日本代表、南ア撃破のシナリオは? データで見るラグビーW杯準々決勝

斉藤健仁

前回大会では「ブライトンの奇跡」

史上初の決勝トーナメント進出を果たした日本代表が、南アフリカ代表に挑む 【写真:アフロ】

 初の準々決勝で、再び「奇跡」を起こせるか。

 ラグビーワールドカップの予選プールで4連勝を達成し、初めて決勝トーナメントに進出したプールA1位の日本代表(世界ランキング7位)は10月20日、東京スタジアムでプールB2位の南アフリカ代表(同5位)と激突する。

 優勝2回を誇る「スプリングボクス」こと南アフリカ代表と言えば、前回大会において日本代表が34対32で勝利し「ブライトンの奇跡」を起こした相手だった。だが今年の9月6日には7対41で大敗し、通算成績は1勝1敗だ。

 日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHCは「選手を見れば南アフリカ代表が何をしてくるかわかる。相手にボールを渡して、FWのディフェンスで相手をつぶしてそこから勝機を見いだしてくるが、それに対してしっかりと準備をしてきた。相手は我々が何をするかわからない」と自信をのぞかせていた。

 日本代表がベスト4に進出するために、南アフリカ代表相手にどういった戦い方をすべきか、データ(STATS、共同通信デジタル提供)から考察していきたい。

セットプレーに自信を持つ南アフリカ

ラインアウトでボールを片手でキャッチする南アフリカ代表RG・スナイマン 【写真:ロイター/アフロ】

 まず、予選プールで27トライ、185点と最多得点だった南アフリカ代表は、控えにFW6人を入れたことでもわかるようにスクラム、セットプレーでプレッシャーをかけてくることは間違いない。スクラムや接点でペナルティを取られ、自陣ゴール前でラインアウトのチャンスを与えて、ドライビングモールからHOムボンゲニ・ムボナンビやマルコム・マークスらにトライを許すというケースは極力、避けたい。

 南アフリカ代表の今大会のラインアウト成功率は、マイボールの機会が47回あって、なんと100%と安定している。相手ボールのスチールも6回と多く、ラインアウトが大きな武器だ。モールやスクラムを起点としたトライを減らし、予選プール4戦で見せたような粘りのディフェンスを見せることができれば、接戦に持ち込むことができる。

 日本代表はスクラムで、どうにかマイボールのボールを出し、相手ボールでは反則をせずに五分に持ち込み、ラインアウトを極力少なくする方向でゲームを組み立てていくはずだ。逆に、南アフリカ代表はできるだけスローペースに持ち込んでくるだろう。ただジョセフHCが指導するモールディフェンスは大会を通して良くなってきていることは光明のひとつだ。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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