドのITコンサルティング会社では、ある日の午前中、特定の従業員のみにマインドフルネスを少しだけ行ってもらい、彼らがその日どれだけ協力的だったかを同僚にヒアリングしました。

調査3:部下に関する悪いニュースへの反応

これらのフィールド実験によって、マインドフルネスが人々を親切にさせるということはすでに確認できたため、「マインドフルネスを実践するともっと親切になれる理由」を調べるために3つ目の調査が行われました。
実験室では、参加者は15分間の呼吸に集中する瞑想、または15分間の愛と慈しみのメディテーション(Loving Kindness Meditation)、もしくは対照実験としてニューヨーク・タイムスの記事内容に耳を傾けるように依頼されました。その後、参加者たちは部下に関する架空の悪いニュースを聞かされた後、共感できるか、客観的に判断できるか、ポジティブな感情を持っているかどうかを調べる質問に回答しました。

研究結果:職場で社会性のある行動が増える

頭の中に沸き起こる様々な思考から一旦離れて、自分の呼吸や身体に意識を集中するマインドフルネスの練習にたった数分だけでも参加すると、職場で社会性のある行動──他者を助けたり、親切にしたりする行動が増えることが、研究者らによって明らかにされました。
ペンシルベニア大学ウォートン校のオンラインビジネス分析ジャーナルである「Knowledge@Wharton」のインタビューで、この研究の共著者であるリンジー・キャメロンさんは次のように述べます。「最も驚くべき結果は、呼吸に集中する瞑想と愛と慈しみのメディテーションの間に違いがなかったことです。7〜8分間と非常に短いマインドフルネスを行うだけで、あなたはもっと物腰柔らかで、感じの良い親切な同僚になれるのです」
私たちは1日の多くを仕事時間に費やしているため、「マインドフルネスは人間関係を良好にする役目を果たします」とキャメロンさんは指摘します。
R. W.(バック)モンゴメリー氏は、1983年に当時自身が経営していた(現在は売却)化学製造会社で勤務日に瞑想を取り入れ、その結果は驚くべきものでした。その結果に多くの経営責任者たちが注目し、影響を受けています。「瞑想を会社に取り入れてから3年間で、欠勤は85%減少し、生産性は120%上昇し、品質管理は240%上昇しました。一方、怪我は70%低下し、病欠は76%低下し、利益は520%急増しました」とモンゴメリー氏は述べています。
2017年、「National Business Group on Health」(ヘルスケアに関する取り組みを推進する大企業で構成される非営利団体)が発表した調査結果によれば、調査に参加した雇用主の35%はマインドフルネス・トレーニングをすでに社員向けに実施しており、26%がマインドフルネス・トレーニングの実施を検討していると回答していました。
オフィスでマインドフルネス・トレーニングを行うことによって、社員がより効率的に働けるということが証明された今、なぜ経営責任者たちが従業員の積極的参加を求めるかは容易に理解ができるでしょう。

職場でのマインドフルネス・トレーニングは完全に良いことでしょうか?

時事チャンネルVice Newsはこの最新研究に関する議論に加わり、仕事に多くの時間を費やしている現代の狂気に警鐘を鳴らしました。Viceのライターであるケイティ・ウェイさんは、仕事関連のストレスが30年以上にわたって増加するとの最新調査を引用し、「従業員は深呼吸や意識的な呼吸をしたり、デスクでヨガをしたりする必要はありません。私たち働く人間にとって必要なのは適切な賃金、福利厚生、育児休暇、しっかりとした仕事と私生活の分離が必要です」と意見を述べます。
職場でのマインドフルネス・トレーニングは、従業員の燃え尽き症候群の発生を遅らせるためのひねりを加えた策略なのでしょうか?それとも意識の高い上司が一緒に働く同僚たちも日々の生活の質を向上できるよう使用するツールなのでしょうか?
その答えは、私たち自分自身で──マインドフルに──判断しなければいけないのかもしれません。
教えてくれたのは…カイル・ハウスワースさん
カイル・ハウスワースさんは、コロラド州ボルダー在住。コロラド大学ボルダー校を卒業後、ヨガジャーナル編集部のインターンとして勤務している。

Translated by Hanae Yamaguchi
ヨガジャーナルアメリカ版/「Is Corporate Mindfulness Training Just Zen Washing?」
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著者プロフィール

世界のヨガ情報を発信するニュースメディア。ボディメイクに役立つポーズや不調を解消するメソッドのほか、ファッション、ヘルシーフード、ヨガを愛する著名人へのインタビューなど、ビューティ&ヘルス系の最旬トピックスを配信します。

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