侍の逆風を変えた、今永&會澤バッテリー メキシコ戦・勝負を分けたポイント

中島大輔

完ぺきに仕事を果たしたリリーフ陣

9回を締めた山崎は、前を投げる甲斐野と山本から好影響を受けている 【写真は共同】

 今永が6回を投げて被安打1、1失点と先発の仕事を高いレベルで果たすと、7回から甲斐野央(福岡ソフトバンク)、山本由伸(オリックス)、そして山崎康晃(DeNA)と1イニングずつつないでいく。3人はいずれも落ちるボールを武器とし、甲斐野と山崎は2三振、山本は3つのアウトをすべて空振り三振で奪った。

 最終回を3人で締めた山崎は、甲斐野と山本のつくった好影響を口にしている。

「前に投げるのがいいピッチャーばかりで、バッターが三振していく姿を僕も見ています。彼らに刺激を受けて、僕も三振を求めていく部分はありますね。クローザーは重圧もありますけど、そこを求めてずっとやってきている。ここまでマウンドで経験させてもらっていることが、僕の財産になっているなと感じます」

韓国戦を前に、戦う形が整ってきた

試合後、「自撮り」を行う投手陣。必勝リレーで難敵メキシコを倒し、スーパーラウンド最終戦の韓国戦に弾みをつけた 【写真は共同】

 スーパーラウンド2戦目でアメリカに手痛い敗戦を喫した翌日、先発の今永が初回を三者凡退で抑え、打線がいい流れを受けて序盤に先制し、必勝リレーでメキシコを3対1で下した。侍ジャパンにとって今大会ベストゲームと言える戦いぶりで、稲葉篤紀監督は手応えを感じている様子だった。

「今日は日本らしい、われわれの勝ち方ができたと思います」

 スーパーラウンド初戦から苦しい戦いが続いた侍ジャパンだが、メキシコ戦で風を変えたのが今永と會澤のバッテリーだった。投手が初回からしっかり試合をつくり、少ないチャンスをモノにして守り切る。プレミア12のクライマックスに向け、戦える形が整ってきた。

「このチームで試合をできるのは韓国戦と決勝。悔いがないように、全員で1試合1試合、結束力を持ってやっていきます」

 2日間の練習日をはさみ、16日はいよいよ宿敵・韓国との大一番を迎える。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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