就活生からプロ志望へと一転 丸山祐市を救った恩師の言葉

原田大輔
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Jクラブの練習に参加するも就職活動

練習参加した先でプロのレベルの高さを痛感。小心者だった丸山祐市は就職活動を決意する 【佐野美樹】

 本格的にセンターバック(CB)としてプレーするようになった丸山祐市は、明治大学で3年生を迎えたころには、レギュラーになっていた。180センチを越える長身で、かつ左利きという特徴は、Jリーグクラブの注目を集め、育成年代の日本代表にも招集されるようになった。

 ただ、Jリーグの複数クラブの練習に参加したことで、逆に丸山は現実に直面してしまう。
「Jクラブの練習に参加してみたらレベルが高すぎて……速いし、強いし。その当時は身体が細かったこともあって、とにかく圧倒されてしまって。これはプロの世界では生きていけないなって思ってしまったんです。今思えば、完全にビビっていたかもしれないですね」

 そこには大学生活で培った冷静な判断力であり、自分を客観視する力もあったのだろう。そう投げかけると、丸山は「良い意味で捉えたら、そうなりますよね」と言って笑った。

「今、名古屋グランパスではキャプテンをやらせてもらっているので、そうした部分はあまり出さないようにしていますけど、どちらかというと小心者なんですよね(苦笑)。特に学生時代の自分は、越えられるか越えられないかのものに対して、ギリギリ頑張って越えられるのであれば挑戦していたけど、自分が100%の力を出しても、60〜70%の可能性だったとしたら、キュッと自分を止めてしまうところがあったんです」

 それは慎重とも言えれば、現実的と言い換えることもできる。つまるところ、丸山はここで一度、プロになることをあきらめたのである。いくつかのクラブが練習に誘ってくれ、興味を示してくれたにも関わらず。

「だから、普通に就職活動をすることにしたんですよね」
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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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