「初めてのラグビー」への戸惑いと発見 サッカー脳で愉しむラグビーW杯(9月20日)
サッカーファンもラグビーを楽しめる?
ロシアとの初戦に勝利し、安堵の表情でスタジアムを後にする日本のサポーター。次は28日のアイルランド戦だ。 【宇都宮徹壱】
普段、サッカーの話題で埋め尽くされているタイムラインも、この日ばかりはラグビーW杯で盛り上がっていた。その多くは、私と同じく普段はラグビーと縁遠い人々だが、むしろサッカーとの違いを楽しんでいる様子。かくいう私も、そのひとりだ。松島のトライが取り消されたビデオ判定は、VARではなくTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)と言うこと。選手交代では、ベンチ入りした全員を起用できること。そしてジャッジへの異議やブーイングがないこともまた、いちサッカーファンにとって新鮮な発見であった。
もともと1863年に枝分かれするまで、サッカーとラグビーは同じ「フットボール」。その後、それぞれ独自の進化を遂げる中、ラグビーはサッカー以上にルール改正を重ねていく。その結果として複雑化したラグビーのルールが、われわれサッカーファンを遠ざけることとなった(ように感じる)。しかし両者は、最も血のつながりが濃い兄弟の関係。ならば、今回のW杯で観戦を重ねるうちに、サッカーファンもラグビーを楽しめるようになるのではないか──。そんな仮説を実証していくのが、当連載の目的である。
実は連載を始めるにあたり、ラグビーのルールに関する本を数冊読んでみたのだが、なかなか頭に入ってこない。そのうち「生半可な知識を仕込んでも仕方ない」という結論に達した。むしろ20年以上のサッカー取材での経験をベースに、ラグビーに関しては「知ったかぶりをしない」、そして「サッカーとの違いを愉しむ」という姿勢を貫いていきたい。試合の分析や解説はプロにお任せして、当連載では「サッカー脳で愉しむラグビーW杯」というテーマを、とことん追求してゆく。最後までお付き合いいただければ幸いである。