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投手コーチが話す「第二先発の難しさ」
韓国戦・勝負を分けたポイント

決勝で投げさせたい者を温存

2番手として登板した大野。無死満塁のピンチをつくってしまったが、味方の好守もあり無失点にしのいだ
2番手として登板した大野。無死満塁のピンチをつくってしまったが、味方の好守もあり無失点にしのいだ【写真は共同】

 4年前の雪辱を期すプレミア12・スーパーラウンド最終戦の韓国戦には、今大会最多の4万4224人が東京ドームに詰めかけた。


 序盤から打ち合いとなった試合は侍ジャパンが10対8で勝利したが、4年前ほどの緊迫感はなかった。前日に韓国がメキシコを下して日本とともに決勝進出を決めており、この日は“消化試合"になったからだ。


 翌日に大一番が控えるなか、直接対決でどんな収穫を得るか。3回裏に6点リードした直後、4回表に5点を奪われた展開は、翌日の決勝を考えると侍ジャパンにとって好材料になったと言えるだろう。


「今日は試合に臨む前に、投げるであろうピッチャーには伝えておきました。そのピッチャーが全員投げました」


 建山義紀投手コーチがそう話したように、決勝で優先的に投げさせたい投手たちは、スーパーラウンド最終戦では起用されなかった。逆に言えば、この日の継投は勝ちパターンを温存しながら、韓国打線のデータを収集することが目的だった。

及第点の大野、結果を出せなかった山岡

 先発の岸孝之(東北楽天)が4回6失点で降板し、2番手として送り込まれたのが大野雄大(中日)だ。


「上と下のバランスがバラバラでしたね。ブルペンはすごく良かったけど。(今大会)3登板目ということもあって、落ち着いて行けたんですけどね」


 大野は三者連続四球で無死満塁。このピンチを無失点で切り抜けることができたのは、満塁になったことで投げ方を変えられたからだ。


「満塁になって、足を上げて投げられるようになったのが良かったですね。クイックのとき、体の上下のバランスが全然合っていなかったので。(満塁になって)足を上げて投げたら初球ストライクが入って、あとはフォークを2球、しっかり腕を振れて投げられました」

 大野は自身について「尻上がりにいくタイプ」と形容し、イニングを重ねるごとに状態が上がっていくと話していた。そうした投手に第二先発の役割を任せることについて、建山コーチは難しさを口にした。


「今のところ僕もそこを一番感じています。山岡(泰輔/オリックス)にしても大野にしても、無理言って難しい場面で行ってもらっているので。ただ、(東京五輪に向けて)どうしてもそこのポジションを担えるピッチャーを探していかないといけないので、彼らに今のところ頑張ってもらっています」

【動画】5回、鈴木、外崎の好連携で相手の生還を阻止

 スーパーラウンドの韓国戦で二番手として登板した大野はピンチを招いたが、一死満塁からライトフライを鈴木誠也(広島)と外崎修汰(埼玉西武)の好連係で本塁併殺とし、無失点でしのいだ。


 しかし後を受けた山岡は2イニング目につかまり、7回途中に降板。シーズン中は先発の役割を果たしてきた二人にとって、中継ぎ特有の難しさがあっただろう。


 それでも建山コーチの言うように、ベンチ入り人数の限られる東京五輪に向け、プレミア12で第二先発の候補を探す必要があった。及第点の大野、結果を出せなかった山岡と明暗分かれたが、そうした結果も含めて意義ある大会となった。

中島大輔
中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた『野球消滅』(新潮新書)。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』がミズノスポーツライター賞の優秀賞。

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