「ラニングクラブについてっていいですか?」TEAMうさかめ(後編)

【みんアス】

ランニングクラブを取材し、紹介していく『ランニングクラブについてっていいですか?』
この企画では下記の3点をルールとして、ランニングクラブが持っている雰囲気をお伝えしていきます。
 (1)ランニングクラブの基本情報を伝える
 (2)クラブの練習に参加
 (3)ランニング後の「飲み会」に参加

前編では「TEAMうさかめ」のクラブ概要と飲み会の模様をお伝えしました。
後編ではチームのラントレについってってみました!
(編集部注※2018年9月7日に公開された記事を再編集したものです。)

※リンク先は外部サイトの場合があります

ちょっとした疑問

 二週間ほど前、ランニングクラブ『パイナップルズ』代表・安岡さんにランニングクラブ『TEAMうさかめ』代表の浅野さんをご紹介いただき、さっそく『TEAMうさかめ』の飲み会に参加、みなさんにお話を聞くことができました。

 たまたまその飲み会が『サロマ湖100kmウルトラマラソン』の打ち上げだったこともあり、そこに集まったメンバー十二人がなんと全員フルマラソンサブ4〜サブ3の記録を持つ人達でした。

 その日の飲み会では盛り上がってくると、みなさんスマホを手にとっては「ここはどう?」「いやあ、こっちでしょ!」などと言いながら“ポチポチ”押し始めました。

 要はその場で気に入ったマラソン大会への「エントリー合戦」が始まってしまったのです。
 
 うわ〜。
『TEAMうさかめ』は結構マニアックだわ……。


 前回の飲み会に参加した時、それが私の感じたことでした。

みなさん手に手にスマホを取っては、「ポチポチ」し始めました 【みんアス】

 その飲み会の最後に、浅野さんが「今月のラントレは21日にします」とみんなみなさんに伝えました。

 そうなのでした。

 この企画では“飲み会について行く”こともするけれど、本筋の趣旨としては“ラントレについて行く”ことなのでした。

 私はそこでちょっとした疑問を持ったのです。


 ついて行く?


『TEAMうさかめ』にはもちろん初心者の方もいるのでしょうが、少なくともここにいる人たちはみんなサブ4やサブ3。中には、フルを2時間半少しで走ってしまう方すらいます。

 私はそのラントレに“ついて行く”ことなんてできるのでしょうか?

こちらから“ついてっていいですか?”と言い出した企画なのに……

 代表の浅野さんから「皇居桜田門の石のところ(内堀通りに面した所)に19時集合」とのメールを頂き、私も『TEAMうさかめ』のみなさんが集合している場所に行きました。

この日ラントレに集まった『TEAMうさかめ』のメンバーです 【みんアス】

 スタート前に代表の浅野さんがみなさんに声を掛けました。

「最初の1周(皇居外周1周は約5kmですが、この日のコースは1周あたり約6kmでした)はジョグペースで行きます。2周目以降はそれぞれのペースで結構です〜」

 私はそれを聞いた瞬間、正直思いました。

 浅野さん、ニコニコしながら、みんなに“ジョグペースで”とか言っているけれど……。

 いやいや、この人たちにとってのジョグペースにだって、ついていけるかどうか怪しいぞ。

 私はそう思ったのです。

 個人的な問題もありました。私は8月上旬、マラソンで初めての本格的な怪我(たぶん腸脛靭帯円)を左脚に抱えていて、長距離を走ったり、あるいは結構速いスピードで走ると膝に痛みが出てしまう状態なのでした。

 そんな不安を抱えながらも、「ついて行けるところまではついて行こう」と思って、みなさんの最後尾を走り始めました。

走り始めは6分半/kmで穏やかに始まりましたが…… 【みんアス】

 走り始めると、横にいた浅野さんが前の方を指差して「あの二人、100kmもワラーチで走るんですよ!」を教えてくれました。

走るスピードが速くて、うまくワラーチを撮れない…… 【みんアス】

 ワラーチで走っていたのは、「サブ3.5」の目(さっか)和典さんともうすぐ「サブ3.5」の町田美夏さん。

目(さっか)和典さん 【みんアス】

町田美夏さん 【みんアス】

「100kmマラソンをワラーチで走ってるカッコいい女性がいて、自分もやってみようと思って。ワラーチを履いてフルを走ったことがなかったのに、いきなり100kmを走りました(笑)」

 ワラーチを履き始めたキッカケについて、町田さんはそんな風に説明してくれました。

 私の中で前回の『TEAMうさかめ』飲み会で感じたアラートが、再び鳴り響きます。


 うさかめ半端ないって!
 この前飲み会にいた人全員、サブ4以下やったもん。
 そんなんあり得へんやん普通、そんなんできる?


