ヤクルト高津二軍監督の思考と指導法 「勝つためには負けなきゃいけない」
現チームにも若手が多く所属し、自身の手腕が問われている。経験豊富な背番号99は、「すぐに活躍できる選手」の特徴、そのために指導者がするべきことを分かっている。そして選手たちに、求めている。
プロで活躍するために必要な大事な要素
二軍監督としてやりがいを感じる時とは? 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】
正直、うれしいですよ。村上だけじゃなくて、高橋奎二だったり、梅野(雄吾)だったり、最初は二軍にいた20歳前後の選手が、若いうちから一軍のゲームに出ている。彼らがいい経験をできているというのは、二軍の監督としてすごくうれしいですし、やりがいを感じます。
――特に高校生の場合、プロに入ってから大事になるのはどのような部分なのでしょうか?
僕自身が大学を卒業してプロに入った時にまず戸惑ったのが、それまで高校も大学も、年齢差があっても2歳か3歳差だったのが、一気に年齢の幅が広くなったということでした。特に高校からプロに入ったりすると、全員が先輩ですし、チームというものに対する違和感じゃないですけど、今までとは全く違う環境だということを感じると思います。なので、できるだけその違和感を“慣れ”に変えさせること。野球の技術を伸ばす上でも、その“慣れ”は非常に大事な要素だと思います。
環境に順応し、現状に満足しない
「もっともっと上を目指さないと」と若手を鼓舞する高津監督 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】
それはすごく大きなことだと思います。すぐに慣れてしまう選手もいれば、なかなか慣れるのに時間がかかってしまう選手もいる。そういう環境の変化の中で、今までできていたことができなくなってしまう選手もたくさんいます。早くから一軍で活躍する選手というのは、技術的なことだけじゃなくて、環境に順応する、変化にアジャストする能力が長けているのだと思います。
――そういう意味では、グラウンドの中だけではなくて、普段の生活、寮などでの過ごし方も大事になってきますか?
そうですね。大事ですね。試合中でもベンチに座っている時、練習や試合が終わってからクラブハウスで過ごす時もそうです。多くの先輩たちと一緒の時間を過ごす訳ですから、その時間を無駄にしてはいけない。すごく楽しい時間でもありますし、大事にしてもらいたいですね。
――若い選手が這い上がるためにはハングリーさも必要になるのでは?
もちろんです。球団によっても違いますが、二軍と一軍では環境が変わってきますし、上に行けば行くほど恵まれたものになる。独立リーグに比べれば二軍が置かれている環境も、ものすごく恵まれていると思いますが、選手としてはもっともっと上を目指さないといけない。現状に満足してはいけない。
(取材・構成:三和直樹/ベースボール・タイムズ)
後編は7日掲載予定