2年目の「eBASEBALL プロリーグ」開幕! 実況アナウンサーが語る競技の魅力

ベースボール・タイムズ

11月3日、いよいよ2年目の「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズンが開幕する(写真は昨シーズンのもの) 【(C)Nippon Professional Baseball / (C)Konami Digital Entertainment】

 2019年11月3日、「eBASEBALL プロリーグ」の2019シーズンが開幕する。

 昨シーズンは、西武が圧倒的な打撃力でパ・リーグを制し、今年1月12日に東京ビッグサイトTFTホールで行われたe日本シリーズでセ・リーグ王者の横浜DeNAを倒して初代日本一に輝いた。迎える2年目のシーズンは、選手増やルール変更を行って、さらに進化&魅力アップ。その見どころを、1年目から実況を担当する清水久嗣アナウンサーに詳しく、そして深く熱く、聞いた。

「手応えを感じた」1年目から「ワクワク感」の2年目へ

インタビューに答える清水久嗣アナウンサー 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――いよいよ2年目のシーズンが開幕となります。これまでいろいろと準備をされてきた中で、1年目とはまた違う心境でもあると思います。

 1年目のシーズンが今年の1月に終わって、そこからもう9カ月経つ訳ですけど、その間に選手も変わり、データも変わり、ルールも変わりました。僕自身、選手との交流もあったので、去年の開幕前とは少し違う感覚があります。ドキドキ感よりもワクワク感。去年は初めてのことだらけで、「どうなるのかな」という不安もありましたけど、今年はそういう気持ちよりも、ワクワク感が大きいですね。

――去年は西武が初代日本一に輝きました。1年目のシーズンを振り返って、いかがでしたか?

 試合自体の盛り上がりもそうですけど、その場に新聞記者の方が取材に来ていただいたり、NHKの夕方のニュース、普通のスポーツニュースの中で取り上げていただいたりして、「これはすごいことだな」と思いました。

 僕もお手伝いをさせてもらって、すごくいい経験をさせてもらいました。プロリーグが始まる前にも、「パワプロチャンピオンシップス」という形でトーナメント大会は行われていて、そこで実績を残した選手たちを中心にeドラフト会議で各球団に分かれて戦った訳ですけど、強いと言われていた選手がなかなか勝てなかったり、劇的な試合展開があったりして、その中で徐々に観戦者の数も増えていって、最後のe日本シリーズは会場に入りきれないくらいの方が集まった。やりながら手応えを感じていきましたし、盛り上がりを感じることができました。

――その中で「eBASEBALL」の実況を担当されました。これまではラジオやテレビで実際のプロ野球の実況をされてきましたが、また違う難しさがあったのではないでしょうか。

 僕は子供の頃から『パワプロ(実況パワフルプロ野球)』で遊んできた人間だったので、そんなに難しさを感じることはなかったですけど、先輩のアナウンサーに聞くと「テンポが速い」と言います。それは間違いない。圧倒的なスピード感が「eBASEBALL」にはあります。

 その速いテンポで行われる試合の中で、解説者とプレイヤーゲストに話を振りながら、目の前のプレーを追わないといけない。それは大変でしたね。でも、見る方にとってはテンポの良さというのはいいことだと思いますし、20分ぐらいで1試合を楽しめるので、とっつきやすいと思います。

――手探りの面もあった1年目の経験を経て、迎える2年目のシーズン。もっとこういう実況をしたいという部分はありますか?

 一つは「ホームラン」ですね。

 試合中、解説の方に話を振っている間にホームランが出るケースが結構ありました。ランナーがたまってピンチやチャンスになれば目の前のプレーの実況に集中するんですけど、ソロホームランで「ガツン!」と打たれると難しい。「○○さん、○○ですよね〜。あ〜ちょっと待ってください! 打ちました〜!」って感じになってしまう(苦笑)。そこはちょっと工夫しないといけないですね。

