東京パラ、競技日程の調整は至難の業? ボッチャ担当者が明かす決定までの裏側
パラリンピックは8月13日に競技スケジュールの詳細が発表され、22日にはチケット第一次抽選受付が始まった。ボッチャを担当する齋藤保将さんにとって、この競技スケジュールの調整が何よりもの難題だったという。果たしてどのようにして競技日程は決まったのか。「競技スケジュールの調整はまだ終わっていない」と明かすその意味とは? 齋藤さんが競技スケジュール決定の裏側を教えてくれた。
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日程を1日増やした理由
競技スケジュールの調整に一番苦労したという齋藤さん(右端)。交渉を何度も重ねて決定までこぎつけた 【Photo by Tokyo 2020】
東京2020大会はリオ2016大会より1日多い12日間の競技日程で行われますが、ボッチャの日程もリオ2016大会の7日間から8日間に増えています。参加選手数の増加により、コート数は変わらないのに試合数がぐんと増えることが要因ですが、実は2016年7月のスポーツマネジャー着任時から一番苦労したタスクが、この競技スケジュールの調整です。
決定までどんなプロセスを踏んだかというと、まず国際ボッチャ競技連盟(BISFed)から過去の大会をベースとしたたたき台が提示され、それを詰めていくのですが、当初は従来通り7日間で実施する想定で動いていました。ですが、2018年3月に日本ボッチャ協会として三重・伊勢市でBISFed公認の国際大会(アジア・オセアニア地区ボッチャオープン)を開催した際に、想定以上に競技スケジュールに余裕がなく、BISFedと一緒にプランを練り直した経験がありました。それをきっかけに「やはり東京2020パラリンピックもプラン変更を掛け合ってみよう」と。それで、大会後からスケジュールを整理し直し、再度調整したわけですが、なかなか一筋縄にはいきません。最後は国際パラリンピック委員会(IPC)に直談判し、ようやく8日間で実施することが決まりました。それがちょうど1年前のことですね。
「まるでパズル」想定を重ねて日程調整
実は、細部までこだわっているのには理由があります。去年の秋、ボッチャが東京2020大会から新たに各国・地域の放送権者(ライツホルダー)向けにライブ映像を提供(※)する競技の対象となり、タイブレーク(延長)が続いて試合が押してしまうようなことがあると中継に大きな影響が出てしまうためです。日本代表が勝ち上がっていけば、テレビで扱われる可能性も高くなります。ですから、競技運営する側としては、最もリスクのないスケジュールにしておかなければならないというわけです。
もちろん、これはうれしい悲鳴です。テレビ放映でボッチャが注目を浴びることは喜ばしいことですし、多くの人に応援してもらうなかでプレーすることは、何より選手自身が望んでいるからです。
※各国・地域において中継を行うか否かについては、各国・地域の放送権者が決定する。
東京パラがボッチャ興行の成功事例となるために
メダル獲得の場合はスケジュールが押すことも。そうした想定も踏まえて競技スケジュールの調整が行われた 【写真:アフロスポーツ】
泣いても笑ってもあと1年です。今、私たちが準備している東京2020大会の競技運営がボッチャ興行の成功事例となり、より良い形で2024年のパリ大会以降に引き継がれるといいなと思っています。
プロフィール
埼玉県在住。大学卒業後、当時勤めていた特別支援学校で、授業で取り組んでいたボッチャを知る。以後徐々に本格的に競技に関わるようになり、1999年には日本選手団コーチとして国際大会に初帯同する。2007年には埼玉県障害者ボッチャ協会(現埼玉県ボッチャ協会)の設立に関わり、14年からは日本ボッチャ協会理事として大会運営と審判統括を担当。16年7月より東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のボッチャ競技スポーツマネジャーに就任する。
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