ソフトボールで再び金メダルを取るために  東京五輪まで1年、宇津木妙子×麗華対談

中島大輔

メダル争いのライバルは、米国と勢いのあるカナダ

「指導者は指導者、選手は選手、それぞれの役割がある」と麗華は話す 【写真:アフロスポーツ】

――麗華さんは現役時代、宇津木妙子監督の言葉に後押しされる部分は大きかったですか。

麗華
 妙子さんは監督のとき、試合が近くなったら、「自分のことだけに集中しなさい」と言ってくれました。試合中に「ホームランを狙いなさい」と言われれば、その一言で集中できる。もともと私にはホームランを打てる力があり、妙子さんの言葉に背中を押されて、力を発揮することができました。そう思うとやっぱり、指導者は指導者、選手は選手、それぞれの役割があります。

 今回の日本チームで言うと、五輪の経験がある上野由岐子と山田恵里の存在は、周りの選手たちにとって一番大きい。2人には自分たちの経験や、いま思うことを、選手たちの前で話してもらうこともあります。でも試合になったら、「人のことはどうでもいい。自分のことだけに集中すれば、チームの勝利に大きく貢献できる」と言っています。

 上野は36歳になりましたが、ソフトボールのピッチャーというのは、それくらいの年齢のときに一番経験を積んでいて、まだまだ体力もあります。35歳の山田はキャプテンで、最も経験のある選手なので頼りにしています。

――五輪本番で金メダル争いのライバルになりそうな国は?

麗華
 東京五輪で手強い相手になるのは米国と、いま一番勢いのあるカナダです。中南米から出てくるチームは9月に決まりますが、プエルトリコ、メキシコ、ベネズエラなど、ものすごく強い。東京五輪のシステムでは予選ラウンドで1、2位に入らないと決勝に進めないので、そうした国々が要注意だと思っています。

妙子 今回の復興五輪では、ソフトボールは開会式の前、一番最初に行われます(7月22日に実施)。もちろん日本に勝ってほしいけれども、出場する6カ国の選手には、全世界にソフトボールの魅力を伝えてほしい。そして(計6試合が行われる)福島の全県民がグラウンドに来てくれると、ありがたいなと思っています。日本チームは残り1年、焦ることはないけれども、選手のいいところを伸ばしていってほしいですね。

麗華 残り1年で技術がどこまで伸びるかは分かりませんが、試合の場面に応じ、持っている能力を発揮できるようにすることも大事だと思います。あとはけがをしないこと、そして自分自身の責任をしっかり背負いながらやっていくこと。

 東京で行われる五輪に監督として出られることになり、ここまで生きてきた中で、ソフトボールをやってきて良かったと思っています。ソフトボール界としては、北京五輪のときに正式種目として行われるのが「最後」と思っていて、今回も同じような状況です(編注:次回大会のパリでは、開催地が提案できる追加種目の候補から落選)。最後のチャンスをしっかりつかんで、また次のチャンスを待ちながら、そのときにしっかりつなげていけるようにしたいです。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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