連載:シント=トロイデン買収の真相

【ノンフィクション】シント=トロイデン買収の真相 第6回 新シーズンへ向け日本人が続々加入

飯尾篤史
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ベルギー1部のシント=トロイデンVV(STVV)をDMM.comが買収した計画の始動から今夏まで、激動の3年半の舞台裏に迫った。

及第点の1部残留から18-19シーズンへ

18年1月に獲得した冨安。けがの影響もあり、17-18シーズンは1試合しか出場できなかった 【(C)STVV】

 2017-18シーズンのSTVVの順位は、16チーム中10位――。

 立石敬之がSTVVのCEO(最高経営責任者)に就任してから約4カ月後の18年5月20日、ジュピラー・プロ・リーグの全日程が終了した。

 立石は1月30日に就任したが、ヨーロッパの冬の移籍市場は1月31日まで。その時点で選手の補強ができなかったから、1部に残留して次のシーズンにつなげられただけでも、及第点だった。

 誤算があったとするなら、1月に獲得した冨安健洋が1試合しか出場できなかったことである。前年17年12月に疲労骨折したため、冨安はSTVVに加入してから2カ月ほどをリハビリに費やしたが、復帰してからも一向に起用される気配がなかった。

 クラブの体制が変わり、次シーズンの指揮を執ることはないと悟った監督のヨナス・デ・ロックが、自身が望んで獲得したわけではない選手を起用しなかったのだ。

 デ・ロックの予想どおり、STVVは新監督を招へいしようとしていた。

 そのため、強化担当のアンドレ・ピントはあらゆるスタジアムに足を運び、映像を取り寄せてはフルマッチを確認し、STVVに相応しい新監督をリストアップしていた。

「立石さんと話していた新監督の条件は、ベルギー人であること、スモールクラブで実績を残している監督であること、アジアの人間と仕事をした経験があること、ボールをしっかりつなぐサッカーを志向することでした」

 そうした条件に合致したのが、ベルギーリーグ2部のベールスホットACを率いていた、マーク・ブレイスだった。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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