夏の芝2勝クラスを勝った3歳馬が熱い! 秋GI戦線の秘密兵器を探せ

JRA-VANデータラボ

G1で活躍する馬が毎年にように出ている

 そろそろ8月も中旬に差しかかってきた。連日厳しい暑さが続くものの、夏競馬は終盤戦となっており、秋のG1シーズンに向けた準備も始めるべきだろう。今週行われる札幌記念に出走するような馬だけでなく、下級条件の戦いも見逃せない。「夏の上がり馬」という言葉があるように、この時期にグングンと力をつける馬がいるからだ。特に3歳馬には注目で、菊花賞や秋華賞はもちろん、その後のG1で活躍する馬が毎年にように出てきている。今回はそうした馬にスポットを当てて、データを見ていきたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

6〜8月に芝の3歳以上2勝(1000万)クラスを勝利した3歳馬(2016〜18年)

【画像提供:JRA-VANデータラボ】

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表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表1は過去3年(2016〜18年)、6〜8月に行われた芝の3歳以上2勝(1000万)クラスを勝利した3歳馬をすべて記載した。まず18年夏の勝ち馬を見ていくと、今夏のサマー2000シリーズにも出走しているタニノフランケルは、昨年行われた西部スポニチ賞を勝利していた。今夏はまだ結果が出ていないものの、今年2月の小倉大賞典で2着に入っており、すでに重賞連対実績がある。モズスーパーフレアは今春のオーシャンSを勝利。レイエンダは今年のエプソムC、カイザーメランジェは函館スプリントSの勝ち馬で、重賞制覇の約1年前の夏に2勝(1000万)クラスを勝利していたことになる。

 また、今年の安田記念を勝利したインディチャンプや、昨年の秋華賞で2着に入り、先日のクイーンSを勝利したミッキーチャームの名前がある。インディチャンプは中京芝1600mの有松特別を勝利。この頃から一貫して芝1600mを使われており、マイルのスペシャリストとしての下地が作られていた。ミッキーチャームは昨夏、北海道で3連勝をマーク。典型的な上がり馬で、勝ちっぷりも凄かった。まだG1勝利こそないが、今年重賞を2勝しており、十分な活躍を見せている。

 17年の結果に目を移すと、ディアドラやキセキ、サングレーザーという大物馬の名前がある。ディアドラやキセキは春のクラシック戦線で素質の片りんを見せていたが、夏の勝利をキッカケに本格化したと言っていい。またデアレガーロは、18年の京都牝馬S2着、19年同レース勝利と2年連続好走。今年のレースでは9番人気で優勝し、重賞初制覇を果たした。

 16年の顔ぶれではミッキーロケットとセイウンコウセイが、G1ウイナーとなった。ミッキーロケットは同じ年の菊花賞で期待されるも4番人気で5着。その後もたびたびG1に挑戦するが好走できず、クラスの壁があるかと思われた。しかし、18年の宝塚記念を7番人気で制し、待望のG1初制覇を果たした。自分に合った条件でチャンスをモノにしたという意味では、17年の高松宮記念を制したセイウンコウセイも同じタイプと言えるかもしれない。少し渋った馬場を抜け出して、重賞初勝利がG1という快挙となった。

 その他にはカフジプリンスが、19年の阪神大賞典で2着。ウインムートはダートグレードのさきたま杯(浦和)などを優勝。アストラエンブレムはエプソムCや新潟記念で2着に入っている。

 こうして見ると、後の重賞好走馬は、札幌や函館の2勝(1000万)クラスのレースを勝っている馬が多い。ミッキーチャームやディアドラ、サングレーザー、ミッキーロケットらが該当する。周知の通り、札幌や函館は洋芝が使用され、一般的には野芝よりもパワーが問われる芝質だ。そうした芝に適応できるというのは、競走馬として一つの大きな武器だ。国内のG1はいつもパンパンの良馬場でできるとは限らないし、時には重い芝コンディションでレースが行われることがある。

 ミッキーロケットが制した17年の宝塚記念は稍重馬場だったし、ディアドラが勝った17年の秋華賞は重馬場だった。また、ディアドラは先日、イギリスで行われたG1・ナッソーSを優勝する快挙を成し遂げた。日本の芝に比べ、圧倒的にタフな欧州の馬場にも適応し、結果を出せたのも納得いくところなのだ。

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