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「プランB」と「逆算」で大会を制した侍J
決勝の韓国戦・勝負を分けたポイント

【動画】韓国の仕掛けを止めた近藤の好プレー

 高橋が普段通りにテンポよく投げ込んでいくと、“日本らしい”プレーが飛び出す。3回表、韓国は2番キム・ハソンがレフト前安打で出塁し、続くキム・ジェファンは大きなレフトフライを打ち上げた。これを近藤健介(北海道日本ハム)が捕球すると、一塁走者のキム・ハソンはタッチアップで二塁を狙う。近藤の送球が二塁ベース付近でバウンドすると、セカンドの菊池涼介(広島)がうまく捕ってタッチし、韓国の積極的な仕掛けを止めてみせた。

 高橋がこの回も無失点に抑えると、4回から田口麗斗(巨人)にスイッチ。この交代について、建山コーチはこう説明している。


「できるだけ(山口)俊に3イニングでも投げてもらってと考えていたんですけど、ああいう形だったので(高橋)礼を早く投入せざるを得ませんでした。その中で誰かが2イニングくらいをというところで、田口が仕事をしてくれました」


 首脳陣の期待通りに田口が2イニングを無失点に抑えると、6回を中川皓太(巨人)がきっちり締める。すると7回から甲斐野央(ソフトバンク)、山本由伸(オリックス)、山崎康晃(横浜DeNA)とつなぎ、いずれも1イニングをパーフェクトで抑えて侍ジャパンはプレミア12初優勝をつかみとった。

柔軟な采配で厳しい戦いを乗り切る

優勝を果たし会見に臨む稲葉監督(右)。ケガや不調にあえぐ選手がいる中、柔軟な起用法で勝利を手繰り寄せた(左は大会MVPの鈴木)
優勝を果たし会見に臨む稲葉監督(右)。ケガや不調にあえぐ選手がいる中、柔軟な起用法で勝利を手繰り寄せた(左は大会MVPの鈴木)【写真は共同】

 振り返ればオープニングラウンド初戦のベネズエラ戦から厳しい戦いが続いたなか、自慢の投手力を武器に勝ち抜くことができたのは、9回の最後から継投を「逆算」する形ができたのが大きかったと建山コーチは振り返っている。


「この大会を見ていてもフォアボールからの失点が非常に目立っているなか、(日本は)フォアボールが少なくて三振をとれるピッチャーが後ろに3枚そろっていることが強みでした」


 投手陣が安定感のあるピッチングを見せた一方、打線でも「プランB」がうまく機能した。


 大会前の沖縄合宿中に秋山翔吾(埼玉西武)が故障で戦線離脱するなか、稲葉監督に1番打者の二番手候補と考えられていた山田が、決勝では勝利の立役者になった。スーパーラウンド途中まで先発投手に合わせて捕手を使い分けたが、大会終盤はリード、打撃ともにさえた會澤に先発マスクを任せた。サードの松田宣浩(ソフトバンク)の状態がなかなか上がらなかったものの、ユーティリティーの外崎修汰(西武)をうまく起用し、チームは勢いに乗っていった。


 柔軟な采配でチームを優勝に導いた稲葉監督は、会見で安堵(あんど)の表情を見せた。


「今回はどの試合も楽な展開はありませんでした。選手全員が粘り強くやってくれました。それがこのような結果につながったと思います」


 プレミア12で4年前の雪辱を果たし、来年の東京五輪へ。極度のプレッシャーがかかることが予想される五輪で戦力になれそうな選手を探しながら、優勝という大きな成果を手にした。

中島大輔
中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』(新潮新書)。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』がミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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