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レガネスとヘタフェ、彼らが生きる道は…
ラ・リーガ探訪記(2)

レガネスのマスコット「スーパーきゅうり」

レガネスのマスコット「スーパーきゅうり」。まさにファニー(面白い)を実践している
レガネスのマスコット「スーパーきゅうり」。まさにファニー(面白い)を実践している【スポーツナビ】

「僕たちはレアルではない。レアルがスマートなら、レガネスはファニー(面白い)でないといけない」


 レガネスのクラブ関係者は強いまなざしでそう語った。


 ラ・リーガによるメディアツアー、2日目(現地時間25日)と、3日目(同26日)はいずれも、マドリード近郊のクラブを巡るツアーとなった。


 冒頭の発言は、初日に訪れたレガネスで広報・マーケティング部門を担当する、ビクトル・モラレス氏のものである。


 よほどのサッカーフリークでない限り、深く知ることはないかもしれないレガネス。それもそのはず、1928年のクラブ創設から約90年続く歴史の中で、トップリーグ昇格は2016−17シーズンが初めて。以降、粘り強く残留を勝ち取ってきているクラブだ。


 そもそも、10年前にクラブは最大の危機に陥っている。経営を巡るトラブルとともに、世界的な不況が襲い、給与未払いの事態も起こった。とある試合では、タッチラインへとボールを蹴り出し、すべての選手が片膝をつき、プレーしない意思を示したことがある。

「とても、とても、いろいろなことがあった……」。当時の映像を見せながら、別のクラブ関係者もその説明の際に、言葉がつまっていた。苦難を乗り越え、クラブは現在、最下位(第6節終了時)に沈んでいるが、トップレベルの舞台で奮闘している。

レガネスのロッカールームを公開。最下位ながらトップレベルの舞台で奮闘している
レガネスのロッカールームを公開。最下位ながらトップレベルの舞台で奮闘している【スポーツナビ】

 マドリード中心部から車で、30分ほどで着くレガネス。ビッグクラブがひしめく中で、アイデアあふれるイベントやマーケティングを展開しているが、最もインパクト大なのが、「SUPER PEPINO」というマスコット。日本語に訳すと、「スーパーきゅうり」。見た目そのままのネーミングであるが、満面の笑みで記者たちを出迎えると、コミカルな動きで大好評。何でも、一度引退していた(理由は不明)が、昨シーズンの開幕に合わせて、復活したとのこと。こうした話題作りのうまさも彼らならではであろう。

ビッグクラブに生かされている現実も

ヘタフェは経営事情を説明。話題が欧州スーパーリーグに及ぶと、本音も垣間見えた
ヘタフェは経営事情を説明。話題が欧州スーパーリーグに及ぶと、本音も垣間見えた【写真提供:LaLiga】

 続いて向かったのは、同じくマドリード中心部から近いヘタフェ。柴崎岳(現デポルティーボ・ラコルーニャ)が在籍していたことでも有名だが、今シーズンはヨーロッパリーグに参戦するなど、徐々に存在感を高めているクラブだ。


 ヘタフェのクラブ関係者はよりリアルな経営事情を教えてくれた。バルセロナ戦、レアル・マドリー戦のチケット販売は「クレイジー」。重要なのはその他の試合ということ。収益の向上は、リーグ全体の放映権料向上と、その分配によるものが大きいこと、などなどだ。


 しかし、冗舌に話していたクラブ関係者が気色ばむ質問もあった。それは構想が聞こえてくる欧州スーパーリーグに関するもの。彼らのようなクラブにとって、ビッグクラブのプライオリティーが変わってしまうことは、直接経営に響いてくる。「(実現してしまえば)参加クラブが(国内リーグに)2ndチームを出してくることも考えられる。国内リーグはどうするのか、それはフットボールなのか」。慎重に言葉を選びながら、関係者はこう答えた。


 レアル・マドリ―やアトレティコ・マドリ―といったビッグクラブの中で、独自の存在感を示そうとするレガネスとヘタフェ。一方で、ビッグクラブとそれが生み出す世界的な価値によって、生かされている現実も確かに存在している。

サンティアゴ・ベルナベウのスタジアムツアーは大盛況。スケールの大きさに圧倒された
サンティアゴ・ベルナベウのスタジアムツアーは大盛況。スケールの大きさに圧倒された【写真提供:LaLiga】

 この日の最後は、レアル・マドリーの本拠地、サンティアゴ・ベルナベウのスタジアムツアーであった。レガネス、ヘタフェと巡ってきた関係もあるだろうか、世界的なビッグクラブが持つスケールに圧倒される結果となった。スタジアムツアーは盛況だ。数えきれないほどのトロフィー、生み出した多くのバロンドーラーの特別展示。そして、何より8万人を収容するスタジアムは巨大で、観客席やVIP席、ロッカールームの観覧を終えれば、1時間以上はかかっていた。この歴史あるスタジアムは、2020年の改修完了を目指して、大規模工事の真っ最中。来年には、前衛的なスタジアムが誕生するだろう。


 この2日間で同一リーグとは思えないような規模感の違いを見ることになった。


 しかし、レアル・マドリーのスタジアムを出た後、インドネシア人記者がつぶやいていた内容には大いに同意したい。


「彼ら(レガネス、ヘタフェ)は確かに小さいが、おそろしく情熱的だ」


(取材・文:大迫拓郎/スポーツナビ)

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