日本産馬初のケンタッキーダービー挑戦 SSの血健在を米国でアピールするか

JRA-VAN

ポイント100点以上の馬たちが優勝争いの中心

日本生まれの日本調教馬として初めてケンタッキーダービーに参戦するマスターフェンサー、サンデーサイレンスの血が健在であることを米国ファンにアピールできるか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 今年のケンタッキーダービー戦線は、出走権利をポイント制で争う「Road to the Kentucky Derby」の勝ち馬がレースごとに入れ替わるような混戦模様。ポイント首位のタシトゥスが獲得した150点こそ例年レベルだが、出走馬の中でマスターフェンサーを除くアメリカ国内の最下位40点(スピンオフ、ボーディエクスプレス)は、システム導入以降の7回目にして史上最高となっている。数字に表れているように、ポイントの順位ほど実力差はないかもしれない。

 ただし、それでも傾向らしきものは固まりつつあり、2017年を除いた過去5回で100点以上を獲得していた馬の2頭以上が3着以内に入線。ポイント最上位の2頭がそろって3着から漏れたことは1回しかなく、6回中4回はどちらか一方が連対している。ポイント2位で前売り1番人気のオマハビーチが直前回避となり、混迷の度合いを増した感はあるが、今年も首位のタシトゥスら100点以上の馬たちが優勝争いの中心を担うのではないか。

首位タシトゥス、額面通りの評価が必要

 そのタシトゥスは派手な勝ち方をするタイプではないが、馬の間を割って出られる根性や、ライバルに自ら体を寄せにいく負けん気など、ここまで見せてきたハートの強さは相当。堅実な末脚で重賞2勝を含む3連勝の勢いや、父母ともにチャンピオンタイトルを持つ血統背景など減点材料は見当たらず、額面通りの評価が必要だろう。

 タシトゥス以外に100点超えは5頭おり、110点で繰り上がり2位のヴェコマはブルーグラスSなど重賞を2勝。前走はハットトリック産駒ウィンウィンウィンを3馬身半差の2着に下して能力の高さを示した。一方、104点のプリュクパルフェはUAEダービー勝ちで出走権を確保したものの、国内での争いでは実力不足を露呈していた。相手関係に恵まれた可能性が高く、ここは真価を問われる場となる。

4戦無敗の魅力マキシマムセキュリティ

フロリダダービーの勝ち馬マキシマムセキュリティ(中)は4戦無敗と底を見せていない魅力がある 【Photo by Getty Images】

 100点で並ぶ3頭のうちロードスターはサンタアニタダービーでの差し切りが鮮やか。M.スミス騎手の手腕によるところが大きく、その後に名手がオマハビーチを選択したことで旗色が悪くなったが、因縁の相手が回避したことで大きくチャンスも開けてきた。また、バイマイスタンダーズは前走のルイジアナダービーが6番人気での重賞初制覇。クラシックにも実績の少ない臨戦で、上位争いに加わるには相当な上積みが必要かもしれない。もう1頭のマキシマムセキュリティは重要度が高いフロリダダービーを制しての参戦。前走が重賞初挑戦で実績は不足しているが、4戦無敗と底を見せていない魅力がある。

 これらに85点で続くゲームウィナーが前売り1番人気に繰り上がった。2歳王者の実績は文句なしで、レベルステークスでオマハビーチに敗れた際もわずかにハナ差。当時はサンタアニタパーク競馬場の一時閉鎖で直前に予定が狂った経緯もある。前走はロードスターの末脚に屈するなど前哨戦は2着続きだが、勝ちに等しい内容を残しており地力は確かだ。

日本馬マスターフェンサーは末脚勝負にかける

 日本調教馬として3頭目、生まれも育ちも日本の馬ではKダービーに史上初参戦となるマスターフェンサーは、国内での走りからも後半勝負になりそう。自身の祖父に当たるハーツクライ産駒のヨシダも差し脚を生かして米ダート戦線で活躍しており、未知数の馬場適性に希望を持てる。奇しくも隣の枠に入ったウィンウィンウィンともども、米国の競馬ファンにサンデーサイレンスの血が健在であることを印象づける力走に期待したい。
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