新馬戦の馬体重別成績の傾向を分析 「夏の2歳馬は小型馬有利」は本当か?

JRA-VANデータラボ

この時期の新馬戦は「仕上がり早」の小型馬に注目?

 日本ダービーが終わったばかりたが、早くも「来年のダービー」へ向けた戦いがスタート。先週は土日あわせて5レースの2歳新馬戦が行われた。この時期の新馬戦は「仕上がり早」の小型馬に注目とも言われるが、競馬では一般的に中〜大型馬のほうが好成績を残すもの。2009年から18年に行われた2歳〜3歳春のG1優勝馬のべ73頭のうち、55頭は460キロ以上。440キロ未満の勝ち馬はわずか4頭しかいなかった。果たして、この時期の新馬戦なら本当に小型馬に注目していいのか、過去の傾向を探ってみたい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.とTarget frontier JVを利用し、2009年〜18年の新馬戦を対象とした。

2歳6〜8月の新馬戦・ダート、馬体重別成績

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 2歳〜3歳春のG1へ向けては芝での成績が気になるところだが、その前に、大型馬有利の傾向が出やすいと思われるダート戦の馬体重別成績から見ておきたい。表1は、おおむね「夏競馬」の期間に相当する6〜8月にダートコースで行われた2歳新馬戦の、馬体重別成績である。表にある通り、500キロ以上の馬なら3着内率30%を超え、460キロ以上500キロ未満でも同28%台。460キロ未満の馬とは明らかな差がついている。出走全馬の平均馬体重は463キロで、その平均未満だった馬は勝率7.0%、3着内率21.0%に対し、平均以上なら勝率9.6%、3着内率28.8%。ダートの新馬戦では2歳夏の段階から中〜大型馬優勢の傾向だ。

2歳9〜12月の新馬戦・ダート、馬体重別成績

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

3歳新馬戦・ダート、馬体重別成績

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて同じくダートの新馬戦について、2歳9〜12月(表2)と、3歳(表3)も見てみよう。470キロ前後の馬は表1では「好成績」の部類だったが、2歳9月以降になると、良くも悪くもない、といった程度になる。出走全馬の平均馬体重は、表2、表3ともに472キロ少々。表1の463キロから10キロ程度増え、「好成績」を残せるボーダーラインもその分、上がっているようだ。

 また、時期が進むと1レースあたりの出走頭数が増えるため、全体的に好走確率は低下していく傾向があり、中でも小型馬の落ち込みが特に目立っている。こうして見ると、表1にあった2歳夏の小型馬は決して良くはないものの、秋以降に比べれば「まだ良い方」だった、とも言えるだろう。

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