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日本バスケ、必然の完敗
成長サイクルをサッカー界のように回せ

圧倒された米国戦「ビッグマンですら…」

米国戦での光明はチーム最多18得点を挙げた馬場だろう
米国戦での光明はチーム最多18得点を挙げた馬場だろう【写真:松尾/アフロスポーツ】

 5日に対戦した米国はレブロン・ジェームス、ステフィン・カリーのような超一流が不参加。とはいえ若手プレーヤーを中心に、誰が出てもチームとして戦える難敵だった。日本は試合の入りからいきなり連続13得点の猛攻を受け、最後まで圧倒された。


 双子の弟・譲次とともに13年前の世界選手権でも「世界」を経験している竹内公輔(宇都宮ブレックス)はこう口にする。


「米国はワンプレー、ワンプレーが長けている。ビッグマンですら本当に激しいディナイをしてきて、手も長いのでパスをしたら引っ掛けられそうな“圧”を40分間感じました。そして点差が空いても全力できてくれた」


 馬場はゴール下への果敢なドライブなどから、18得点を挙げた。彼について言えば、大きな収穫をつかんだ一戦に違いない。198センチの高速ドリブラーはこう振り返る。


「最初の頃は力が入ってしまって、手の感覚がおかしくなったところもあるんですけど、汗も出てあの雰囲気に慣れてアジャストできた。こういう選手たちを倒すためにこれからやっていくだけです」

ラマスHCが指摘する、二つのコンタクト

身長が追いつき、次はコンタクトの改善。「長い目で改善していきたい」とラマスHC
身長が追いつき、次はコンタクトの改善。「長い目で改善していきたい」とラマスHC【写真:松尾/アフロスポーツ】

 フリオ・ラマスHCや各選手が3試合を通して、チームの課題に挙げていたのはリバウンドとコンタクト。平均199センチと身長は世界レベルに届いた日本代表だが、世界と戦うなら身長だけでは足りない。


 FIBAの公式戦は米国代表の選手が「NBAよりフィジカル」と感想を発信するほどで、試合中にゴール下で身体をぶつけ合う場面が多い。親善試合とも明らかにインテンシティは違った。


 コンタクトが劣勢になればリバウンドの獲得率が落ち、攻撃の回数は減る。ラマスHCは「課題はディフェンスのリーガルコンタクトと、ボックスアウトへのコンタクト」と述べた上でこう続ける。


「フィジカルコンタクトに関しては、直していけると信じてやっています。国内ではなかなかそれがない分、われわれと一緒にトレーニングをする時はそういった部分を意識させている。1年ですぐ結果は出ないと思うので、長い目で改善していきたい」


 篠山はこう語っていた。

「身体を自分からぶつけるか、どういうタイミングでぶつけるか、ぶつけた後にどれくらい動けるかという部分は技術のひとつ。もっとウエイトをしなければいけないとか、もっと身体を分厚くしなければとか、そういう単純なことではない」


 やはり時間は必要だ。コンタクトプレーは意識付け、積み重ねによる部分が大きい。単純なパワーに加えて戦う意思、ルールの範囲内で押したり引いたりする「ずる賢さ」が大切になる。それはバスケという競技が持つ格闘技の側面だ。

成長サイクルを回すのに、サッカー界は25年かかった

若き主力選手たちのさらなる成長に経験は欠かせない
若き主力選手たちのさらなる成長に経験は欠かせない【Getty Images】

「格闘」の強化を図る方向性は二つある。一つはこういった場で選手が得た経験をBリーグに還元し、そのスタンダードを上げる。もう一つはW杯、五輪に日本が出続けて、さらに選手をレベルの高いリーグに送り込む。世界レベルへ近づいているサッカーがこの25年間で回せるようになったサイクルを、バスケ界も回さねばならない。


 幸いにして日本は主力選手が若く、来年の東京五輪も既に出場権を得ている。もちろん代表の強化日程は限られるし、八村、渡邊のようなNBAプレイヤーはオフにしか代表に合流できない。限られた時間を有効活用し、Bリーグと代表の両輪を回していくことが「世界への道」だ。


 98年の世界選手権を選手として経験した佐古賢一アシスタントコーチは言う。


「次の4年後までつなげる何かを見いだせる選手たちの能力、ポテンシャルはある。世代交代を経て出場した06年の世界選手権は(98年の経験を引き継がない)全く新しい経験になっていた。今回は20年に続けてチャンスがあるので、差を縮めるスピード感、モチベーションがかなり大きい。24年(パリ五輪)まで続けていける選手たちが集まっているから、ここは連続出場が大事になる。世界の壁を超える、距離を縮めるすごくいい機会だとも感じている」


 八村21歳、馬場23歳、渡邊24歳と代表の主力は総じて若い。彼らには間違いなく大きな伸びしろがある。だからこそ経験を次の世界大会だけでなく27年、28年のW杯、五輪までもつないでほしい。現在の強化体制が構築されて3年、ラマスHCの来日からは2年とまだ日が浅い。チームの中長期的ミッションは今回の悔しさに屈せず地道に積み上げて、次世代にいい状態で「たすき」を渡すことだ。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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