令和初の高校チャンピオンはどこだ!? インターハイ男子バスケの行方を大胆予想

桜丘、明成のブロックは混戦必至か

今大会の第1シードを勝ち取った桜丘 【写真:バスケットボールキング/大澤智子】

 左上のブロックに属する桜丘は、昨年のウインターカップでチームを3位に導いた大エース・富永啓生(レンジャー短期大学入学予定)が卒業。今年はオフェンス重視ではなく、ロースコアゲームで勝ち切るディフェンスシブなチームスタイルに変更した。東海地区の覇者としてインターハイへ乗り込むが、同じブロックには報徳学園(兵庫)、正智深谷(埼玉)、関東王者の実践学園(東京)など強豪校が名を連ね、初戦から全く気が抜けない。ここを抜け出すにはチームを引っ張る村口宗羅、木村貴郎の活躍はもちろん、ラポラス・ベンツロバス、セン・マム・リバスの留学生コンビの出来が勝敗を左右する。広島皆実(広島)は昨年、代表活動のため不参加だった世代屈指のオールラウンダー、三谷桂司朗が2年ぶりのインターハイの舞台に立つ。同校最初の山場は、3回戦で対戦する可能性が高い実践学園か。

今大会注目選手の1人である明成の山崎一渉 【写真:バスケットボールキング/大澤智子】

 明成のいる左下のブロックも大混戦の様相を呈している。ハッスルプレーでチームを支える木村拓郎が主将を務める明成は、山崎一渉、菅野ブルース、山崎紀人という190センチオーバーのルーキートリオが早くもスターターに名を連ねる。中でも山崎一は、197センチながら3ポイントシュートを得意としており、将来は八村塁(ワシントン・ウィザーズ)のようにNBA入りを目指す逸材。今大会ではより多くのメディアに囲まれることだろう。だが、チームはまだまだ完成形には至っていなく、佐藤久夫コーチも選手の起用法に頭を悩ませているという。下級生主体ということもあり初戦敗退の可能性がないとも言えず、東北大会決勝で41得点をマークした山崎一が爆発すれば、一気に決勝まで勝ち上がる可能性もある。

 共に勝ち進めば、その明成と大会3日目で対戦するのが前回大会ベスト4の東海大諏訪(長野)。同校には抜群の安定感でコートを支配するポイントガード(PG)、黒川虎徹がいる。昨年の結果を超えるには黒川のパフォーマンスも重要だが、周りの選手の奮起が不可欠。黒川頼みにならず、高原伊吹、米山ジャバ偉生らが積極的なアタックを見せたい。その他にも、シード校の東海大学付属札幌(北海道)、尽誠学園(香川)、長崎西(長崎)、市立船橋(千葉)といった全国常連校がひしめくこのブロックは、毎試合好ゲームが見られるはずだ。

「ストップ・福岡第一」はどこになる?

開志国際は昨年、創部5年という早さでインターハイ初制覇を成し遂げた 【写真:バスケットボールキング/大澤智子】

 左下のブロックは、2連覇を狙う開志国際が一歩リードしている。PGの高木拓海、汚れ役の板澤明日起が“ダブルキャプテン”としてチームをまとめ、得点面では留学生のジョフ・ユセフと昨年開花したジョーンズ大翔が引っ張る。2年生の小野功稀も隙きを突いて3ポイントを射抜くことができ、オフェンスでは個々の役割が明確で非常にバランスが良い。3月のおきなわカップでは福岡第一相手に最後までもつれる接戦を演じたが、その約1週間後に行われたKAZU CUPでの再戦では39−83で大敗を喫した。準決勝で相まみえた時は、どんな戦い方をするのかが非常に楽しみである。

 そこに割って入るのは昨年準優勝の中部大第一(愛知)か。昨年から経験を積む深田怜音や仲宗根弘、バトゥマニ・クリバリらの最上級生に、今年は大型シューターの福田健人、PGの谷口歩という即戦力が加わった。桜丘との東海大会決勝では、第4クォーターに足が止まって逆転負けを喫しただけに、最後まで強度を保てるかが上位進出のカギを握る。

 シード校の高知中央(高知)は、美濃加茂(岐阜)と佐賀北(佐賀)の勝者、同じく2回戦から登場する能代工業(秋田)は、県立豊浦(山口)と法政大学第二(神奈川)の勝者と初戦で対戦。この6校は力の差が少なく、どのチームがベスト8に上がってくるか全く読めない状況だ。

 2019年のインターハイは「一体どのチームが福岡第一を止めるのか」という構図になる。しかし昨年は、その福岡第一が第1シードながら初戦で敗れる波乱が起きた。冬のウインターカップでは1年の集大成を競う戦いとなりチームの完成度がものをいうが、ウインターカップよりもチーム結成から日が浅いインターハイは想像できない結果も起きうるもの。それがインターハイの楽しみ方でもある。

“令和初のインターハイ王者”という称号は、大会後も長く高校バスケファンの記憶に残るだろう。今年も数々の名勝負が生まれることを期待したい。

(文:小沼克年/バスケットボールキング)

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