U-18侍J、いざスーパーラウンドへ結束
仲井コーチの喝「甘ないんじゃ!」の真意

 韓国・機張(キジャン)で行われている「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」。日本はオープニングラウンド全5戦を戦って4勝1敗、スーパーラウンド進出が決定している。

「エラーしたからどうこうではなく…」

仲井コーチの喝から1日明けてのパナマ戦。主砲・石川の決勝3ランで勝利をものにした
仲井コーチの喝から1日明けてのパナマ戦。主砲・石川の決勝3ランで勝利をものにした【写真は共同】

 初戦のスペイン戦では2点を先行されながら終盤に逆転し、辛勝スタートを切った日本。続く南アフリカ戦では19対0(6回コールド)で快勝、3戦目では大会18連勝中だったアメリカを16対7で破るなど、勢いに乗りつつあった。


 一転して、4戦目の台湾戦は相手左腕、ワン・ヤンチェン(8月に東北楽天と育成契約)の小気味良いピッチングに打線が翻弄(ほんろう)され、5回までわずか2安打1得点に抑え込まれた。さらに、試合前から降っていた雨がひどくなり、1対3で降雨コールド負け。日本は今大会初黒星を喫した。


 その台湾戦後だった。取材を終えバスに乗る直前に選手を集めた仲井宗基ヘッドコーチ(八戸学院光星監督)から、大きな声が飛んだ。


「そんなんで世界一を取れるんか! 甘ないんじゃ! 虚勢を張るな。14万人の日本の(高校球児の)代表でここにおるんやぞ。上っ面なんていらんのや!」


 しとしとと降る雨の中、湿った人工芝のバウンドをうまく処理できないなどミスが重なり、守備からリズムがつかめなかった。力投を続ける先発の宮城大弥(興南)を援護できず、選手らの心中にもモヤモヤとしたものが立ち込めた試合だった。


 翌日のパナマ戦の試合前、仲井コーチはあの“喝”についてこう明かしてくれた。


「プレー中のミスを責めるつもりは全くなかったんです。エラーしたからどうこうではなくて、普段からの姿勢の問題です。ここのところ浮ついているなと感じていたことがあったので、負けた後、今言わなアカンと思って、あんなふうに言ったんですよ」


 前日にアメリカから4年ぶりに勝利を挙げ、さあここから、といくはずが、心のどこかに“隙”が生まれたのかもしれない。どうもワンプレーに執着心が足りない場面が目に付いた。台湾戦から一夜明け、パナマ戦のため球場に到着した選手たちは、いつものようにそれぞれが道具を持って並んで球場に向かったが、その表情は今までと比べてグッと引き締まっているように見えた。

西は投打で大活躍、主砲・石川も絶好調

 ここまでの5試合、投打両面でポテンシャルの高さを見せつけているのは西純矢(創志学園)だ。


 南アフリカ戦では7番DHでスタメン出場し、2本塁打を含む3安打8打点と大暴れ。3戦目のアメリカ戦では2番手でマウンドに立ち、キレのあるスライダーで並み居る強打者を相手に4者連続三振を奪った。結果的に3回2安打2失点だったが、2点は適時打で許したものではない。次戦の台湾戦でも二死二塁のピンチから登板し、4番打者を空振り三振に仕留めて“火消し役”を全う。さらにパナマ戦では先発して6回を4安打1失点。投打にフル回転し、日本の進撃を支えている。


 パナマ戦で決勝打となる3ランを放った4番、石川昂弥(東邦)はバットがよく振れており、ここまで14打数7安打で打率5割、チームトップタイの8打点と絶好調だ。


 夏の愛知大会では2回戦で敗退するも、以降はチームメートの熊田任洋と共に社会人チームに出向くなどして、木製バットで振り込みを続けてきた。木製バットでもあれだけ飛ばすことができる高校生はなかなかいない。

森、武岡のコンビで好機創出

1番打者として打線をけん引する森。俊足を生かした走塁で、ダイヤモンドを駆け回る
1番打者として打線をけん引する森。俊足を生かした走塁で、ダイヤモンドを駆け回る【Getty Images】

 韓国に来てからはほぼ固定されている打順で、攻撃のカギを握るのは1番の森敬斗(桐蔭学園)だろう。


 パナマ戦では2打席連続凡退したのち、空いたブルペンに自ら出向いて登板のなかった宮城にトスを上げてもらいながら、コツコツと打ち込む姿があった。その直後の5回に右翼越え三塁打を放って、結果的に3点を勝ち越すお膳立てをした。俊足を生かした走塁も見せ、スーパーラウンドでもリードオフマンとしての期待がかかる。


 パナマ戦から遊撃を守る武岡龍世(八戸学院光星)も、足で安打を稼ぎチャンスを拡大する巧打者で、南アフリカ戦から2番に固定されている。勝負強い3番の韮沢雄也(花咲徳栄)、4番の石川、5番の遠藤成(東海大相模)らの前に確実にチャンスをつくり、得点力をさらに上げたい。


 主将の坂下翔馬(智弁学園)は下位に座るも、粘って四球をもぎ取ったり、内野安打で上位打線につなげるなど、しぶとさが光る。ここまでなかなか調子が上がらず、「思うような打撃ができない」と自ら嘆いてはいるが、こういう働きこそが競った試合で生きてくる面が多い。


沢井史

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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