ドラフト直前、各球団の「穴」を可視化 年齢分布から見る補強ポイントは?

ベースボール・タイムズ
 2019年のプロ野球ドラフト会議がきょう17日に行われる。

 今年は投手に逸材が多く、特に高校生では163キロ右腕の佐々木朗希(大船渡高)、甲子園準Vの奥川恭伸(星稜高)、この新世代の怪物2人が入札での重複が予想される。さらに、西純矢(創志学園高)と及川雅貴(横浜高)も上位候補だ。大学・社会人では、大学ジャパンのエース・森下暢仁(明治大)がトップ評価。野手では、U-18侍ジャパンの4番・石川昂弥(東邦高)の1位指名が確実視されている。

 その中で、今年は各球団がどのような戦略を持って“運命の日”に臨むのか。目先の勝利だけでなく、長期的なプランを持ってチームを作り、スムーズな世代交代を推し進めることが常勝軍団を構築するためには必要になる。そこで各球団の現有戦力の年齢分布を「右投手」、「左投手」、「捕手」、「内野手」、「外野手」のポジション別に分け、それぞれの“穴”を明らかにし、補強ポイントを可視化したい。

(注)選手の年齢は2020年4月1日時点で分布(育成選手、外国人枠の選手を除く)

西武:将来の左腕エース&投手力全体の底上げ!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の左投手

 リーグ連覇を果たした埼玉西武。その原動力は強力打線であり、課題が投手陣にあることは明らかだ。現状の投手陣を見ると、今井達也が21歳で高橋光成、松本航が20代前半、多和田慎三郎、本田圭佑は20代中盤だが、いずれも右腕。昨オフに抜けた菊池雄星(マリナーズ)の後継者となり得る高校生左腕を指名したいところだ。

 野手陣では、秋山翔吾のFA流出が懸念されるが、現チームには愛斗と鈴木将平といった楽しみな若手がいる。外野手を指名するなら20代後半が手薄なことを考えても、即戦力の大学・社会人か。それでも最優先すべきは投手陣の底上げ。そして将来の左腕エース候補になる。

ソフトバンク:チームの顔となれる高校生右腕を!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の右投手

 2年連続で下克上での日本シリーズ進出を果たした福岡ソフトバンク。松田宣浩、内川聖一ら主力野手の高齢化が気になるところだが、チーム内にはしっかりと“次”が控えているために彼らの成長に期待。これまで通り、数年後を見据えた中でバランスよく指名すればいいだろう。その上で、年齢分布的には高校生右腕を加えておきたい。

 将来、主軸を担えるスラッガータイプの高校生野手を指名するとともに、2年前のドラフトで外れ外れ外れの1位で指名した吉住晴斗に続く高校生右腕を指名し、数年後のチームの顔として育てたい。

楽天:生え抜きスター誕生へ、高校生野手の積極指名を!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の左投手
穴:19-21歳の内野手
穴:19-21歳の外野手

 石井一久GMの下で戦力補強を進める東北楽天。今ドラフトでもチームの若返りをさらに促進させたい。年齢分布では19歳から21歳の野手が、内外野ともに圧倒的に足りていない。長期スパンでのチーム作りを念頭に入れ、球団生え抜きのスター選手を誕生させるためにも、1位指名では投手を指名しつつ、2位以下で高校生野手の指名を積極果敢に行ってもらいたい。

 また、投手では辛島航、森原康平、石橋良太、弓削隼人ら、今季結果を残した面々が、ドラフト時はいずれも下位指名。今年もスカウト陣の眼力による“掘り出し物”に期待したい。

ロッテ:足りないピースを埋めろ!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の左投手
穴:19-21歳の捕手
穴:22-25歳の外野手

 井口資仁監督の下、チーム改革を進めている千葉ロッテ。近年、平沢大河、安田尚憲、藤原恭大と高校生野手の逸材をドラフト1位で指名してきたが、チーム全体を考えるとまだまだピースが足りない。新時代のマリーンズを作り上げるべく、将来のスター候補と言える高校生を引き続き指名したい。

 ドラフト候補者を見ても「今年は投手」にすべきだろうが、バランス的には左投手と捕手を加えたいところ。特に24歳以下の捕手が1人もおらず、今ドラフトで好素材がそろっている捕手は必ず指名しておきたい。また、22歳から25歳の外野手も0人。1年目から活躍できる大学・社会人の外野手をチームに加えて、層を厚くしておくのも有効だろう。

日本ハム:高いポテンシャルを持つ好素材を!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の外野手

 競合覚悟で「その年のナンバーワンを指名する」という信念の下、すでに佐々木の1位指名を公言している北海道日本ハム。近年、絶えず新陳代謝を図ってきた結果、ベテラン不在の中で主力の多くが20代で、平均年齢は非常に若い。昨年のドラフトで高校生を全ポジションに計5人指名したことで、ポジション的な穴もなくなった。

 強いて言うなら、21歳以下が万波中正のみの高卒外野手だろうが、現在の主力にはプロ入り後に守備位置を変更した者も多く、それほど守備位置にこだわる必要はない。身体能力に優れ、高いポテンシャルを持つ好素材を指名すればいい。未完の大器の指名こそ、「育成のファイターズ」の真骨頂だろう。

オリックス:高校生の左投手と捕手がターゲット!

【ベースボール・タイムズ】

穴:19-21歳の左投手
穴:19-21歳の捕手

 今季は最下位に沈んだとはいえ、世代交代を推し進めてきた成果が徐々に現れているオリックス。しかし、チーム全体の年齢分布を見ると、19歳から21歳の左投手と捕手が0人になっており、今ドラフトのターゲットの一つになる。

 左投手は2年前に田嶋大樹、昨年は左澤優、富山凌雅の2人を指名したが、捕手は24歳の若月健矢が最も若いという状況。「左投手」と「捕手」は、どのチームも求めている補強ポイントであるだけに、他球団よりも先んじて指名したいところ。ウェーバー制をうまく利用しながら効率的に用紙に書き込みたい。その上で将来、キャプテンとなってチーム全体を引っ張っていけるリーダーシップを持った人材がほしい。

<次ページはセ・リーグ各球団の「穴」を可視化>

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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