Day4【ドーハ世界選手権】デイリーハイライト&選手コメント

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

男子110mH・高山、日本人国外最高記録で準決勝へ!
女子やり投・北口は、6cm差で決勝に届かず

大会4日目の9月30日は、コーニッシュで行われるロード種目がないため、ハリーファスタジアムで行われるトラック&フィールド種目のみの実施となりました。日本勢は、女子やり投と男子110mHの予選に登場しました。

A・Bの2組に分かれて行われた女子やり投予選には、今年5月に64m36の日本記録を樹立して、日本選手権終了後、チェコへ渡ってトレーニングを積んできていた北口榛花選手(日本大学、ダイヤモンドアスリート修了生)と、日本選手権で日本歴代3位の62m88をマークした佐藤由佳選手(ニコニコのり)が出場。北口選手が先に実施されたA組に、佐藤選手はB組に分かれての出場となりました。予選通過記録は63m50で、突破者が12名に満たない場合は、記録の上位順に12名までが決勝に進出します。

まず、A組が、大会4日目最初の種目として16時30分に競技開始。第10投てき者としてピットに立った北口選手は1回目を57m34でスタートすると、2回目の試技で60m84へと記録を伸ばし、この段階でA組の4位に浮上しましたが、その後も北口選手の記録を上回る者が出てきて、少しずつ順位を下げていきます。北口選手は3回目でも再び60m台に乗せる60m54をマークしたものの、2回目を上回ることができず競技を終了。3回目の試技が終了した段階で、A組7位として、B組の結果を待つことになりました。

18時から開始されたB組では、1回目の試技で北口選手の記録を上回った選手は2名でしたが、2回目以降でこれを上回る選手が増えてきます。3回目の試技で12位まで順位を落とした北口選手の前に立ちふさがったのは、世界記録保持者(72m28)のBarbora Špotáková選手(チェコ)。北口選手が理想像とし、またチェコ滞在中には接点を持つ機会にも恵まれた選手です。Špotáková選手は、1回目をファウル、2回目は58m27と精彩を欠いていましたが、3回目できっちりと62m15を投げて全体の6番目にジャンプアップ。これにより北口選手は「あと1人」の13位で競技を終了することとなりました。決勝進出を決めた12位の選手との差は、わずか6cmという悔しい結果でした。

予選B組に出場していた佐藤選手は、1回目51m88、2回目はファウルと、うまく本来の投てきを出すことができません。3回目に記録を伸ばしたものの55m05にとどまり、組15位、全体では29位で競技を終えました。



男子110mHは、昨年から今年にかけて日本記録(その時点の日本タイ記録を含む)をマークしてきた金井大旺(ミズノ)、泉谷駿介(順天堂大学)、高山峻野(ゼンリン)の3選手が代表入りを決め、初のフルエントリーが実現していました。しかし、レース直前の段階で、泉谷選手が右ハムストリングスの肉離れによる欠場を発表したため、2組に入った金井選手と4組に入った高山選手の2人が、5組上位4着+4の条件に挑むこととなりました。

金井選手は、得意とするスタートで飛び出したものの、中盤でハードルに脚をぶつけたことで踏み切り位置に狂いが出て次第に後退、13秒74(+0.5)・7着でのフィニッシュとなりました。一方、予選からいきなり今季世界1位(12秒98)のGrant Holloway選手(アメリカ)と隣り合う形となった高山選手は、「1台目をぶつけてバランスを崩した」と自身が振り返った入りになったものの、その後、うまく立て直して2着でフィニッシュ。全体で5番目となる13秒32(+0.4)で、中1日空けて行われる準決勝への進出を果たしました。13秒32は、高山選手にとっては自己4番目のタイムですが、従来の日本記録(13秒36)を上回るもので、日本人国外最高記録でもあります。

【フォート・キシモト】

【予選・準決勝結果&コメント】

◎北口 榛花(日本大学)
女子やり投 予選A組 7位 60m84

最初の3本以内に60mを投げることができたのは、よかったことなのだが、コーチにも、自分のなかにも、「あと1mくらい欲しい」という気持ちがあった。(これから予選B組の結果を待たなければならない)今が、一番気持ちが悪い。次の結果を見たくない(笑)という気持ち。

60m台を(最初の)3本以内に投げられたことは、(チェコでトレーニングをしていたときに)海外を転戦していったときもなかった。60mを越えることができたのは、勝負がかかってきた6本目になってからとかだったので、その点は、投げることができた今回は、とてもよかったと思う。技術的には、やりがまっすぐに飛んでいなかったので、そのぶん完全にロスしていたことが悔しいところである。助走自体は、まあまあよかった。(それだけに)やっぱりあと「もう1m」が欲しかった。

この大会に向けては、(渡航先のチェコで)コーチとしっかり3カ月かけて準備をしてきた。試合を用いて、(この大会のための)リハーサルまでして臨んでいた。(現地入りするにあたって)今回は、日本に戻らず、チェコから直接ドーハに入った。日本から来たみんなは時差ぼけに苦しんでいたが、チェコとは時差が1時間しかないので、私は元気に過ごすことができている。また、ドーハは確かに暑かったが、自分がイメージしていたほどではなかったので、体調はすごくいい状態で臨めていた。

シニアの世界選手権は初めてだったが、周りは一緒に試合をしたことがある選手ばかり。特に緊張することもなく、みんなと普通に話しながら(試合を)やっていた。ちょうど、「ちょっと大きめの、強い選手が集まる大会」という感じ。自分はいつも通りに過ごすことができた。

