連載:シント=トロイデン買収の真相

【ノンフィクション】シント=トロイデン買収の真相 第5回 立石CEOが信頼を置く仲間たち

飯尾篤史
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ベルギー1部のシント=トロイデンVV(STVV)をDMM.comが買収した計画の始動から今夏まで、激動の3年半の舞台裏に迫った。

転換期を支える地元スタッフたち

STVVの熱狂的なサポーターだったスファン。立石が信頼を置くスタッフの1人だ 【飯尾篤史】

 立石敬之がSTVVの新CEO(最高経営責任者)に就いた翌日の2018年1月31日、ヨーロッパの冬の移籍マーケットが閉じられた。

 そこで立石と強化担当のアンドレ・ピントは、7月に開幕する翌18-19シーズンに照準を合わせ、全コーチングスタッフや選手の評価、契約年数の確認に着手した。

 その一方で、全社員、役員と個人面談を進めながら、クラブの内情を把握し、日本式のビジネススタイルを少しずつ導入していく。例えば、営業部や広報部といった日本的な部署制を導入するといったように。

 そうしたなかで、立石は信頼のおけるスタッフに出会った。

 1人は、チケッティング・運営担当のスファン・メンテンである。もともとSTVVの熱狂的なサポーターだったスファンは、STVVのサッカースクールに所属していたこともある。

「初めてSTVVの試合を観戦したのは、6歳か7歳の頃だった。父に連れられてやってきたんだ。その後、友だち同士でも通うようになった。当時、STVVのファンが選手たちに求めていたのは、激しくボールを奪いにいくこと。STVVのスローガンである『VOETBAL,VOLK&VUUR(オランダ語でサッカー、情熱、人)』を体現するようなサッカーを求めていたんだ。僕のスクールのコーチだったアドリン・クーナンは、まさにそうしたタイプのボランチだったね」
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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