幕を閉じた大谷翔平の2年目 リハビリ過程の中、手術決断の裏側

丹羽政善
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提供:日本航空

外角ベルト付近がパワーゾーン

 時計の針を少し戻す。

 昨年、マイク・リーク(ダイヤモンドバックス)やマイク・マイナー(レンジャーズ)といった制球力で勝負するタイプの投手に大谷の攻略について聞くと、共通して「外角のベルト付近は危ない」と指摘した。

 まだ、大谷に対して7打数無安打とヒットを許していないマルコ・ゴンザレス(マリナーズ)とも少し前に話をしたとき、「外角のベルト付近を避けること」と教えてくれた。

「そこが、パワーゾーンなんだ」

2018年大谷翔平:本塁打を打ったコース 【出典『baseballsavant.mlb.com』】

 なるほど、昨季の22本塁打はどのコースを打ったのか。それを調べると、一番多いのは、彼らが言うように外角のベルト付近だった。

 今年の17本塁打を含めると、こうなった。

2018.19年大谷翔平:本塁打を打ったコース 【出典『baseballsavant.mlb.com』】

 より真ん中に、パワーゾーンが集中している。

得意コースで打ち損じが目立つ

8月下旬〜9月初旬の10試合、大谷は打率.111と苦しんでいた 【Getty Images】

 ところが、である。

 大谷は8月23日から9月4日までの10試合で、36打数4安打(打率.111)、2四球、16三振、出塁率.158と極端な不振に陥ったが、この時期、彼が言ったように、その得意なはずのコースで空振りやファウルが目立った。

 この間、真ん中、もしくは外角のベルト付近に来た球は12球。ヒットは本人が“結果オーライ”と表現した1本のみ。内野ゴロが2つあり、捕手の打撃妨害が1つ。見逃しが1球、空振りが5球、ファウルが1球、ファウルチップが1球だった。その12球の映像を改めて確認したが、見事に甘いボールを打ち損じていた。

 だがその後、6〜8日のホワイトソックス3連戦では、13打数6安打、1本塁打、2二塁打、1三塁打、6打点だった。

 真ん中と外角のベルト付近の球に対する結果はどうなっているかと言えば、そういう球は7球あった。ファウルは3球だが、空振りは1球。あとは、見逃しが1球で、三塁打とシングルヒットがそれぞれ1本ずつ。

 復調気味――いうことは言えそうだが、空振りは1球だったものの、まだファウルが3球あった。

 先程触れた12球のうち、4シームは5球。すべて打ち損じ、今回の7球では4シームが1球だけだったが、それもファウルになった。96.2マイルと速かったものの、これをファウルしたときの大谷の表情はどこか複雑だった。

手術決断の日に放った本塁打。しばらくは大谷の豪快な一発を見ることはできないが、その決断の答えは来シーズンに分かるはずだ 【Getty Images】

 手術することを決断した日、打球初速114マイル(約183キロ)、打球角度19度というホームランを放ち、そこだけを切り取る限りは膝の影響を感じさせなかったが、シカゴ遠征のあと、ホームに戻ってからはあれが3試合で唯一の安打。

 また、1日を最後にブルペンから遠ざかり、キャッチボールを8日ほど控えていた。予定通りとのことだったが、この頃すでに痛みが大きくなり、打撃に影響するようになったのではないか。

 いずれにしても手術の決断で、大谷の今季は、消化不良のまま幕を閉じてしまった。

JALは、日米間の渡航サポートを通じて、世界を舞台に挑戦を続ける大谷選手を応援しています

【(C)Japan Airlines】

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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