連載:東京五輪に続く世界バドミントン

小椋久美子が五輪レースの鍵を徹底解説「女子ダブルスはファイナルズの出場権が…」

平野貴也
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女子ダブルスの第一人者として日本を引っ張った小椋久美子さんが、世界選手権の展望を語った 【写真:佐藤博之】

 バドミントンの世界選手権がきょう19日にスイスで開幕する。4月末から始まった東京五輪出場権争いの中でも、重要な意味を持つ大会だ。日本の女子ダブルスは、世界ランク1位に前回覇者の松本麻佑/永原和可那(北都銀行)、2位に2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルの高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)、3位に世界選手権で2年連続準優勝の福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ)と上位を独占しており、今大会でも優勝候補となる(※世界ランクはすべて8月13日時点)。五輪には同国から最大2組しか出場できないため、3組の代表争いは激しい。五輪レースにおいて、世界選手権はどのような意味を持つのか。出場権が決まる来年4月末の世界ランク決定までの1年間で重要な点は何か。潮田玲子さんとの「オグシオ」ペアで全日本選手権を5連覇し、08年北京五輪にも出場するなど、女子ダブルスの第一人者として活躍した小椋久美子さんに話を聞いた。

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“3強”の争いと思われがちですが……

――女子ダブルスは、3組による東京五輪の出場権争いがし烈ですね。

 3強の争いだと思われがちですけど、4番手の米元小春/田中志穂(北都銀行)も世界ランク8位です。上位の3組と同じ日本A代表で、実力も差がありません。気持ちの面や負傷の影響もあって、少しパフォーマンスが落ちていましたが、8月4日に優勝したタイオープン(スーパー500)の試合を見たときに、吹っ切れたかなという感じがあり、4組の争いは、まったく分からなくなってきました。だからこそ、世界選手権は、1つの分岐点だと思います。

――世界選手権は、五輪レースのポイント設定が最も高いですが、代表争いにどのような影響を与えますか。

 世界選手権で優勝すると「BWF(世界バドミントン連盟)ワールドツアーファイナルズ」(2019年に参加したBWFワールドツアー各大会の獲得ポイントの総計でランクを決め、各種目の成績上位8人、8組が出場できる大会)の出場権を獲得できるのですが、特に女子ダブルスにおいては、これが一番大きいです。

主な世界大会での獲得ポイント 【画像:スポーツナビ】

※編集注:スーパー1000、スーパー750などの表記は、BWF主催のワールドツアーにおける大会の格付けを示すもの。数字が大きいほど格付けが高く、各順位に与えられるランキングポイントも大きくなる。

――「BWFワールドツアーファイナルズ」は、世界選手権の次に大きいBWFワールドツアースーパー1000と同等のポイントが設定されていて、同じ国から最大2組しか出場できません。出場できなかったペアと差をつける機会になりますね。

 そうです。この大会に出場するために、日本の選手は、すごく苦しいスケジュールで動いています。日本A代表としては派遣されなかった、五輪レース開幕戦のニュージーランドオープン(スーパー300)に各ペアが自主参加したのは、少しでもポイントを加算しておきたいからです。でも、世界選手権で優勝すれば、優先的に出場権が与えられます。昨年は、ツアーポイントで高橋/松友が1位、福島/廣田が2位。松本/永原は3位でしたが、世界選手権の優勝で出場権を獲得。結果的に、福島/廣田が出場できませんでした。

――世界選手権の組み合わせは、どのような感想を持っていますか。
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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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