悲願校
甲子園に出られそうで出られない…
「悲願校」の数だけ物語がある

「一歩手前校」には2種類ある

「悲願校」とは「甲子園出場が悲願」となっている高校のこと。著者の造語である
「悲願校」とは「甲子園出場が悲願」となっている高校のこと。著者の造語である【写真:岡沢克郎/アフロ】

 高校野球の世界で「都道府県内では実績を重ねているのに、なぜか甲子園と縁がない」高校を、私が勝手に名付けたのが「悲願校」である。そして、私が定義する悲願校は、大前提として「春夏通じて甲子園出場がない高校」が対象。理由は、一度でも甲子園に出場した高校と、未出場の高校の差は、その喜びや経験値において、限りなく大きいと考えたためだ。

 そのうえで悲願校は、性格や背景からいくつかのタイプに分けられる。まず、わかりやすいのが「甲子園出場の一歩手前で何度も敗退」してしまう高校。言葉通りの内容なのだが、さらに春夏の甲子園出場へのプロセスを踏まえ、次の2つに分かれる。


1 夏の地方大会の決勝戦で何度も敗退した高校

2 秋季大会で各地区の一般枠出場ほぼ確定圏内の寸前で何度も敗退した高校


 夏の甲子園、正式名称「全国高等学校野球選手権大会」の本大会は、実質的な予選である「地方大会」という名の各都道府県大会の優勝チームが出場する(記念大会を除き北海道・東京は2校)。前者は非常にわかりやすく、その地方大会の決勝、すなわち「あと1勝で甲子園」というところで何度も敗退してしまった高校だ。ただ、ハードな夏の大会、心情的に準決勝敗退も「甲子園出場の一歩手前で敗退」に入れることが多い。


 後者は春の選抜(通称「センバツ」)、正式名称「選抜高等学校野球大会」の出場経緯が対象。選抜出場校に選ばれるための重要な選出基準、参考資料となる、前年秋の各地区大会の決勝や準決勝など、出場確定圏内寸前で敗退した高校だ。ちなみに選抜の出場校選考はサプライズもあり、例年なら確定圏内なのに落選、というケースもある。そういった経験は、当然ながら「悲願度」が高まる要素となる。また、選抜ならではの「補欠校」や「21世紀枠」の地区推薦校まで残りながら落選した高校も「甲子園の一歩手前で敗退」といえよう。

秋と春は強いのに…なぜか夏は勝てない

 次に「秋と春は強いのに甲子園がかかる夏になると弱い」というタイプ。


 高校野球の世界において全国共通の主要な公式戦は、前述した夏の甲子園とそれにつながる地方大会、そして、センバツにつながる秋季大会。さらには、シーズン始めの春季大会の3つである。つまり、春季大会は秋や夏と違って、勝ち進んでも都道府県大会の先にあるのは地区大会まで。最後まで勝ち残っても、全国大会=甲子園はない。


 また、センバツにつながる秋季大会も、夏と違って都道府県大会(北海道であれば支部大会)で優勝しても、それがそのまま甲子園出場を意味するわけではない(東京を除く)。甲子園出場を決定的なものにするには、基本的にその先にある地区大会で一定の成績、結果を残すことが求められる。


 つまり、シンプルに「都道府県大会(地方大会)を最後まで勝ち抜けば甲子園」というのは、基本的に夏の甲子園のみ。「秋春は強いのに甲子園がかかる夏になると弱い」悲願校とは、都道府県の秋季大会や春季大会には強いのに、甲子園に直結する夏の地方大会になると、なぜか成績がふるわないというタイプの悲願校である。

田澤健一郎

1975年生まれ、山形県出身。高校時代は山形県の鶴岡東(当時は鶴商学園)で、ブルペン捕手や三塁コーチャーを務める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスの編集者・ライターに。野球などのスポーツ、住宅、歴史などのジャンルを中心に活動中。共著に『永遠の一球 〜甲子園優勝投手のその後』(河出書房新社)など。

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