連載:アスリートに聞いた“オリパラ観戦力”の高め方

落合知也が明かすパイオニアとしての矜持 バスケ「3x3」にかける情熱と競技の魅力

C-NAPS編集部

東京五輪から正式種目になった3人制バスケットボール「3x3」の魅力を語る、落合知也 【写真:C-NAPS編集部】

 NBAで活躍するスター選手の台頭などもあり、日本でも注目度が急上昇中のバスケットボール界。多くの競技人口を誇るメジャー競技だが、2020年東京五輪から3人制バスケットボール「3x3(スリーエックススリー)」が新種目として採用されたことを知らない人もいるだろう。

 そんな新種目において、国際バスケットボール連盟が正式競技として認める前からプレーし続ける日本のパイオニアがいる。それが、落合知也(TOKYO DIME)だ。3x3日本代表として日の丸を背負うのはもちろん、個人としても数多くの世界大会で活躍。世界的にもスター選手の1人として認知されている。また、5人制のバスケットボールでもプレーしていて、現在はB2(Bリーグ2部)の越谷アルファーズにも所属するマルチプレーヤーだ。

 日本でもすでに3x3のプロリーグが立ち上がっており、全国各地で興行が催されるなど国内での人気は年々高まっている。今回は日本の3x3の歴史を築いてきた落合に、五輪における見どころや観戦方法、競技の魅力などを聞いた。

攻守の切り替えが早く、スピーディーな展開が特徴の3x3

 3x3は5人制のバスケットボールとは全く違う競技と思ってもらって構いません。決定的に異なるのはシュートを入れるリングが1つであること。コートはハーフコートより少し小さいスペースで、1チーム3人で試合を行います。試合時間も10分間と短く、さらにどちらかのチームが先に21点を取ると「ノックアウト」でその時点で試合終了です。

 得点のルールも異なります。5人制の3ポイントは3x3では2ポイントで、2ポイントとフリースローは1ポイントになります。5人制よりも2ポイントシュートの比重が大きいため、外角シュートを有効に決められると試合に勝つ確率が高まりますし、強いチームはそのシュートがよく入るイメージですね。さらにショットクロック(ボールを保持したチームがシュートを打つまでの時間)も5人制の半分の12秒のため、シュート回数が多く、攻守の展開が非常にスピーディーなのが競技の魅力です。

 攻守の切り替えが早いため、個人の創造性や状況判断能力が5人制以上に求められます。試合中はコーチが指示を出せないので、フロアバランスを見て自分自身で考えて判断できる選手でないと活躍するのは難しいでしょう。

 また、さまざまな部分で“タフ”さが必要です。体のぶつかり合いが多く、激しいプレーの応酬なので5人制よりもフィジカル的な強さが求められます。試合会場は基本的に屋外で、山の中や漁港、ショッピングモール、街中の広場などさまざま。そのため、暑さや寒さ、風などの影響も受けるなど、プレーする環境は一定条件ではありません。どんな状況下であっても最大限のパフォーマンスを発揮できるかどうか、精神面の強さも問われます。フィジカル・メンタル両面のタフさがなければ戦えない“サバイバル能力”が問われる競技なんですよね。

5人制に比べて激しくスピーディーなところが魅力の3x3。選手個々の“サバイバル能力”が問われる競技だ 【(C) 3x3.EXE PREMIER 2019】

 3x3では五輪代表が個人のポイントランキングによって決まるところも注目すべき点です。代表選手は各国4人選ばれますが、そのうちの2人は3x3の個人のポイントランキング上位10人の中から選ばれます。残りの2人に関しても54000ポイント以上を保持している選手の中から選ぶ必要があります。3x3ではポイントが選手の評価を分ける重要な指標となっているのです。

 この個人ポイントは国際バスケットボール連盟が認めている3x3のさまざまな大会で獲得できます。それぞれの大会にはグレードがあり、頂点が「ワールドツアー」、その下が「チャレンジャー」などレベル分けは10段階。選手は代表やクラブチームで国内外の大会に出場し、ポイントを獲得してランキングの上位を目指します。

 今、僕が日本ランキング1位なのも、ワールドツアーなどグレードの高い大会に出場してある程度の成績を残せているからです。ただ、個人ポイントの有効期限は1年間なので、どんなに実績があっても毎年戦い続けないと上位をキープできません。自分も3年前に前十字靭帯断裂した際は、試合に出られずランキングを大きく下げました。非常にシビアな世界です。ポイントを獲得するためには代表でもクラブでも世界の舞台でしのぎを削らなければなりませんが、常にチャレンジできるところに自分はやりがいを感じています。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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