連載:指導者として、レジェンドたちが思うこと

松井稼頭央監督が若獅子たちに送る言葉 「技術の追求に終わりはない」

ベースボール・タイムズ
 埼玉西武ライオンズのレジェンドである松井稼頭央。昨季限りで現役生活に幕を下ろしたのもつかの間、背番号を「7」から「77」に変え、自らのプロ人生をスタートさせた原点であるライオンズのユニフォームに再び袖を通した。

 その松井二軍監督にとって、現役時代にファームで過ごした日々は特別だった。PL学園高時代は投手としてマウンドに上っていたが、プロ入りと同時に野手に転向。守備、走塁ともに「ほぼ素人だった」ため、多くの失敗を繰り返しながら、泥と汗にまみれ猛練習に励み、その後の活躍の基礎を作った。

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失敗の連続だった高卒1年目

西武・松井稼頭央二軍監督に現役時代のこと、若手に期待することなど話を聞いた 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――高校からプロ入りして、同時に野手に転向しました。当初はプロの高いレベルの中で苦労したと聞きますが?

 まぁ、そうですね。でも、それを苦労と言っていいのかなとは思いますね。やらなきゃいけないことがいっぱいあって、それをやっていただけで、当時から苦労とは思っていなかったです。今、自分自身を振り返って言えることは、練習をできる土台があったということ。高校の時はケガばっかりしてたんですけど、プロになってから練習できる身体があったということが大きかったと思います。

――高卒2年目からは一軍で出場しましたが、高卒1年目はイースタンで24失策を記録しました。

 もうミスのオンパレードでしたね。試合の度にミスしていました(苦笑)。高校の時まではピッチャーだったので、そこから野手に転向して、最初は守る位置も分からなかったですし、塁に出ても帰塁の仕方が分からなかった。そこからのスタートでしたから、とにかくやるしかなかった。練習でも試合でも、成功でも失敗でも、経験することのすべてがプラスになることだらけだったので、迷う必要もなかった。当然、ミスしたらその分、練習をしましたし、やらされもしました。それでも試合で使ってもらったことがありがたかったですし、練習できる体力、土台が自分にはあったのが大きかったのかなと思います。

「大事になるのは、気持ち的な部分」

「理想は全員が一軍に上がって全員が活躍すること」。松井監督は二軍監督として選手のサポートに徹する 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――現役時代の経験を踏まえて今のライオンズの若手選手たちにアドバイス、メッセージを送るとすれば?

 やればやるだけ身につきますし、成長できる。当然、ミスすることもあるし、成功することもある。その繰り返しです。その中で大事になるのは、気持ち的な部分。絶対にレギュラーになる、絶対に一流選手になるんだと思って毎日を過ごせるか。自分に何が足りないか、どうしたら一流選手になれるかということを感じ取ることも大事ですし、それが分かったら全力で取り組むこと。悔いなくやり切るっていうことは非常に難しい。

 僕自身、もう引退しましたけど、まだまだできたんじゃないか、もっともっと練習できたんじゃないかと思いますし、技術の追求には終わりはない。とにかく野球を好きという気持ちを持ったまま、追求してもらいたい。いろんな可能性を秘めている選手たちだと思います。理想は全員が一軍に上がって全員が活躍すること。そうなれるように僕も含めてコーチ陣がサポートするので、チャンスがあるという気持ちを持って取り組んでもらいたい。

――今の二軍の選手の中で特に期待している選手、これからファンの方に見てもらいたい選手はいますか?

 まだそういう気持ちはないですね。僕自身、まだ監督1年目なので、何の色もないですし、選手たちに対しても真っ白な気持ちで見ています。まずは1シーズンです。1年間、戦って、そこで学んだこと、経験したことを、次のシーズンにどう生かしていくか。1年間で得た経験、課題をどうクリアして、どう変わっていけるか。それができる選手には期待したいですね。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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