GIで単勝1倍台の馬は本当に確勝級か? 過去10年58レースのデータから考察

JRA-VANデータラボ

NHKマイルCの単勝1.5倍グランアレグリアは5着

 春の東京5週連続G1初戦のNHKマイルCでは単勝オッズ1.5倍と圧倒的支持を集めていたグランアレグリアがまさかの5着に敗れた。G1において1番人気馬に票が集中し、単勝1倍台となるのは多々あるケースで、そうした1番人気馬がどういった成績だったのかを2009年以降・過去10年のデータから考察していきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

1番人気馬の単勝オッズが1倍台の平地G1における人気別成績(過去10年)

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まず表1は過去10年で1番人気馬が単勝1倍台だった平地G1における人気別成績。1番人気馬の成績を見ると、勝率44.8%と全体の半分も勝利していない。単勝1倍台の1番人気馬は、(1)前走を含めた過去内容が良い、(2)調教や状態の良さが伝えられている、(3)血統の良さや鞍上が成績上位のジョッキー、といった要素が組み合わさって、人気が集中しているケースだろう。実力的に抜けていて、勝つのは当然だと見られている場合でも、実際には勝率で5割を切っており、勝ち切るのが難しいことがわかる。

 1倍台の1番人気馬がいたのは過去10年で58レース。過去10年の平地G1全236レースの約4分の1を占めている。なお、全236レースにおける1番人気馬の勝率は34.9%。1倍台の馬に限ると勝率は高くなるものの、それでも半分以下しか勝利できていないのが現状だ。

 先日のNHKマイルCでは単勝オッズ1.5倍のグランアレグリアが5着に敗れ、2番人気馬のアドマイヤマーズが勝利した。このように2・3番人気馬が勝利するケースも多く、2番人気馬の単複回収率は100%弱、3番人気馬は単複回収率ともに100%を超えている。他では伏兵といえる7・8番人気馬の単勝回収率が100%を大きく上回っている。

単勝オッズが1倍台の1番人気馬のオッズ別成績(過去10年)

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表2は単勝オッズ1.0〜1.4倍と1.5〜1.9倍の2つのグループに分けたもの。黄色で強調した1.0〜1.4倍の1番人気馬は勝率62.5%とかなり高い。なお、このグループで4着以下に敗れたのは12年天皇賞・春のオルフェーヴル(1.3倍/11着)、13年天皇賞・春のゴールドシップ(1.3倍/5着)、17年宝塚記念のキタサンブラック(1.4倍/9着)の3回だった。実績十分で他との比較でも負けようがないと思われるケースでも、実際に負ける場合があるというのがG1攻略の難しさといえそうだ。

 対して、1倍台後半(1.5〜1.9倍)では勝率38.1%と相当下がっている。同じ単勝1倍台でも勝率に大きな開きがある点は覚えておきたい。

単勝オッズ1倍台の1番人気馬・G1における距離別成績(過去10年)

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表3は単勝1倍台の1番人気馬の距離別成績。全体的に距離が延びた方が勝率は上がる傾向にあるが、2200mと3200mの距離では一度も勝利していない。2200mは宝塚記念とエリザベス女王杯、3200mは天皇賞・春が該当する。

 対して、3000mの菊花賞では3戦3勝とすべて勝ち切っている。距離やレースによって、断然人気馬でも成績に大きな違いが出ている。

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