ラグビーW杯を楽しむために大切なことは? 組織委員会、ミック・ライト氏が存分に語る
売り子のヒントを得たのは「神宮球場」
公演後には、会場からさまざまな質問が寄せられた 【スポーツナビ】
――事前キャンプを含め、全国のキャンプ地の詳細なスケジュールはなぜ公表しないのか?
いい質問です、2つ理由があります。1つは、チームのプライバシーをきちんと尊重しなければならないからです。先ほど申し上げたように、彼らがベストなパフォーマンスができないというような、言い訳を一切作らないようにしないといけません。なので、チームがどこで練習を行うかということは開示していません。2つ目は警備上の問題です。チームの活動を行う環境がしっかりとコントロールされている状況を、私たちの方で作らなければならないのです。
――例えば台風の場合、試合は中止になってしまうのか。それとも延期があるのか?
これは私たちが考えていかなければならない、最もチャレンジングなところになります。開催都市と密に連絡を取り合うということも含まれていますし、交通輸送の機関とも連携をとらなくてはなりません。そして緊急サービスというところとも連携をとり、そういったことを考えると皆さんの安全を第一優先にして考えなくてはいけない。私たちにとってはラグビーW杯を行うことが一番重要なんだと思いがちですが、ただ、現実は命が最重要、安全が最重要です。また、契約しているプロの気象情報を提供する会社があり、非常に正確な気象情報を提供してもらいます。そういった情報を元に、どういったタイミングでどこに台風が来るかということを、頭に入れていきながら計画していきます。簡単にキャンセルする、延期するという形のものではないのです。
――ウェールズの試合を2試合観戦しますが、ウェールズのサポーターと仲良くなる方法を教えてほしい。
簡単です。近寄って「ビールをおごるよ」と言えば、二つのことが起きるでしょう。逆におごってもらうことになるかもしれません。そして、生涯ずっと友達でいられるということになります。ただそこでちゃんと心構えをしておかなければならないのは、ウェールズと一緒にいるときは、カラオケでしっかりと歌えるような強い喉を持っている必要があります。ウェールズのサポーターは、歌うと本当に驚くほど素晴らしいものを持っています。何はともあれ、まずはビール。そして歌うことです。
――W杯の準備のために、日本で他に視察したスポーツはあるか?
私は熱烈な東京ヤクルトスワローズファンです(笑)。ちょうどオフィスのすぐ向こう側でプレーしているので、売り子さんのアイディアもそこから取りました。また、サッカーも何試合も見に行きました。ラグビーとは大きく異なると感じたのは、試合が開始するだいぶ前から会場にいらっしゃるというところです。こういったことが、ラグビーW杯でも素晴らしい雰囲気を作ると思います。
――日本大会が成功したと言える一番のファクターは何か?
一番重要なのは、心に残るような素晴らしいラグビーの大会をここで行うということです。なので成功をはかる上では、いろいろな形でそれを評価していきますが、各チームが自分たちの最高のパフォーマンスがそのピッチ上で発揮できたと実感してもらうこと。それに、日本の人たちから大きな歓迎を受けて、皆さんから暖かく迎え入れてもらえるということ。そういったことが感じてもらえるように、実践しないといけないと思います。なので、参加された皆さんに「本当にユニークで特別な大会だったね」と思ってもらえるようにしたいです。これは一生に一度の経験だと思います。そして、(イングランドの)エディ・ジョーンズ監督に、優勝カップを持って帰ってきてもらいたいです。