日本代表、3戦目は「フィジカルな挑戦」 データで見るサモア代表の特徴

斉藤健仁

サモア相手にスクラムで優位に立ちたい

日本代表HO坂手淳史(中央)には、セットプレーの安定も求められる 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 またサモア代表が初戦と2戦目でデータ的に下がったのはセットプレーだ。初戦はラインアウトの成功率が90%(9/10)、マイボールスクラムの成功率は100%(4/4)だった。だが2戦目は、ラインアウトは89%(14/16)だったものの、マイボールスクラムの成功率は71%(5/7)、さらに相手ボールのスクラムでも2度反則をしている。

 データからサモア代表は、スクラムでスコットランド代表からプレッシャーをかなり受けていたことがわかる。日本代表はスクラムでアイルランド代表とも対等に戦っており、サモア代表戦ではスクラムで優位に立ちたいところだ。HO坂手は「(サモア代表は)重さを持って前に出てくるようなスクラムを組んでくるので、引いてしまうとダメという印象です。8人で固まっていいスクラムを組めれば」と意気込んでいる。

FW第3列の戦いで上回ることができるか?

攻守に激しいプレーが持ち味のサモア代表TJ・イオアネ 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 サモア代表の警戒すべき選手は、過去2試合で11回、12回とボールキャリー数でトップだったFBティム・ナナイウィリアムズだ。スーパーラグビーのチーフスで活躍し、トップリーグのリコーにも在籍した選手のため、日本でもよく知られている。キックを使った時に彼のカウンターに注意したい。
 またロシア代表戦で2トライを挙げて、11試合で11トライをマークしているエースWTBエド・フィドウ(前の試合で退場処分も日本代表戦の出場が可能に)もボールを渡したくない選手である。

 また過去2試合でタックル回数が20回以上だったTJ・イオアネを筆頭に、キャプテンのNo.8ジャック・ラム、FLクリス・ブイのバックローの3人はタックル回数も多く、攻守にわたって接点でもよく絡んでいる。日本代表もFLリーチ、ピーター・ラブスカフニ、No.8姫野和樹の3人が運動量、フィジカルで相手のバックローよりも上回りたい。

 日本代表は前回大会でもサモア代表と対戦し26対5で勝利している。今回の対戦でもFW勝負、接点で互角以上に戦い、セットプレーでプレッシャーをかけて、相手をイライラさせて、反則を誘うことで主導権を握りたい。また後半、相手の運動量がなくなってきたところで、ベテランのHO堀江翔太、SH 田中史朗、スピードスターの福岡堅樹といった経験豊富な選手を投入し、しっかりと試合を締めたい。

 日本代表が目標とするワールドカップベスト8に向けて、まずは勝利が一番である。そして、展開次第で4トライ以上を挙げてボーナスポイントも獲得し、いい形で予選プール最後のスコットランド代表戦を迎えたいところだ。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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