 そんな他愛ないことを思っていると、2km辺りから、思った通り徐々に全体のスピードが速くなっていきました。

 時々5分半/kmくらい、平均的には5分50秒/kmあたり。

 距離にして4kmくらいまではこのペースで走った後、5km目辺りからさらにギアが変わったかのように平均5分25秒/kmくらいで走るようになりました。

 自分一人でラントレをする場合、私もこれくらいで走ることもありますが、ランニングクラブのラントレ取材でこの速さを走ったのは、この時が初めてでした。

 さらに6km地点くらいから、そのペースは時折4分後半/kmになっていきました。

もはやこのランニングスピードでは、手ブレを防ぐ術はないのでした…… 【みんアス】

 しかし、私が本当に感心したことというか、みなさんの“凄み”を感じたのはそのスピードそのものに関してではないんです。

 そのスピードで走っている時も、みなさんがニコニコしながら時々おしゃべりしつつ、このスピードを維持して走っていることに、私は心底驚いたのでした。


 まじか。
「4分台/km」の“おしゃべりラン”……。

 一見和やかで穏やかに見えるその風景の中に、彼らがかつて踏破してきた“100kmの修羅場”がちらちらと垣間見えることを私は感じたのでした。

 1周目6kmを走り終わり、いよいよ「4分台/km」が固定されつつあるペースとなりました。

「さあ〜、2周目からはガチで走るよ〜」などと言う声が飛び交うのを聞いた瞬間、私は「今日は、1周だけしてあとは飲みに行くぞ組」の人と共に飲み会に行くことにしました。

 そうなのです、この企画は本来「ランニングクラブについてっていいですか?」という企画なわけで“ついてってナンボ”だったりするのですが、今回はごめんなさい。流石に諦めました。

 だって、1周目でも最後の方はこんなに速くなってきているのに、みなさん“2周目はガチで走る”とか言うんですもの。

 私が今回参加したラントレはこんな感じで、推移していきました。

5km地点あたりから急にペースが変わったことがわかります。 【みんアス】

“競争”ではなく、“共走”という発想

 その後、私は前回の飲み会が開催された有楽町『TINDON』に先発隊の方たちと入って、ビールで身体全体を“アイシング”することにしました。

 私が“離脱”した後、それぞれ何周走ったかはわかりませんが、『TEAMうさかめ』メンバーがこの前の飲み会と同じ場所、有楽町『TINDON』に少しずつ集まってきました。

『うさかめ』のメンバーが結構参加する直近の大会は、9月16日の『ベルリンマラソン』だそうです。

 みなさん、飲み会でその大会の話で盛り上がっていると、『うさかめ』を以前紹介してくれた『パイナップルズ』の安岡さんご夫婦がそこに来てくれました。

『TEAMうさかめ』と『パイナップルズ』は本当に仲がいいようです。

 一つのランニングクラブに入っているだけでもちろん十分楽しいのだろうけれど、ランニングクラブ同士で繋がっているなんていう関係も、今時あるんですね。

『パイナップルズ』代表・安岡さん(前列・一番右)と安岡さんのご主人(後列・一番右)もラントレ後の飲み会に来てくれました 【みんアス】

 ランニングは誰がどう見ても、強烈に孤独な行為です。


 どこまで行っても、一人。
 どんなに苦しくなっても、一人。

 でも、ここにいるみなさんは他のランナーたちと一緒に人生そのものを“共走”しているようにも見えます。

 前回の飲み会で『TEAMうさかめ』代表の浅野さんが言っていた通りでした。

 みなさんはもしかすると、孤独に走っているわけではないのかもしれません。

 私はそんなことをふと感じました。


※本記事は「みんアス〜みんながアスリート〜」で公開された『ランニングクラブについてっていいですか? Vol.6』を再編集したものです。
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著者プロフィール

「みんアス -みんながアスリート-」は、女性がランニングをもっと楽しむためのサイトです。 日常にほんの少しだけ変化や進化を求め、小さな一歩を踏み出そうとスポーツを始めたすべての女性が美しく輝くために。 アスリートたちの一流メソッドや本物に触れて、さらに美しくなるために。 『みんアス -みんながアスリート-』は、そんなコンテンツを詰め込んだサイトです。

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