プロ野球・前半戦MVPランキング総集編 上位と下位では投票傾向に違いも…

ベースボール・タイムズ

最高得票率は2年目のスラッガー

高卒2年目の今季、主軸に定着した村上(右)。チームの将来を担う若者に多くのファンが支持をした 【写真は共同】

 そんな中、球団内で80%もの圧倒的な支持を集めたのが、ヤクルトの高卒2年目、村上宗隆だった。

 昨季終盤にプロ初本塁打を放ち、侍ジャパン入りも果たした期待&注目のスラッガーは、2年目の今季開幕からスタメンの座をつかんでアーチを量産。前半戦を終えて、打率2割3分4厘、20本塁打、63打点。打率に課題を残すが、それ以上に圧倒的な長打力と勝負強さで燕打線に欠かせない存在となり、2位の山田哲人(9.46%)に大差を付けての断トツとなった。

 他球団のファンもこの19歳のスラッガーへ大きな期待を寄せ、オールスターでは球団野手最年少での選出。10代でのセ・リーグのファン投票の三塁手部門選出は球界初となり、ホームランダービー出場者を決める投票でも堂々の1位。ファンの期待を一身に背負う背番号55に、後半戦でさらなる成長を期待したいところだ。

ファンが投票に迷うチームは好調の証

 ここまでは選手個々の票数、支持率に注目して述べてきたが、チーム単位で全体を見渡すと、一つの傾向が見て取れる。球団を前半戦終了時の順位で並べ、10%以上の支持を集めた選手だけをピックアップするとすぐに分かる。両リーグの首位チームである巨人とソフトバンクは、ともに10%以上の得票選手が4人。以下、日本ハムという例外はあったが、下位に行くほどに支持が集中し、セ・リーグの最下位チームであるヤクルトは10%以上が1人、パ・リーグの最下位・オリックスも2人という結果となった。

 チームの調子が良い方がファンからの支持は分散し、調子が悪ければ孤軍奮闘の選手に支持が集中する。野球はチームスポーツであり、長く険しいシーズンを戦い、その戦いに勝つためには一人だけの力では到底無理であることが、今回の「ファンが選ぶ前半戦MVP」の投票からも分かると言える。だが、まだ前半戦が終わっただけ。ここから勝負の後半戦、ファンが投票先を迷うようになれば、チームの順位も上がって行くことになるだろう。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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