地力が反映されやすい今季のBリーグCS 実力拮抗の準決勝は第3戦が見どころに!?
千葉はクォーターファイナルで富山を相手にハイスコアで連勝を収めた 【(C)B.LEAGUE】
4強は27日に決まった栃木ブレックス(東地区2位)から、アルバルク東京(東地区3位/ワイルドカード上位)、千葉ジェッツ(東地区1位)、琉球ゴールデンキングス(西地区1位)という順序で決定している。3地区の中でも最大の激戦区となっている東地区から、3チームが勝ち残った。
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B1ベストカードが準決勝で実現
2018−19シーズンの千葉は、52勝8敗でB1史上最高勝率を記録した。Bリーグ初年度(2016−17シーズン)から指揮を執る大野篤史ヘッドコーチ(HC)のもとで、堅守からの速攻、3ポイントといった強みは変わらない。クォーターファイナルでは富山を相手に102−73、96−85とハイスコアで連勝している。
陣容を見ると何しろ穴がない。インサイドの軸はギャビン・エドワーズだ。206センチ・110キロのビッグマンだが速攻についていく足、スクリーンプレーなどで仲間を助けるハードワークを売りとしている。
マイケル・パーカーは来日12シーズン目を迎えている37歳。目立たなくても貢献度が高く、読みが優れ、攻守に先手を打ったプレーをする職人タイプだ。日本国籍を保有する「帰化選手」で、外国人枠と関係なくプレーできる。今季から加入したジョシュ・ダンカンは試合途中からの起用が多いが、彼もオールラウンドな「主役級」の働きを見せている。
千葉の強みはこういった外国籍選手を脇役に回せるアウトサイドの充実だ。3ポイントシュートの名手がそろい、大野HCはその日の「当たり」を見極めてウイングの選手を使い分けている。攻撃の中心は日本代表のポイントガード(PG)富樫勇樹。圧倒的なスピード、スキル、判断力を持つ彼がプレーの選択を任されている。
富山との第2戦は富樫が30分以上プレーし、24得点10アシストという文句のない結果を出した。しかし、試合後の彼はこんなコメントを残している。
「点数を取っているし、アシストもありましたけれど、他の選手にフラストレーションを溜めさせてしまった部分がある。10アシストと関係ないところで、もう少し他の選手にボールを預けることも意識しないといけない」
これは富樫の得点力が突出しているからこそ起こる、他のPGから見れば贅沢な悩みだ。ただ千葉は富樫が悩むほど各選手に得点力があり、相手から見れば潰しどころがない。
戦績は五分もアウェーの栃木が不利か?
日本代表3人を擁する強敵・川崎を寄せ付けなかった栃木 【(C)B.LEAGUE】
栃木は2年前のCSを制したB1の初代王者だ。しかし昨季はジェフ・ギブスの負傷や古川孝敏(現琉球)、熊谷尚也(現大阪エヴェッサ)らの移籍もあり東地区4位と低迷。ワイルドカードから最後の1枠で出場権を得たCSも、クォーターファイナルどまりだった。
今季も田臥勇太、喜多川修平らが負傷欠場し、選択肢の少なさに安齋竜三HCが苦しんだ部分はある。しかしリバウンドやルーズボールへの執着、悪い流れでも崩れない「ブレックス・メンタリティ」は不変だった。
また今季は遠藤祐亮の3ポイントシュート、得点力に大きな成長が見えている。鵤(いかるが)誠司、渡邉裕規とともに選手層が薄くなった中でチームを支えた。
さらに1月には日本代表の比江島慎がオーストラリアから帰国し、栃木へ復帰。1対1からズレを作り攻撃の起点となれる選手だが、栃木では逆に「周りに生かしてもらう」場面が多い。ベンチスタートが多く、出場時間も平均で20分ほどだが、短い時間、少ないシュート本数でもしっかり決め切る「スーパーサブ」となっている。
栃木も千葉にこそ遅れを取ったが、49勝11敗とB1全体でも2位の勝ち星を挙げている。レギュラーシーズンの対千葉の戦績は3勝3敗と五分。ただし千葉が3連覇を達成した天皇杯は、もちろん千葉が勝利している。
富樫は「2強」の対戦についてこう述べていた。
「ブースターの声援、試合の雰囲気、移動やホテル生活も含めて、すべてでホームが有利になってくる。(ホーム開催権を得る)そのために60試合を戦ったようなものです。Bリーグが始まって、栃木とはもう数え切れないほどやってきている。多くのことを知っているので、あとはボールへの執着、気持ちの面が勝敗にすごく影響する」