ラグビーW杯を最大限に楽しむために! 日本が「急成長した4年間」を見届けよう

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

ラグビーW杯をより深く楽しむためのコツは?(写真は日本代表ウェルカムセレモニーの様子) 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団と、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会が主催する「みなとスポーツフォーラム 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)に向けて」の第99回が9月9日、東京都港区で行われた。

 今回は「ラグビーワールドカップをめちゃくちゃ楽しもう!」というテーマのもと、ラグビージャーナリストの小林深緑郎氏、村上晃一氏を招き、サッカー解説でおなじみのフリーアナウンサー・倉敷保雄氏の進行で講演が行われた。

※第97回、第98回の講演レポートは後日公開予定

「日本ラグビーが最も急成長した4年間」

講演にはラグビージャーナリストの小林深緑郎氏、村上晃一氏が講師として参加 【スポーツナビ】

 倉敷氏の「お2人にはラグビーに詳しくない人にも、思わず『言いふらしくたくなる一言』をたくさん教えてもらいます」という声掛けから始まった今回の講演。ラグビーを熟知する小林氏、村上氏ならではのW杯の楽しみ方や裏話に会場は大いに盛り上がりを見せた。

 まず言及したのは、9月6日に行われた南アフリカとのテストマッチについて。2015年のW杯で「ジャイアント・キリング」を起こした相手との再戦ということもあり、注目度は高く、会場には2万人以上の観客が詰めかけた。しかし、結果は7−41で敗戦。W杯直前のこの時期に格上である南アフリカと試合をする必要はあったのだろうか。

 村上氏は「僕は必要だったと思います」としながら、その理由をこう述べた。

「まずティア1の10カ国全部と試合をする。そしてW杯前に一番強い国と試合をするというのは、ジェイミー・ジョセフHCがずっと考えていたこと。その経験値を持ってW杯に行くことが大事。負けたにもかかわらず、HCの表情は明るかったと思いますが、彼なりに手応えを感じたんだと思います。失点数を抑えようと思ったら、もっと僅差の試合ができたと思いますが、そういった試合運びにも日本の底力を感じました」

南アフリカとのテストマッチについては、小林氏と村上氏はともに「必要だった」と評価 【写真:ロイター/アフロ】

 小林氏はこう付け加える。

「今のジャパンは力が上がっていて、どのくらい通用するかを試したかったのだと思います。手応えをつかんだと思いますし、南アフリカと試合をしたことはまったくマイナスの要素はなく、むしろプラスしかないと思います」

 ラグビー界には、世界ランキングとは別にティア(tier)という階級が存在する。強豪国で構成される「ティア1」、中堅国の「ティア2」、強化途中の「ティア3」で成り立っており、「ティア1」に分類されるのは南アフリカを始めとした「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」を戦う4カ国と、「シックス・ネーションズ(欧州6カ国対抗戦)」に参加する6カ国。日本は前回大会終了後から、自国開催のW杯に向けて、「ティア1」の国々とのテストマッチを重ねながら、世界基準を意識した強化を進めてきた。

 村上氏はそんな4年間を「日本ラグビーが最も急成長した4年間」と評し期待を込める。また、村上氏は合宿中のある変化について教えてくれた。

「(前HCの)エディ・ジョーンズの厳しい練習に耐えられたのも、W杯あってこそ。4年前に練習を取材していたときの選手の表情は本当にしんどそうで、選手同士の会話もほとんどなかった。でも今の日本代表は違うんです。当時と同じか、それ以上に負荷のある練習をしているにもかかわらず、選手の表情は晴れやかで、選手同士がよく話しをしている。それも選手たちが自ら考えてプレーできるようになったからだと思います」

プール戦の結果はズバリ「3勝1敗」!?

2人が日本代表に「期待すること」とは?(写真は日本代表の会見の様子) 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 W杯でプールAに所属する日本は、20日の開幕戦でロシア、28日にアイルランド、10月5日にサモア、そして13日の最終戦でスコットランドと対戦する。決勝トーナメントに進出するためにも重要となるロシア戦について、村上氏はポイントをこう語る。

「ロシアはフィジカルを押し出してくるチーム。だからこそ、日本はそこで負けないでほしいと思っています。相手の長所であるフィジカルで逆に日本が勝つ。そうすればロシアの強みは消えるので、4トライ以上が取れる試合展開になると思います」

 小林氏は日本が32-27で逆転勝利を収めた、昨年11月のロシアとのテストマッチに触れつつ、こう指摘する。

「昨年はロシアの想像以上のフィジカルの強さに、若い選手たちが対応できずに押し込まれた。その経験があるので、ロシアが簡単な相手ではないという意識は全員が持っていると思います。そういう意味でも、今度の対戦は心配していません。(注意すべき選手は)センターの13番、ウラジミール・オストロウシコ。体の強い選手ですが、その選手をしっかり抑えることで勝利が見えてくると思います」

 日本とロシアの過去の対戦成績は5勝1敗。アップセットが起きづらいラグビーの競技特性から言えば、試合展開はほぼこの対戦成績どおりになると考えてもいい。日本がロシアのフィジカルを上回り、いかに試合をコントロールするかが鍵になる。

世界ランク首位に立つアイルランド代表。チームの中心は10番のジョナサン・セクストンだ 【写真:ロイター/アフロ】

 続いて対戦するのは、世界ランキング首位(9日発表時点)に立つアイルランドだ。チームの中心となるのは、10番のジョナサン・セクストン。小林いわく「北半球トップレベルの司令塔」で、パスもうまく自分でトライを取ることもでき、さらにはキックに関しても天才的なセンスを持っているという。地力に勝るアイルランドに勝利するのは難しいということもあり、3戦目のサモア戦での勝利が大きな意味を持つ。

 村上氏は「サモア戦で勝利して、2勝1敗。そしてスコットランドとの最終戦に臨むのが理想の展開」と話す。また、先日の南アフリカ戦で負傷した福岡堅樹に関して、「けが自体は思ったよりも重くなく、試合には出られるかもしれない。是が非でも勝ちたいサモア戦までに、万全の状態に戻すことができれば、これ以上ない戦力になる。福岡は絶対に必要な選手です」と力を込めた。

 話が熱を帯びていく中、倉敷氏から「今大会における、日本代表の大胆予想を聞かせてください」との質問が飛んだ。すると、くしくも2人の予想は同じで「3勝1敗。グループ2位を確保し、準々決勝でオールブラックスに負ける」というもの。2人は「オールブラックスに負けて敗退したとしても、日本ラグビーにとっては歴史的なこと。ぜひ勝利を目指して頑張ってほしい」と口をそろえた。

 最後に「日本に期待すること」を問われた2人はこう語り、講演を締めくくった。

「前回大会ではトライをあまり取れなかったので、毎試合4トライ以上取ってほしいと思っています」(小林氏)

「もちろん勝つことが一番ではありますが、試合を見たお客さんが『これだけやっても勝てなかったのか』と思うような、出し切った試合をしてほしい。そして負けたときには、相手を称えられればと思います。前回大会で南アフリカが日本に負けた際に、南アフリカを応援していた人たちは、笑顔で日本を称えて握手してくれた。負けるのは悔しいけれど、もしそうなったときには相手を称えられたらと。日本はそうした成熟した観戦の文化がある国なんだなと、世界に発信できたらと思っています」(村上氏)

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