川内がプロとして初めての世界陸上に臨む 50キロ競歩は鈴木雄介ら選出

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陸上世界選手権のマラソン、競歩の代表選手が発表。川内(写真右)と鈴木(左)が会見に臨んだ 【スポーツナビ】

 日本陸上競技連盟は28日、都内で会見を開き、今夏に行われる世界選手権(9月27日開幕/カタール・ドーハ)の男女マラソン選手と、男女50キロ競歩の選手を発表した。マラソン男子は二岡康平(中電工)、川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)、山岸宏貴(GMOアスリーツ)の3人。女子は谷本観月(天満屋)、池満綾乃(鹿児島銀行)、中野円花(ノーリツ)が選ばれた。なお、補欠は男子が河合代二(トーエネック)、女子は阿部有香里(しまむら)となった。

 50キロ競歩は男子が勝木隼人、野田明宏(ともに自衛隊)、鈴木雄介(富士通)。女子は渕瀬真寿美(建装工業)が選出された。

 選考について、河野匡長距離・マラソンディレクターは「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)という新たな取り組みがある中で、それ以外の選手で世界と戦える方法はあるか、という観点で選考要項を作成しました。(補欠となった)河合君を含めた4人全員が出場意志を表したということです」と説明。また、今回の世界選手権は2020年の東京五輪と同じく、過酷な暑さの中で戦うことが想定される。競歩の今村文男五輪強化コーチは「ドーハについては、東京五輪へのシミュレーションという形で考えています。4年近く暑熱対策を行ってきたなかで、個々のやりたいことを尊重しながら、必要であればチームとしてサポートしていきたい」と見解を示した。

 代表発表後には、マラソン男子の川内と競歩男子の鈴木が登場。それぞれが大舞台に向けた意気込みを語った。

川内「東京五輪については……」

川内は「プロとしてのスタートを切るのが一番のテーマ」と決意を述べた 【スポーツナビ】

――深夜のレースになるとはいえ、暑さが心配される。対策は?

 ドーハの気候については、温度は26〜8度で、湿度が高くなるだろうと予想しています。ただ、夜のレースで直射日光がないので、肌の熱が高くなってくることはないだろうと考えています。(17年の)ロンドンでの世界選手権で行った氷入りの水を用意する方法や、清涼感を感じられるウェアを着るなど、体を冷やす工夫をしていきたいと思います。

 また、大会直前の1カ月くらいはドーハの暑さに慣れるために、暑い場所で練習して、うまく熱に慣れていくことがポイントになるかと思っています。

――前回、17年のロンドンでの世界選手権の時、日本代表は最後という思いで「集大成」という言葉を使われたと思うが、今回のドーハの位置づけは?

 プロとして初めて挑む世界選手権になりますので、プロとしてのスタートを切るのが一番のテーマです。世界選手権で結果を残すことによって「川内はプロに転向して、市民ランナー時代に超えられなかった壁を超えられたな」と思ってもらえるようなレースにしたいです。

――前回のロンドンでは、わずか3秒差の9位で入賞を逃す結果となった。その3秒を埋めるために何が必要だと思うか?

 ロンドンのときは市民ランナーとしてできる範囲で、自分の中で9割以上の練習を消化してきたのですが、やはり残り1割でいい練習が積めない部分がありました。頭の中で思い描いていること、そうしたものに対して限りなく100%に近づけていく。それによって、ドーハでしっかりとした結果が残せると思っています。

――あらためて、MGCではなく世界選手権を選択した理由は? また、現時点での東京五輪への思いは?

 東京五輪に関しては、もともと予定されていたスタート時間が(現時点よりも)遅かったという関係があって、世界選手権よりも私が戦える可能性が少ないと見ていました。なので、世界選手権が深夜スタートとの発表があった時点で照準を切り替えて、そこに合わせたスケジューリングを組んでいました。結果的に東京五輪のスタート時間が早まったのですが、(9月15日に行われる)MGCに合わせたスケジュールではなかったので、今からMGCに合わせられるかというと、そんなにマラソン選手は甘くない。なので、やはり当初の予定通り、世界選手権への予定をしっかりこなしていこうと考えました。それが、自分が世界大会で日本代表として活躍できる道だと思っています。

鈴木「50キロの方が金メダルに近い」

「メダルが欲しい」と意気込む鈴木。優勝を果たし、東京五輪の切符獲得を目指す 【スポーツナビ】

――深夜のレースを戦うことになるが、それについて対策は?

 まだはっきりとは決めていませんが、日本時間に換算すると朝の5時半スタートということになるので(日本とドーハの時差は6時間)、そのリズムを崩さず「日本の朝のスタートだ」という意識で臨めば問題ないかと思っています。暑さに関しては陸連(日本陸上競技連盟)の方が何年も研究していただいて、その対策も行っているので、逆に自分たちに優位になるのではと考えています。

――今大会でメダルを取った選手は東京五輪の出場が内定するが、それについてはどのように考えているか?

 今まで世界大会でメダルを取ったことがないので、単純に(メダルが)欲しいという強い思いがあります。そして、東京五輪の内定が得られるという条件も含めて、まず1つ目の内定条件を得たいと思っています。50キロの世界選手権を出た後も、20キロの(20年2月の)日本選手権にも出られるので、そちらもトップを目指したい。ただ、東京五輪の内定を両方得られたとしても、どちらかの代表として出るつもりです。

――現時点では、20キロと50キロのどちらに思いがあるか?

 50キロに思いが寄っています。東京五輪は自分の楽しみややりたいことよりも、「金メダルを取る」ことを一つの大きな目標に掲げようと考えています。自分の能力、周りの能力、海外の選手たちの動向を考えた時に、50キロの方が金メダルに近いと考えているので、現段階では50キロでの出場を考えています。
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