可視化して振り返る2019年ドラフト会議 戦力の「穴」を埋められた球団は?

ベースボール・タイムズ

巨人:くじを2度外すも将来に期待!

【ベースボール・タイムズ】

 今年も抽選くじを外した。それも2度。しかし、1位で高校生右腕の堀田賢慎(青森山田高)、2位で社会人右腕の太田龍(JR東日本)と成長が楽しみな逸材を指名し、3位では長打力が光る高校生スラッガーの菊田拡和(常総学院高)にも手を伸ばした。派手ではないが、将来的に成功する可能性の秘めたドラフトになったと言える。

 年齢的に補強が必要だった捕手には、高校生の山瀬慎之助(星稜高)を5位で指名。文字通り「ポスト阿部“慎之助”」を指名したが、彼がどこまで成長できるか。即戦力としては物足りないが、内外野の高校生も1人ずつ指名しており、バランスをうまくまとめた印象だ。

DeNA:チーム事情に合った次代のスターを一本釣り!

【ベースボール・タイムズ】

 今年も1位の単独指名に成功。地元・神奈川からスター候補・森敬斗(桐蔭学園高)の交渉権を手に入れた。次代のチームを担う若手内野手は明確なターゲットだっただけに、チーム編成的にも理にかなった指名だ。

 そして2位以下では、大学生の投手2人と外野手1人を指名して来季の戦いを見据えつつ、将来の正捕手候補として東妻純平(智弁和歌山高)を4位で指名。チームの年齢分布的には22歳から25歳の即戦力捕手を加えたかったが、そこは東妻の成長度に期待することにしよう。下位指名の高校生も高い能力を持っており、ドラフト当日の戦略は成功したと言えるだろう。

阪神:甲子園のスターを次々と獲得!

【ベースボール・タイムズ】

 外れ1位の西純矢(創志学園高)以下、甲子園を沸かせた高校生を一気に5人指名。近年のドラフトから一気に方針転換し、大きなインパクトを残した。西は高い完成度で早い段階から活躍できる力を持っており、2位指名の井上広大(履正社高)は地元出身の将来の4番候補。西とともに“高校ビッグ4”の一角に数えられた及川雅貴(横浜高)は将来のエース候補で、遠藤成(東海大相模高)は今季限りで退団する鳥谷敬の後継者になり得る。

 高卒の若手選手はチームの明らかな補強ポイントであった点でも評価できる指名となった。あとはこの逸材たちをどう成長させるか。球団の「育成力」が改めて試されることになる。

広島:森下の単独指名に成功&バランスも上々

【ベースボール・タイムズ】

 競合の可能性が高かった森下暢仁(明治大)の単独指名に成功。2位では俊足強打の大学生外野手・宇草孔基(法政大)、3位では高校生右腕の鈴木寛人(霞ヶ浦高)を指名した。来季を戦う上で森下の存在は非常に大きいと言えるだろう。

 そして年齢分布的な穴だった19歳から21歳の左腕、22歳から25歳の捕手も指名してチーム全体のバランスを取ることにも成功。昨年の小園に続いて指名した高校生内野手の韮澤雄也(花咲徳栄高)も、将来の二遊間候補として期待大。欲を言えば即戦力投手をもう1枚、2枚欲しかったところだが、楽しみな面々をそろえたと言えるだろう。

中日:またも強運発揮、地元スターの交渉権を獲得!

【ベースボール・タイムズ】

 またも与田剛監督の剛腕がうなり、3球団競合の末に地元出身のスラッガー・石川の交渉権を手にした。昨年の根尾昂との「魅惑の三遊間形成」にファンの期待も広がる。

 さらに2位では大学生左腕の橋本侑樹(大阪商業大)、4位で大学生捕手の郡司裕也(慶応義塾大)と、年齢的な補強ポイントあるいはそれに近い指名に成功した。即戦力投手として完成度の高い岡野祐一郎(東芝)を3位で指名し、全体的なバランスも取った。

 ただ、高校生外野手の指名がなかった点は気になる。来年のドラフトでは是非とも、高齢化が進む外野手の若返りに着手してもらいたい。

ヤクルト:見事に奥川の交渉権を獲得!

【ベースボール・タイムズ】

 高津臣吾監督が見事に奥川の交渉権を獲得。将来のエース候補として期待するだけでなく、チーム事情を考えると、来季からでも出番がありそうだ。その投手力不足を解決すべく、ウェーバー順で一番初めだった2位で大学生右腕・吉田大喜(日本体育大)を指名。3位で杉山晃基(創価大)、4位で大西広樹(大阪商業大)と即戦力投手を次々と指名し、来季の戦いを見据えた。

 また、野手陣の若返りも必要だっただけに、高校生内野手を2人指名した点は評価できる。しかし、チームの穴だった左投手、そして捕手の指名が一人もなかったのは残念。奥川を手に入れたことで十分に合格点を与えられるが、“もっと完璧に”できたドラフトでもあっただろう。

(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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