2年目の大谷を現地記者がデータ分析「最高級の打球速度とスピードを兼備」

杉浦大介
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提供:日本航空

二刀流復帰の来季、どんな活躍を予測?

トミー・ジョン手術明けの今季は打者に専念する一方、投手としてのリバビリも進めてきた大谷 【Getty Images】

――数字から少し離れた部分になりますが、大谷は2年連続ケガでフルシーズンをプレーできなかったことになります。彼のプレーをよく見ているあなたはこのケガの多さを懸念材料と感じていますか?

 少なくとも現時点で、私はそうは感じていません。大谷は昨年、トミー・ジョン手術を受ける結果になりましたが、最近は多くのピッチャーがこの手術を受けています。彼だけが特筆されるべきではないし、手術から復帰後に大活躍している選手もたくさんいます。2年連続サイ・ヤング賞の有力候補になっているジェイコブ・デグロム(メッツ)もその一人ですね。

 こういった例を見ても、大谷がトミー・ジョン手術を余儀なくされたことは深刻に捉えられ過ぎるべきではない。そして今回、手術を受けた右膝は先天的なものということで、“新たな故障”と考えられるべきですらないのかもしれません。

――そのとてつもない能力は身体の許容範囲を超えているのではないかという見方もありますが、あなたはそう感じてはいないということですね。

 今後にまたをケガをするかもしれないし、しないかもしれない。どうなるかは分かりませんが、これまでの2つのケガを見て、他の選手より故障のリスクが高いと捉えるべきだとは思いません。

――来季、大谷は再び“二刀流”に戻ることが計画されています。どんな活躍を予測しますか?

 理想を言えば、投打の両面で1年目同様の働きを期待したいところです。現実的には打撃面では1年目と今季の間くらいか、あるいは今季くらいの成績かもしれません。繰り返しになりますが、たとえそうだとしても大谷はメジャーの平均以上の打者なのです。

 それに加えて、しばらく見ていないので忘れている人も多いでしょうが、彼は投手としても一級品。昨季、101マイル(約162.5キロ)以上の球を1試合で複数回投げた先発ピッチャーは大谷だけでした。それでいて彼のベストの持ち球は速球ではなく、スプリットなんですからね。これだけの能力を持った選手ですから、トミー・ジョン手術から復帰1年目の来季、開幕当初は適応の時間が必要かもしれませんが、最終的に優れた貢献を果たす可能性は高いでしょう。

昨季のスプリットは「メジャー最高の持ち球」

今回のインタビューに答えてくれたアドラー記者。日本メディアにも度々登場している 【杉浦大介】

――あなたが考える“大谷のベストの球種”であるスプリットについて、もう少し掘り下げてもらえますか?

 昨季の大谷のスプリットは“メジャー最高の持ち球”だったかもしれません。

 被打率は.036(55打数2安打)で、55打数のうち35が三振でした。スプリットが投じられた際には60%近い打席が三振に終わり、空振り率も55%を超えていました。先発投手が投げた球の中では三振率、空振り率はどちらもトップ。だとすれば“最高の持ち球”と呼んでも大げさではないはずです。

 復帰後に同じ結果が出せるかは分かりませんが、彼は速球以外にスライダー、カーブも持っていることも忘れるべきではない。昨季に関しては、すべての球種が縦変化量、横変化量のいずれかで平均以上の数値を示しています。スプリットの縦変化量、カーブの縦横変化量、スライダーの横変化量がすべてハイレベルだったので、来季も似た水準を保てる可能性は高いと考えます。

――それらのデータから、大谷に似たレベルの投手を挙げるとすると誰になるでしょうか?

 ボールのスピード、ムーブメントといった観点で見ると、インディアンスのマイク・クレビンジャー、カブスのダルビッシュ有、ドジャースのウォーカー・ビューラーといった投手たちが比較対象になります。それぞれ素晴らしい才能に恵まれたピッチャーだとすぐに気付くはず。先ほどOPS+の話をしたときに打撃面で比肩し得る選手の名前を出しましたが、こういった比較ゆえに、大谷が投打の両面でエリートレベルだと分かるはずです。

――個人的に最も似ていると思う投手は誰ですか?

 レッドソックスのネーサン・イオバルディですね。去年のワールドシリーズで世界一に輝いたチームに非常に重要な貢献を果たし、名前を知られた投手です。イオバルディもトミー・ジョン手術から復帰したばかりで、復帰後も複数回にわたって100マイル(約160.9キロ)以上の速球を投げています。

 イオバルディのスプリットは大谷のそれに軌道が似ていて、真っすぐ縦に落ちてきます。イオバルディが得意とするカットファストボールを大谷は投げませんが、100マイル以上の速球、落差の大きいスプリットには共通点があると思います。

JALは、日米間の渡航サポートを通じて、世界を舞台に挑戦を続ける大谷選手を応援しています

【(C)Japan Airlines】

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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