チェコでは、技術的に大きく変えた点はないが、全体的な筋力アップや走力アップを図ってきた。途中で日本人が恋しくなったりしたが、コーチがそばにいて、チームメイトにもいろいろな記録を目指して頑張っている子たちがいっぱいいるなかで練習できたことで、「私も頑張らなくちゃな」という気持ちになったし、何よりコーチのメニューをしっかりこなして、3カ月間しっかりと体力的には調子を上げてくることができたことはよかったと思っている。

【フォート・キシモト】

◎佐藤 友佳(ニコニコのり)
女子やり投 予選B組 15位 55m03

悔しい世界選手権になった。自分のなかで、つくり上げていたイメージとはほど遠い投てきをしてしまった。特に1本目、2本目が、本当に全く自分じゃないような投てきをしてしまった。

その原因としては、やはり世界選手権ということで、自分のなかで気持ちのつくり方だったり、調整の仕方だったりというのをしようと思ったあまりに、力みすぎてしまったように思う。意気込みすぎてしまったところがあったかなと思う。

ウォーミングアップのときの感覚は、悪くはなかった。そこまでめちゃくちゃいいというわけではなかったのだが、「ある程度、投げられるだろう」という感覚があった。ただ、やはり緊張はしていたと思う。

(3回目の試技は)「飛んでいってくれ」と思っていた。55m03(まで記録が伸びたの)は、1・2本目の修正ができたというよりは、1・2本目がいつもの投げができていなかったなかで、3本目はいつもの投げができたという感じだった。あれが練習投で普通にできていたら、1投目から感覚がもっとよかったのかなとも思う。

初めての世界選手権。会場に入った瞬間に、世界の舞台というのを肌で感じて、雰囲気というのも楽しめた。入った瞬間から「やってやろう」という気持ちがあった。世界の選手を生で見ることができて、近くで67mの投てきを見ることができたので、これを、本当に自分の来年のオリンピックにつなげられたらなと思っている。

今日したミスは、すべて来年につなげられるように、自分でコントロールしながら挑戦したい。来年の東京オリンピックは、出ることが目標ではなく、世界で戦うことが目標。来年までのプランをしっかり立ててやっていきたい。

【フォート・キシモト】

◎金井 大旺(ミズノ)
男子110mH 予選 2組7着 13秒74(+0.5)

自分が思っている以上にタイムも出なくて、本当に悔しい思いでいっぱいである。スタートはいつも通りに出られたのだが、やはり後半がかなり失速してしまった。ハードルに脚をぶつけてしまって、そこからどんどん踏み切りが噛み合わなくなってしまった。ぶつけてしまったのは中盤辺り、5台目あたりから全部ぶつけてしまった。

今までに感じたことがないようなスタートラインに立ったときの雰囲気があった。今までにないような雰囲気で、今までのなかで一番盛り上がっているようにも感じた。会場も広く感じられて、(同じ会場で行われた4月の)アジア選手権とはまた違う、いい雰囲気が感じられた。

思った以上にタイムが出なかったことが、すごく悔しいので、10台のハードリングすべての正確性を高めていくことが、今後、この舞台で戦うためには必要だなと思った。後半、踏み切りが近くなってハードルに当たっていってしまっているので、その正確性がやはり、来年に向けて必要だと思う。




◎泉谷 駿介(順天堂大学)
男子110mH 予選 3組 欠場

※右大腿二頭筋の肉離れにより、当日、欠場を発表

【フォート・キシモト】

◎高山 峻野(ゼンリン)
男子110mH 予選 4組2着 13秒32(+0.4) =準決勝へ

思ったよりも日本と同じようにいつも通り走ることができた。そこがよかったと思う。隣のレーンに12秒98のグラント・ホロウェイ選手(アメリカ)が入っていて、前日にそのスタートリストを見てちょっと絶望していたのだが、当日は落ち着いて、最初は前に出られるのはわかっていたので、それを踏まえて準備した。ホロウェイ選手は、予選は流していて、アップ場でもそんなに本気でアップしている感じではなかった。その点、まだ上がってくると思う。そこはたぶん、まだまだ差ができると思う。

反省点は1台目をぶつけてしまって、バランスを崩して並ばれてしまったところ。準決勝では、そこを解消して、3台目までにしっかりレースをつくることができたらと思う。

タイムは、13秒4くらいかなという感触だった。思ったよりもタイムが出ていたので嬉しい。

(日本を出発するとき不安も話していたが)生活自体がけっこううまく行った。食事面でも、寝るときも、うまくいったことがよかったと思う。

準決勝では、おそらく速い人が隣になってくると思う。そこで冷静に、前に出られても冷静な走りができるように頑張りたい。

(決勝は見えてきた? の問いに)いや、タイム的にはちょっと厳しいと思うので、まずは自分の走りをしっかりして、それでどこまでいけるのかということに挑戦してみたい。修正するところは特になくて、普段、練習でやっているところをしっかり出すだけ。ここで何か(新しいことを)やろうとしても失敗する。冷静に頑張りたい。
大会に関する情報は、世界選手権特設サイト( https://www.jaaf.or.jp/wch/doha2019/ )、日本陸連公式Twitterを、ご参照ください。

>>より深く楽しむ!人に言いたくなる「世界陸上特集」はこちら(ASICSサイト)
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/trackfield/sekairikujo?utm_campaign=doha_jaafcp_190927&utm_source=jaaf&utm_medium=media

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

陸上競技界の様々な情報を、より早く、より深く、より沢山お届けいたします。 日本代表やトップアスリートたちの素顔、大会の裏側、データで見るコラムなど、ここでしか読むことができないコンテンツをお楽しみください。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント