重い雰囲気を振り払った菊池の一打 ベネズエラ戦・勝負を分けたポイント
開幕戦は終盤まで苦しい展開に
2本のタイムリーを放ち初戦勝利に貢献した菊池(写真右)と稲葉監督 【写真は共同】
逆に言えば、ベネズエラのカルロス・スベロ監督にとって会心の展開だった。グループBのオープニングラウンド前日会見に登壇した直後、舞台脇でシュークリームを頬張ってリラックスした指揮官はこう話している。
「オリンピックに出ることができれば、われわれにとって初出場になる。だから、この大会は非常に重要だ。われわれのチームには優れたスカウティング網があり、日本の情報も手に入れているよ」
各国が東京五輪への出場権をかけて臨むプレミア12は、メジャーリーガーが参加していないとはいえ、やはり一筋縄にはいかない。メジャー通算31勝の実績を誇る相手先発ドゥブロンの好投、そして初戦の緊張感も重なり、試合終盤まで侍ジャパンは重い雰囲気に包まれていた。
そんな展開を打破したのは、強化試合のカナダ戦で受けた死球で戦線離脱した秋山翔吾(埼玉西武)とともに侍ジャパンを引っ張ってきた2番・菊池涼介(広島)だった。
2点を追いかける8回裏、侍ジャパンは4つの四球で1点差とし、なお一死満塁。ここで打席に入った菊池は初球、外角高めに投じられた147キロのストレートを振り抜き、レフトへの同点タイムリーで試合を振り出しに戻した。続く3番・近藤健介(北海道日本ハム)の押し出し四球で勝ち越すと、さらに3点を加えた。
土壇場で何とか逆転勝利した稲葉篤紀監督は、今後もデータの少ない相手との対戦が続くことについてこう話した。
「なかなかみんなが調子良く打って、というのは難しい。1つのフォアボールを選んだりする野球をしっかりやっていきながら、みんなが試合に慣れていきながら、打っていければいいと思います」
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右打ちの意識がつながった5回のタイムリー
「セカンドでもファーストでも、ゴロを転がせば1点入ると思っていました。1点入ればいいなという意識がすごくあった。結果的に野手の頭を越えてくれたので良かったけど、セカンドゴロでもいいと思って入ったのが良かったです」
相手の2番手・ソティレットが投じたのは内角への146キロツーシームで、難しい球だった。右方向への意識があったからこそ、菊池はうまく回転してライトへ運ぶことができた。
「自チームでも右打ちとか進塁打を毎年やっています。2番に入ったということは、そういうことも期待されていると思います。何とか後ろにつなげられるように。ノーサインでもセーフティ(バントヒット)をしようかなと思う打席もいっぱいありますし、自分ができることをやる。今日はそれがいい方にいっただけなので、また切り替えて、自分のできることをやれればいいかなと思います」