侍の逆風を変えた、今永&會澤バッテリー メキシコ戦・勝負を分けたポイント
立ち上がり、3人連続で初球カーブを投じた理由
メキシコ戦で先発し、6回を1安打1失点に抑えた今永。その裏にはバッテリーを組む會澤との綿密なコミュニケーションがあった 【写真提供:WBSC】
前日のアメリカ戦で嫌な敗戦を喫した翌日、プレミア12のスーパーラウンド第3戦・メキシコ戦で先発の今永昇太(横浜DeNA)と捕手の會澤翼(広島)は、1回表から大胆な配球を仕掛けた。好調の1番・ジョーンズ、2番・ペリオ、3番・キロスに対し、いずれも初球を緩い球で入ったのだ。
「初回の先頭バッターだけ何で行くか話し合って、僕がジョーンズ選手に対して速い系のボールが怖かったのでカーブで行かせてもらいました。その後は會澤さんが見極めてくれて、カットボールよりカーブのほうがいいと初回に感じたのかなと思いますね」
7日の台湾戦以来の先発となった今永はこの日、試合前のブルペンでストレートとチェンジアップの調子が良くないと感じていた。
「そこを(會澤さんに)カーブで修正してもらいました。チェンジアップは不用意なボールにならないように、ボール要求にしっかり答えられたと思います」
一方、會澤は相手打線の対策をしっかり練っていた。
「今永とは宮崎合宿からコミュニケーションを取ってきて、それなりに相手のデータが入っている中で、それなりに試合プランを持って入りました」
初回、今永は先頭打者のジョーンズを低めのチェンジアップで空振り三振に仕留めると、強い打球を打たせずに三者凡退。最高の立ち上がりを見せた。
6回の三者三振は「ゾーンに残さないように」投球
「序盤は変化球が多くなるけど、しっかり頼むわ」
初回を三者凡退に抑えた後、女房役の會澤にそう言われた今永は3回までパーフェクトピッチングで応える。4回表、先頭打者のジョーンズに甘く入ったカットボールをレフトスタンドに運ばれたが、「結果として中に入ってしまったので、投げる前にどういう意図があるサインかをもう1回考え直す、いいきっかけになりました」。
見事だったのは、球数が80球を超えた6回を三者三振に抑えた投球だ。
チャンスで追加点を取れなかった嫌な流れを断ち切るべく、左打者の9番・サラサルには内角低めのチェンジアップを振らせ、まず1アウトをとった。
「ゾーンに残る半速球を外国人のバッターは持っていく力があるので、ゾーンに残さないようにとイメージしていました。ボール球になったら次のボールをまた投げられるので、しっかりそこを意識して投げたらいいところにいってくれたので良かったです」
続くジョーンズには粘られたが8球目のチェンジアップで空振り三振に仕留めると、2番・ペリオにはストレートとチェンジアップでカウントを稼ぎ、最後は高めのカットボールでバットに空を切らせた。
「台湾戦より良かったのは真っすぐですね。いいファウルもなかなかなかったので。僕は真っすぐのピッチャーなので、真っすぐの質は常に一定のところを追い求めたいです」