データ回顧 キングカメハメハの蹄績 日本競馬史上でも屈指の万能種牡馬
現役時代の成績
表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
普通なら、次走は牡馬クラシックの一冠目となる皐月賞。ところが、管理する松田国英調教師は1600mのNHKマイルCから2400mのダービーを目指すローテーションを重視しており、クロフネとタニノギムレットでは叶わなかった夢をこの馬に託す。そして、NHKマイルCを5馬身差で圧勝すると、ダービーでも2着のハーツクライをはじめとする強豪を下して「変則二冠」を見事に達成。余談になるが、この年のダービーは5月ながら真夏のような暑さで、カメハメハ大王には実にふさわしい一日だと思ったものである。
夏を越し、秋は古馬路線への参入を選択した。復帰戦の神戸新聞杯を危なげなく勝ち、天皇賞・秋へ向かって順調そのものにも思われたが、2週前に屈腱炎を発症。これにより1年たらずの現役生活に終わったものの、その中身は非常に濃いものだった。
中央G1を制したキングカメハメハ産駒
表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
初年度産駒の2006年生まれからはG1馬が出なかったが、2世代目からは史上3頭目の牝馬三冠馬アパパネ、ジャパンCを制したローズキングダムという大物2頭が登場。続く3世代目からは、年度代表馬にも輝く名スプリンターのロードカナロアが出た。中央G1のみを対象とした表2には載っていないが、日本馬が勝つのは不可能とさえ言われた香港スプリントを連覇した偉業は永遠に語り継がれるだろう。
以降も連綿と活躍馬を送り出し、2015年の二冠馬ドゥラメンテ、現役のレイデオロなど牡馬のチャンピオン級も輩出。芝だけでなく、史上初のG1(Jpn1を含む)10勝を達成したホッコータルマエという砂の王者も出している。そのほか、海外ではルーラーシップ、地方交流ではタイセイレジェンド、ハタノヴァンクールがG1を制覇。3000m級の長距離G1で未勝利という点を除けば、ほぼすべてのジャンルでG1馬を送り出しており、種牡馬としての万能性は日本競馬の歴史上でも屈指となっている。