 例えばラジオだと、ピッチャーが投球モーションに入ったら解説の方は話をしないという暗黙の了解があるんですけど、ゲームだとテンポが速いので、その間を取っていたら解説の話がまったくできなくなってしまいますから、そこをアナウンサーがうまくコントロールしないといけない。やっぱり野球の華は「三振」や「ホームラン」だと思いますので、それを邪魔してはいけませんし、その華が際立つようにしないといけない。ホームランの爽快感をつぶさないようにしたいですね。

去年のリベンジ組と注目のルーキープレイヤー

eペナントレースに挑む個性豊かなプレイヤーたちにも注目したい(写真は昨シーズンのもの) 【(C)Nippon Professional Baseball / (C)Konami Digital Entertainment】

――清水さん自身、パワプロは子どもの頃からやっていたということですが?

 はい。1994年の初代から、スーパーファミコンの時からやっていましたね。もともと僕は阪神ファンなので、タイガースのチームを使っていましたけど、当時はパ・リーグの試合をテレビで見ることができなかったので、ゲームの中ではパ・リーグのチームを使って戦ったりもしていました。サクセスモードもやりましたね。

――ゲームの特徴、操作の仕方を知っているというのは実況面でも役立っている?

 少しはあるでしょうけど、でも実際に選手たちに操作方法などを聞くと、異次元の話になりますね。コントローラーを使って同じ操作をしているのに、まったく違うものを動かしている感じがする。彼らが簡単にやってしまうので自分でもできるんじゃないかと思うんですけど、まぁできないですね。

 例えば「ナイスピッチ」というのもの。彼らは60〜70%の確率で当たり前のように出すんですけど、僕はどれだけ頑張っても20〜30%だったりする。やろうと思ってもなかなかできるものじゃない。やっぱりプロプレイヤーはすごいんだなと思いますね。

――そのプレイヤーたちですが、今年は9月16日に「eドラフト会議」が行われ、今年は各球団の代表選手が3人から4人に増えました。注目している選手はいますか?

 まずはマエピーこと、前田恭兵選手ですね。2017年のパワプロチャンピオンシップス王者として注目されていたんですが、去年は交通事故に遭う不運な出来事もあったりして、開幕から一度も勝てなかった。最後の方は声をかけられないぐらいでしたから……。その悔しさを持って、今年はどういう戦いをしてくれるのか。去年はヤクルトでしたが、今年は西武からドラフト指名されたので、また違う戦い方を見せられると思いますし、彼が勝たないとこのリーグの針は動かないと思います。

 もう一人、菅原翔太選手(中日)にも期待したいですね。17年の準優勝者なんですが、副業禁止の公務員だったこともあって、去年はボランティアの解説という立場で一緒に盛り上げてくれました。その彼が今年は公務員を辞めて転職して、プレイヤーとして参戦することが決まった。実力は確かなので、これからの彼の人生を応援する意味でも頑張ってもらいたいですね。


――昨シーズンは参加していなかったルーキーたちの中にも注目のプレイヤーがいるようですが?

 中高生大会のチャンピオン(※2019年8月に行われたeBASEBALL全国中学高校生大会-共同通信デジタル杯-の決勝大会で優勝)で、柳虎士郎選手(ロッテ)は、何と言っても若さが魅力ですね。やっぱり若いとうまくなるのも早いんですよね。去年はスプラトゥーン世界王者の吉田友樹選手(巨人)がパワプロ歴3カ月でプロになって、シーズンが進む中でどんどん強くなっていきました。それと同じように、柳選手も最初は苦戦するかもしれませんが、戦いながら成長していくんだろうなと思っています。

 伸びしろという意味では、新井宇輝選手(中日)にも注目です。卓球の団体戦で日本一になった経験があって、反射神経、動体視力は抜群です。小学生の頃は張本智和選手と対戦していたそうで、取材慣れしているのか、まだ高校生なんですけど受け答えもすごく落ち着いているんですよね。こういうメンタルの持ち主こそ、緊張する舞台で力が発揮できる。普段、自宅でプレーしているのと、大勢の人がいて解説もされながらのプレーでは、全く違うと思います。腕前に大きな差はないと感じているので、最後はそういうメンタルの勝負になるんじゃないかと思います。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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