連載:アスリートに聞いた“オリパラ観戦力”の高め方

美しき蹴女・松井優茄が語る観戦ポイント テコンドーの醍醐味は華麗な足技の応酬

C-NAPS編集部

女子49キロ級の有力選手である松井優茄がテコンドー観戦の魅力を語った 【写真:C-NAPS編集部】

 蝶のように舞い、蜂のように刺す――このフレーズがこんなにもしっくりくる競技がテコンドー以外にあるだろうか。身軽なステップワークから繰り出させる多彩な蹴り技の連続は、まさに曲芸的。日本ではなじみのない方もいるかもしれないが、韓国生まれのこの競技は、延べ7000万人の競技人口を誇る世界的な人気スポーツなのだ。

 そんなテコンドー界において“宙を舞う煌びやかな蝶”を連想させる美人格闘家がいる。その名は松井優茄(ムジャキフーズ)。モデルのようなルックスの持ち主ながら、“蜂のような鋭い蹴り”を武器に全日本選手権大会で2度の優勝を果たした実力者だ。競技の醍醐味を「誰が見てもすごいと思う足技」と語る松井に、2020年東京五輪におけるテコンドーの観戦ポイントを聞いた。

空手との違いは? 知っておきたいテコンドーの基礎

 テコンドーは蹴りによる攻撃を主体とする格闘技です。白の道着で戦うため、空手と区別がつかない人もいるかもしれませんが、試合中は胴プロテクターやヘッドギアを装着しているので見た目は特徴的だと思います。それらは電子防具となっていて、足に身に着ける電子ソックスが触れるとセンサーが感知して有効打と判断されます。判定にテクノロジーが活用されている点は空手との大きな違いですね。得点経過も電光掲示板に瞬時に反映されるので、試合の優劣が分かりやすいのも観戦の魅力です。

 何といってもテコンドーの最大の醍醐味は、上段蹴りや回転蹴りなどの華麗な足技。初めてテコンドーを観戦する人なら誰もが多彩な蹴り技の応酬に驚くんじゃないかと思います。蹴りの高さやひねりなどにも注目してみてください。キックボクシングや空手など蹴りで戦う他のスポーツとも違う“曲芸的なキック”が見られるはずです。

テコンドーの魅力はやはりその華麗な足技。他の競技にはない曲芸的なキックは必見 【Getty Images】

 テコンドーは2分×3ラウンドで、技による得点を多く獲得した選手が勝利する試合形式です。ポイント制なので、高得点が見込める大技を決めると試合を有利に進められます。たとえば、ボディへの突き(パンチ)は1点ですが、蹴りは2点、回転蹴りだと3点というふうにそれぞれの得点が異なります。20点差がついた時点で試合終了になるので、5点が加算される頭部への回転蹴りなどの大技を繰り出すことでリードを広げたり、形勢逆転を狙ったりするのも戦略の一つですね。

 ポイントでリードしていたとしても、反則が10点に達するとその時点で負けが確定する、というルールもあります。顔面へのパンチや競技コートから外に出ることなどが主な反則です。試合終盤で負けていて相手の反則が8、9点だった場合などは、積極的に前に出て相手にプレッシャーをかけて場外に追い込んでいくのは有効的な作戦なんです。他にもボクシングなどのように一発KOがあるなど、さまざまな要素で形勢逆転が狙えるので、テコンドーの試合は最後まで目が離せません。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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