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重い雰囲気を振り払った菊池の一打
ベネズエラ戦・勝負を分けたポイント

指揮官が打った勝負手

2点を追う8回、稲葉監督はいくつかの勝負手を打った
2点を追う8回、稲葉監督はいくつかの勝負手を打った【写真は共同】

 8回に菊池の一打で重々しい展開を打開する前、稲葉監督はいくつかの勝負手を打っている。


 先頭打者の浅村栄斗(東北楽天)、続く丸佳浩(巨人)が連続四球で出塁すると、8番・松田宣浩(福岡ソフトバンク)に送りバントのサインを出した。結果的にファーストへの小飛球となり、確実に犠打で進めるなら源田壮亮や外崎修汰(ともに西武)を代打で起用してもいい場面だった。


 9番・會澤翼(広島)が四球を選んで一死満塁となり、打順は1番・坂本勇人(巨人)に回る。坂本は強化試合のカナダ戦からタイミングが合っておらず、この日も4打数無安打に倒れていた。


 ここで、稲葉監督は代打・山田哲人(東京ヤクルト)を送る。


「苦汁の決断ではありましたけど、(坂本)勇人も必ず分かってくれていると思います。そういうコミュニケーションはとっているつもりです」


 一方、打席に入った山田は「『どこで出るかわからない』と伝えられていたので、いつ代打を言われてもいい準備をしていました」。そして初球、あわや逆転満塁弾というファウルをレフトポール際に放つと、押し出し四球を選んで同点とした。


「宮崎と沖縄と(事前合宿を)やってきましたけど、それより確実にボールは見えていますし、スイングも良くなってきています」


 先発の山口俊(巨人)は4回1失点とまずまずの投球だったが、首脳陣は早めの継投を決断した。中継ぎ陣は失点こそしたものの、及第点以上の投球を見せた。そして8回、攻撃の策を仕掛けたベンチの決断が重なり、逆転勝利につながった。課題はあるが、苦しい初戦をモノにしたのは何より評価できるだろう。

気になるのは坂本の起用法

 7日の2戦目(対プエルトリコ)に向けて気になるのは、ベネズエラ戦で1番に抜てきした坂本の起用法だ。


 8回に6対4とした場面で、浅村の代走から入った源田がタイムリー内野安打を放っている。2戦目の先発起用に備え、源田に1打席でも立たせたいという意図もあったかもしれない。


 また、浅村は初戦で2安打を放つなど状態が良く、山田を1番に据える場合、稲葉監督がどんな配置にするかも注目される。


「(坂本の起用法は)守備位置の兼ね合いもありますしね。(打線全体についても)相手投手との兼ね合いを見ながら決めていきます」


 ベネズエラ戦に勝利したことで坂本にもう1試合チャンスを与えるのか、あるいは勢いに乗るために手を打っていくのか。高橋礼(ソフトバンク)が先発する2戦目は、今後の戦いに向けてターニングポイントになりそうだ。

中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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